サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第三十二話

   鍛練を斬る(前編)

 

 

訓練所ではブラートとスサノオが組み手を行っていた、組み手とは思えないほどに激しいものであった。

 

「おりゃあああ!!」

 

「ぬううううん!!」

 

拳と蹴りが激しく繰り広げられている、少しでも気を抜けば命取りになるかもしれない。

 

「「おおおお!!!」」

 

ブラートとスサノオのこんしんの拳がぶつかった、辺りに衝撃波がおこった、二人はそのまま動かなかった。

 

 

「さすがだぜ、熱い拳だった」

 

「お前もな」

 

二人は実力を認め合い笑みを浮かべた。

 

 

「スーさんがいてくれて助かったぜ、俺と同じ体格の奴がいなくて組み手も一苦労だったからな」

 

「お安いご用だ」

 

 

ブラートの体から汗が滝のように流れている。

 

「確かにラバやイエヤスでは体格が合わんからな」

 

「かつてはアカメで組み手していたからな」

 

ブラートは少し寂しそうに語った。

 

 

「アカメか・・・俺が入る前に殉職した奴だな、凄腕だったと聞く」

 

「ああ、アカメは強かったぜ、特にスピードでは俺でもかなわねえ」

 

「そうなのか」

 

「あいつの先読みはまさに天性だからな、さらにスピードを加えたら敵なしだった・・・」

 

ブラートの言葉の最後のほうはやや力に欠けた。

 

 

「確かアカメを殺したのは俺と同じ生物型だったな」

 

「ああ、村雨にとって相性最悪だった」

 

 

ブラートは今でも覚えている、アカメが目の前でコロに食われてしまったところを、ブラートは今でも悔いることがある、もう少し早く駆けつけていればと・・・決して口にしてはならないが。

 

 

「・・・」

 

スサノオは少し微妙な表情になった、自分と同じ生物型がアカメを殺してしまっていたので、それを見てブラートは。

 

 

「スーさんが気に病むことはないよ、アカメはこうなることを覚悟でナイトレイドに入ったんだ、俺達の世界は常に死と隣り合わせなのさ」

 

「気を使わせてすまん」

 

「いいってことよ、もう一本組み手いこうか」

 

「ああ」

 

 

二人は再び組み手を開始した、先程よりもさらに激しい組み手だった、その最中ブラートはアカメとの最初の出会いを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

「お前さんがアカメか」

 

「ああ、お前が百人斬りのブラートか・・・手配書とずいぶん感じが違うが」

 

「それは以前のやつだ、今の俺は前のよりグンとハンサムになっているだろう」

 

「・・・まあな」

 

正直に言ってハンサムかどうかはわからない、だが、ブラートから感じる強さは本物である。

 

「これからもよろしく頼む」

 

「ああ、こちらもな」

 

二人はガッチリ握手をした、打倒帝国を志して。

 

 

 

 

 

 

 

 

アカメ、お前の分まで戦うぜ、この熱い魂と共に、ブラートは心の中で誓ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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