妖刀を斬る
アジト内、サヨは自室で村雨の手入れをしている最中である。
「ちゃんと帝具の手入れをしないとね、それにしても千年前に作られた刀とは思えないわね・・・すごく綺麗」
サヨはご機嫌であった、今日も村雨が綺麗に輝いているからである。
「それにしても・・・みんな村雨のことを呪われた妖刀と怖がるなんて・・・こんなに綺麗なのに」
サヨはほおをふくらませてムッとしている。
「そもそも村雨が呪われた妖刀だなんてあいまいな言い伝えでしかないのに・・・村雨の性能を思えばそう考えてしまうのも仕方ないけど・・・」
サヨはある帝具のことを思い出していた。
「そもそも村雨よりもエスデスの帝具がよほど呪われているじゃない」
サヨは以前ナジェンダからエスデスの帝具、デモンズエキスのことを聞いていた。
「氷を操る帝具!?」
「ああ、無から氷を作り出すことができるんだ」
「ボス、実際見たことあるんですね」
「ああ、奴は大きな川を一瞬で凍りつかせた・・・」
ナジェンダは今でも脳裏に焼き付いている。
「反則にもほどがありますよ」
「そうだな、攻撃にも防御にも使えるからな万能に近い、奥の手がないのは幸いだがな」
「奥の手なんかあったら無敵ですよ」
「そうだな」
「ところでその帝具どんな形をしてるんですか?」
「いや、武器とかではない・・・いわゆる生き血だ」
「生き血!?」
ナジェンダはデモンズエキスについて説明した。
「つまり、超級危険種の生き血を帝具にしたんですか」
「そうだ」
「その生き血、危険種の魂入ってるんですか?」
「かもしれんな」
ナジェンダは否定しなかった、そう思わずにはいられないから。
「それにしてもエスデス、生き血を全部飲み干すなんて・・・どうかしてますね」
「ああ、だがその狂気が奴の強みだ」
ナジェンダの顔に陰りがさした、それを見てサヨは。
「ボスの右目と右腕、もしかして・・・」
「ああ、エスデスにやられた、完敗だった」
「ボ、ボスも将軍でしたよね、そんなに差があるのですか」
ナジェンダの強さはサヨもわかっている、将軍の頃ならもっと強かったはず、それなのに・・・
「そうだ、思いっきり痛感した、だが私はこのまま終わるつもりはない、策を練って奴を仕留めてみせる」
ナジェンダの目は闘志に満ちていた、さすがボス、そうでないと。
「今は奴のことを気にする必要はない、奴は現在北の異民族討伐に行っているからな」
サヨは心からホッとした、今の自分では瞬殺されるに決まってるから。
「エスデスか・・・そういえばアカメ言っていたわね、エスデスは自分が葬るって、確かにアカメならエスデスがどんなに強くてもかすり傷くらいつけることはできるはず・・・・」
サヨには全く自信がなかった、ボスが全く歯が立たなかったエスデスにかすり傷をつけるなんて・・・
「とにかく今は鍛練あるのみよ、強くならないと何もできないわ・・・こんな私だけどこれからもよろしくね、村雨」
サヨは村雨に笑みを浮かべた、だが、その光景をイエヤスは後ろから見ていた。
「・・・あいつ、村雨見てなにニヤニヤしてるんだ、あのおぞましい刀に・・・」
イエヤスは顔をひきつらせて心から引いていた。