サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第二十二話

   新入りを斬る(中編)

 

7月12日

 

ナイトレイド一同がマーグ高地に潜伏して一月がたった、一ヶ月の鍛練でナイトレイドのメンバーの力量があがっていた、その夕方、マインとラバとイエヤスがたき火を囲んで複雑な顔をしている。

 

「いい、チェルシーをギャフンと言わせるのよ」

 

「そうは言っても・・・」

 

「簡単じゃないぜ」

 

ラバとイエヤスはマインと違い乗り気ではない。

 

「何言ってるの、昼間のこと忘れたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今、何て言ったの!?」

 

マインがチェルシーを睨みつけている。

 

「アカメちゃんみたいになりたくなかったら甘いところをどうにかしたらって言ったんだけど」

 

「なっ!?」

 

マインはアカメをばかにされて激怒している。

 

「確かに皆この一月で強くなったけど、強くても生き残れるわけじゃないわよ、あんなに強かったアカメちゃんでも死んじゃったんだし」

 

チェルシーは淡々と語っている、それを見てマインはさらに激怒した。

 

「アンタにアカメをとやかく言う筋合いはないわよ」

 

マインは鋭くチェルシーを睨みつける、チェルシーは臆さず。

 

「まあ、そうだけどね、でも、的外れじゃないでしょ」

 

「うっ・・・」

 

マインは何も言い返せなかった、一理あったからである。

 

「とにかく、アカメちゃんはもう死んでこの世にいないのよ、死んだ人にこだわってたら次の殉職者はあなたになるわよ」

 

その瞬間、マインはチェルシーに飛び掛かかろうとした、だが、シェーレがマインを取り押さえた。

 

 

「ちょっ、離しなさいよシェーレ!!」

 

「落ち着いてください、マイン」

 

マインはシェーレを振りほどこうとした、シェーレも必死で押さえている。

 

「アカメのことバカにされて平気なの!?」

 

「・・・私も何も感じないというわけありません、でも、私達がいがみ合っても意味がありません」

 

シェーレは悲しみの眼差しでマインを見つめている、するとチェルシーはいつのまにかその場を去っていた。

 

 

「・・・あいつ、本当にムカツク・・・」

 

マインは怒り心頭であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでも何もしないって言うの?」

 

マインに言われて二人は渋々了解した。

 

「で、どんな作戦なんだよ」

 

イエヤスがマインに問いかけると。

 

 

「これからアンタ達が考えるのよ」

 

マインがさらりと言うと二人は驚愕した。

 

 

「はあ、なんだよそれ、俺達にまるなげかよ」

 

イエヤスはマインのノープランに呆れるもマインは気にしていない。

 

「とにかくアンタ達でプラン考えなさい、いいわね」

 

そう告げると、マインは小屋に戻っていった、ラバとイエヤスがぽつんと残された。

 

「なんだよあいつ、勝手にも程があるぞ」

 

怒り心頭のイエヤスにラバは。

 

「まあ、マインちゃんはああいう娘だからな」

 

ラバはマインのことを熟知しているのであきらめ気味である。

 

「けど、どうするんだよ」

 

「そうだな、チェルシーちゃんに弱みがあればいいんだけど、簡単には見せないだろう」

 

「何もなかったじゃすまねえぞ、あいつ怒り狂うぞ」

 

 

「そうだな、チェルシーちゃんの体に恥ずかしいアザとかあれば・・・そうだ」

 

「どうした?」

 

「お前、帝具でチェルシーちゃんの入浴覗いてアザがないか調べろ」

 

「・・・言っておくがお前見れねえぞ、いいのか」

 

イエヤスがそう告げるとラバは。

 

「・・・いいわけねえだろ、お前だけにそんなオイシイ思いさせるなんて、でも、マインちゃんの怒りを爆発させる訳にはいかねえんだよ」

 

ラバの表情は悔しさでいっぱいである。

 

「確かにな、わかった、俺やってみる」

 

イエヤスはラバの悔しさを受け止め決意した。

 

 

「(よし、もしコイツがしくじってもコイツの独断専行ってことにできる、ほとぼりが冷めたらチェルシーちゃんの入浴覗いてやるぜ)」

 

ラバの企みを予想もしてないイエヤスは帝具を取りだし気合いをいれた、その時、後ろから何者かの手が帝具を取り上げた。

 

「何だ!?」

 

イエヤスが後ろを振り向くとチェルシーがいた。

 

「私が入浴している間、これ預かるわね」

 

「え!?」

 

「入浴覗かれないためよ」

 

チェルシーはニッコリ微笑んだ。

 

「そ、そんなマネしねえよ」

 

イエヤスは慌ててごまかすも。

 

「じゃあ、預かってても問題ないわね」

 

チェルシーの言葉の前にイエヤスは無言でいるしかなかった、そして、チェルシーは浴場に行った、二人は呆然としている。

 

「・・・お前、とっととクソして寝ろ」

 

ラバはイエヤスにシッシッと手を振った。

 

「はあ、てめえ、なんだそれ!!」

 

「うるせえ、てめえ、あの目玉ないと何も取り柄ないだろ!!」

 

「てめえこそボスに告白できねえチキンだろ!!」

 

「何だと、てめえ、ぶっ殺すぞ!!」

 

「やってみろよ!!」

 

ラバとイエヤスは鋭く睨みあっている、だが、すぐに、ため息をついて肩を落とした。

 

 

「で、どうすんだよ」

 

「そうは言ってもな、覗きに行こうにもチェルシーちゃん警戒してるはずだ」

 

「だが、マインの奴それで納得しないだろ」

 

「ああ、怒りの矛先は俺達に向けられるな」

 

「何か手ないのかよ」

 

「堂々と入れたら問題ないんだがな」

 

「んなの無理だろ!!」

 

「ああ・・・」

 

二人はまさに崖っぷちであった、その時、誰かが近づいてきた。

 

「あなた達こんなところで何やっているの?」

 

サヨがちょうど鍛練から戻ってきたとこであった。

 

 

「「堂々と入れる奴がここにいたー!!」」

 

 

二人の叫びが見事にハモった。

 

「何?」

 

サヨは訳がわからず戸惑っている。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・何で私が」

 

サヨはラバ達に頼まれて浴場に来ていた、手ぬぐい一枚で体を隠している。

 

 

 

 

「サヨ、頼む、チェルシーと一緒に風呂に入ってアザがないか調べてくれ」

 

「ちょっと待ってよイエヤス、何で私が?」

 

いきなりとんちんかんな頼み事をされてサヨは困っている。

 

「つまりだ・・・」

 

 

 

「そういう訳ね」

 

ラバの説明でサヨは理解した。

 

「でも、私にそんな義務ないわよ」

 

サヨは断ろうと思っている。

 

「お前だって先月チェルシーに胸揉まれただろう」

 

「その話はしないで・・・」

 

サヨは思い出して赤面した。

 

「それにアカメのことコケにされたままでいいのかよ」

 

「それは・・・」

 

サヨもアカメのことをきつく言われたことを気にしている。

 

「じゃあ、やるしかないだろ」

 

イエヤスはすかさず畳み掛けた。

 

「わかったわよ・・・」

 

サヨは乗り気ではなかったがアカメのことを思うと引き受けざるをえなかった。

 

 

「とにかくさっさとチェルシーの体を見て終わらせよう」

 

サヨは浴場を見渡した、そこに湯煙にまかれたチェルシーがいた。

 

「さて、さっさとアザの確認をして・・・」

 

サヨが近づくとそこにいたのはスサノオだった。

 

「えっ?何でスーさんが・・・もしかしたらチェルシーの変化?」

 

サヨがそう思ったのはチェルシーが変化ができる帝具使いだからである。

 

「誰だ?」

 

スサノオがサヨの気配を察して振り向いた。

 

 

「わ、私だけど」

 

サヨは思わず返事をした。

 

「お前か」

 

このスーさん、チェルシーなのかな、そう思うも確証は持てなかった、そこでサヨは。

 

 

「ボスは?」

 

「夕食からずっとタバコを吹かしていたぞ」

 

「ブラートは?」

 

「夕食の後鍛練に行ったぞ」

 

「シェーレは?」

 

「天然ボケを治す本を読んでたぞ」

 

「チェルシーは?」

 

「新しいヨガの開発をしていたぞ」

 

 

このスーさん不自然な所全然ない、本物なのかな、そうサヨが思い始めているとスサノオが。

 

「お前、疲労が溜まっているなマッサージしてやろう」

 

突然のスサノオの行動にサヨは驚いた。

 

「え、ど、どうしよう」

 

サヨが戸惑っていると。

 

 

「嫌なら断ってもいいんだぞ」

 

ど、どうしよう、せっかくのスーさんの好意を・・・サヨの慌てた顔を見てスサノオは。

 

「実戦ではわずかの戸惑いが命取りになるぞ」

 

スサノオの忠告にサヨは目から鱗が落ちた。

 

 

「その通りね、殺し屋の世界はわずかの戸惑いが命取りになってしまう」

 

サヨが自分の甘さを痛感していると。

 

 

「スキあり」

 

突然スサノオがチョップをしかけてきた、サヨはますます混乱した、すると、チェルシーの姿が現れた。

 

「あはははは、実は私でしたー」

 

サヨはあんぐりした。

 

「や、やっぱり、チェルシーだった」

 

「どう、ビックリしたでしょ」

 

「う、うん、その帝具やっぱりすごいわね」

 

チェルシーはこれ以上ないどや顔をしている。

 

「それにしても皆の行動よく知ってたわね」

 

「知らないわよ」

 

「えっ、だってあんなに自然にすらすらと・・・」

 

「ああいうのは少しでも戸惑うと怪しまれるのよ、でまかせでも堂々と言わないと」

 

「なるほど」

 

さすがアカメと同じくらい仕事をこなしてきた凄腕、度胸もすごい。

 

 

 

「ボサッと立ってないであなたも温泉入ったら」

 

「えっ?いいの」

 

「女同士なんだから問題ないわよ、男なら切り落としているとこだけど」

 

 

どこを?サヨは思ったがあえて聞かないことにした。

 

 

サヨとチェルシーは温泉に浸かりリラックスしている、チェルシーはサヨを見つめている。

 

 

「何?」

 

「サヨちゃんの胸、小振りだけどかわいいわね♥」

 

サヨは慌てて胸を隠した。

 

「ど、どこを見てるの!?」

 

サヨは顔を真っ赤にしている。

 

「あなたホントかわいいわね」

 

チェルシーの笑みは小悪魔的であった。

 

「・・・」

 

サヨはしばらく考えこんで。

 

 

「それにしてもチェルシー、何で殺し屋になったの、あなた裏稼業の人間って感じしないんだけど」

 

「それはね・・・」

 

 

 

 

 

チェルシーはサヨにいきさつを話した。

 

「非道な太守に我慢できず殺したのがきっかけだったのね」

 

「うん、上の腐敗ぶりは思ってた以上だったわ」

 

「どこも上は腐敗してるわね」

 

サヨは改めて深刻さを思い知った。

 

 

「それでチェルシーは革命軍に入ったのよね」

 

「ううん、しばらくしてオールベルグに入ったの」

 

「オールベルグ?」

 

「歴史のある暗殺結社よ、そこで殺し屋として腕を上げたの」

 

「大変だった?」

 

「大変だったなんてものじゃなかったわよ、まさに地獄よ」

 

チェルシーの顔が青ざめている、相当すごい所だったんだろう。

 

「それから革命軍に入ったのよね」

 

「うん、そうよ・・・」

 

 

チェルシーの顔が少し浮かないような気がする。

 

 

「どうしたの?」

 

「どんなお題目を言っても私のやってきたことは殺しだし」

 

チェルシーの表情は沈んだままである。

 

 

「後悔してるの」

 

「後悔はしてないわよ」

 

「私はチェルシーが間違いとは思わないわよ、あの太守が生きていたらもっと人が殺されたんだし、それに」

 

「それに?」

 

「チェルシーが殺さなかったらその太守にチェルシーが殺されたかもしれないし」

 

「どういうこと?」

 

 

「いつかチェルシーが獲物にされて殺されたかもしれないし」

 

 

それを聞いてチェルシーは。

 

「そういえば殺す前日あいつ私を変な目でじろじろ見てたのよね、本物にそうだったのかも・・・」

 

チェルシーは自分が危うい状況だったことを思い知った。

 

 

「それならチェルシーに非はないわよ、殺さなきゃ殺されてたんだし」

 

「そうね、そういうことにしておく」

 

チェルシーの表情がにこやかになった。

 

 

「他にも聞きたいことあるんだけど」

 

「何?」

 

「あなた、そんなに飴なめめて虫歯大丈夫なの?」

 

サヨの問いにチェルシーは一瞬キョトンとした、そして。

 

 

「あははははははは、真面目な顔をして聞くことそれ?」

 

チェルシーは大爆笑した。

 

「な、何よ悪い」

 

サヨは笑われてムッとした。

 

「ゴメン、ゴメン、虫歯は心配いらないわちゃんとケアしてるから」

 

「そうなの」

 

まあ、この人ならしっかりしてるから問題ないわね。

 

 

「もう一つ聞きたいことあるんだけど」

 

「何?」

 

「コンパクト何に使うの?」

 

「え?」

 

予想外の問いにチェルシーは言葉を詰まらせた。

 

「この前、あなたの帝具見た時に思ったのよ、何に使うのかなあって」

 

「それは・・・わからないわ」

 

「そうなの?」

 

「うん、コンパクトだけ使い方わからないのよ」

 

「そうなんだ、以外ね・・・ねえ、そのコンパクトを使って自分以外の対象を変化できたら面白いと思うんだけど」

 

「えっ?」

 

その瞬間チェルシーの脳裏に。

 

 

 

 

 

 

   ねぇ、チェル、そのコンパクトを使って別の誰かを変化できたら面白いんじゃない

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

チェルシーはそのまま黙り込んでいる。

 

「どうしたの?」

 

「ううん、何でもない」

 

「そう」

 

「まあ、コンパクトは後々調べておくから」

 

「わかった」

 

二人は再び温泉にゆったりした、そして。

 

 

 

「ねえ、ラバ達に頼まれてここにきたんでしょ」

 

「そうよ」

 

「おそらくその背後にマインが関わっていると思うわ」

 

「そうね」

 

「・・・私面白いこと思いついたんだけど」

 

 

チェルシーの顔が悪巧みの顔になってきた。

 

「あなたも協力してくれない」

 

「・・・別にいいけど」

 

チェルシーは以外そうな顔をしている。

 

「誘っておいてなんだけど、あなたこういうのノリノリでやるタイプじゃないと思うんだけど」

 

「まあ、そうだけど、私、マインから嫌われてるから別にいいかなって思ったの」

 

「まあ、あの娘、あの性格だしね・・・」

 

チェルシーは二人の関係を理解した。

 

 

「まあ、とにかく二人でマインをギャフンと言わせましょう」

 

チェルシーは最高の笑顔で微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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