鍛練を斬る(後編)
訓練所ではラバとイエヤスが腕立て伏せに励んでいる。
「どうした、イエヤス、差が広がる一方だぞ!!」
ラバはどや顔で腕立て伏せに励んでいる、するとイエヤスは不満げにラバを睨みつける。
「・・・お前なあ、こんなの差が広がるに決まってるだろ!!」
ラバの背中にレオーネが座りイエヤスの背中にブラートが座っている。
「それでもリードしていることには変わりねえ」
よくどや顔できるわね、サヨは苦笑いしつつ思った、その時シェーレが。
「それにしてもお二人の差、それほど大差ついていないんですよね、それってつまり・・・」
ボガン!!
レオーネの鉄拳が炸裂した、シェーレの頭にたんこぶができた。
「単にラバが非力なだけだ」
あくまでレオーネは自分の体重は無関係だと無言のアピールをしている。
「そういや以前、似たようなことあったな・・・」
イエヤスは寂しそうな表情をした、ある鍛練のことを思い出したからである。
ある日同じように鍛練をしていた、ただ、ラバの背中にはレオーネが座り、イエヤスの背中にはアカメが座っている。
ボガン!!
アカメはレオーネに殴られた、アカメの頭にたんこぶができた。
「何をする、私は本当のことを言っただけだぞ、現にレオーネの体重は・・・」
ボガン!!
再びアカメはレオーネに殴られた。
「何をする、私はレオーネの体重を言おうとしただけだぞ」
アカメは涙目で訴えるも。
「それ、言っちゃダメだろ!!」
レオーネが激しく怒るもアカメは何故殴られたのか理解していない。
「いいじゃん、体重ぐらい知られたって」
イエヤスが考えなしに言ってしまった、レオーネの怒りがイエヤスにむけられた。
「てめえ、乙女の体重を何だと思ってる!!」
レオーネは指折りしながらイエヤスに近づいていく、イエヤスはダッシュして逃げるもレオーネにすぐ捕まった。
「てめえ、覚悟できてるな!!」
訓練所にイエヤスの悲鳴が鳴り響いた。
「俺、あの時アカメが死ぬなんて夢にも思わなかったな・・・」
イエヤスがしんみりしていると、ブラートが。
「俺達ナイトレイドはいつ誰が死んでもおかしくないからな、だからこそつねに鍛練しなくてはならないんだ」
ブラートの言葉には重みがあった、それを聞いてイエヤスは気合いが入った。
「俺、もっと鍛練に励むよ」
イエヤスは腕立て伏せを再開した。
「じゃあ、今度は私がイエヤスに座って、ブラートがラバに座りなよ、そうすれば私の体重は関係ないってわかるから」
ラバは明らかに顔色が変わった、するとイエヤスが。
「やめとけよラバ、力ないのばれるぜ」
イエヤスはラバを鼻で笑うと、ラバは激怒した。
「ふざけるな、お前なんかに負けるかよ、見てろ!!」
ラバはブラートを背中に座らせて腕立て伏せを再開した、凄まじい気迫だった、最初のうちは・・・
しばらくしてラバは燃え尽きうつぶせに横たわっていた。