鍛練を斬る(前編)
訓練所ではブラートとスサノオが組み手を行っていた、組み手とは思えないほどに激しいものであった。
「おりゃあああ!!」
「ぬううううん!!」
拳と蹴りが激しく繰り広げられている、少しでも気を抜けば命取りになるかもしれない。
「「おおおお!!!」」
ブラートとスサノオのこんしんの拳がぶつかった、辺りに衝撃波がおこった、二人はそのまま動かなかった。
「さすがだぜ、熱い拳だった」
「お前もな」
二人は実力を認め合い笑みを浮かべた。
「スーさんがいてくれて助かったぜ、俺と同じ体格の奴がいなくて組み手も一苦労だったからな」
「お安いご用だ」
ブラートの体から汗が滝のように流れている。
「確かにラバやイエヤスでは体格が合わんからな」
「かつてはアカメで組み手していたからな」
ブラートは少し寂しそうに語った。
「アカメか・・・俺が入る前に殉職した奴だな、凄腕だったと聞く」
「ああ、アカメは強かったぜ、特にスピードでは俺でもかなわねえ」
「そうなのか」
「あいつの先読みはまさに天性だからな、さらにスピードを加えたら敵なしだった・・・」
ブラートの言葉の最後のほうはやや力に欠けた。
「確かアカメを殺したのは俺と同じ生物型だったな」
「ああ、村雨にとって相性最悪だった」
ブラートは今でも覚えている、アカメが目の前でコロに食われてしまったところを、ブラートは今でも悔いることがある、もう少し早く駆けつけていればと・・・決して口にしてはならないが。
「・・・」
スサノオは少し微妙な表情になった、自分と同じ生物型がアカメを殺してしまっていたので、それを見てブラートは。
「スーさんが気に病むことはないよ、アカメはこうなることを覚悟でナイトレイドに入ったんだ、俺達の世界は常に死と隣り合わせなのさ」
「気を使わせてすまん」
「いいってことよ、もう一本組み手いこうか」
「ああ」
二人は再び組み手を開始した、先程よりもさらに激しい組み手だった、その最中ブラートはアカメとの最初の出会いを思い出していた。
「お前さんがアカメか」
「ああ、お前が百人斬りのブラートか・・・手配書とずいぶん感じが違うが」
「それは以前のやつだ、今の俺は前のよりグンとハンサムになっているだろう」
「・・・まあな」
正直に言ってハンサムかどうかはわからない、だが、ブラートから感じる強さは本物である。
「これからもよろしく頼む」
「ああ、こちらもな」
二人はガッチリ握手をした、打倒帝国を志して。
アカメ、お前の分まで戦うぜ、この熱い魂と共に、ブラートは心の中で誓ったのであった。