覗きを斬る
鍛練を終えたラバがニヤニヤしながら何か考えている、それを見てイエヤスは。
「どうした?」
ラバは聞こえていないようだ、イエヤスはラバに近づいていくと。
この前はAルートを通ろうとして気付かれた、次はBルートを通るか・・・
「お前、覗きの計画たててんのか?」
「わっ!!驚かすなよ」
「声かけたのにお前気付かないから」
「そうか」
「お前、鍛練であれだけへとへとになったのにどこにそんな体力あるんだよ」
イエヤスがややあきれていると。
「覗きは別なんだよ」
ラバはついさっきまでへばっていたが覗きの計画を始めた途端に体力が全快した。
「全くお前はいいよな、その帝具があれば覗きし放題なんだからな」
ラバはイエヤスに心底妬ましかった、だが、イエヤスは沈んだ表情で。
「帝具で覗きなんかしてねえよ・・・」
「またまた、うそつくなよ」
イエヤスの表情に笑みはなかった。
「・・・もしかしてマジ?お前何やってんのその帝具持ってて覗きしないなんて、お前、ホモなのか!?」
「違えよ!!以前ボスに釘刺されたんだよ・・・」
イエヤスはその時のことを語り始めた。
「イエヤス、一応お前にこの帝具を渡しておこう」
ナジェンダはスペクテッドをイエヤスに渡した。
「マインはその帝具をお前が持つのは反対しているのだが、ナイトレイドの今後の活動にその帝具は役に立つだろう、私はお前が覗きをしないと信じているぞ」
ナジェンダはイエヤスの肩をポンと右手を置いた、だが、その右手はイエヤスの肩をすごい力で握り始めた、ナジェンダの目も標的を仕留める時の目をしていた、イエヤスは心底恐怖した。
「あの時のボスの目を思い出したら怖くて覗きなんかできねえよ・・・」
まさに蛇の生殺しである、それを聞いてラバは憤慨した。
「お前それでもタマついてんのかよ、このチキンヤロー!!」
ラバの言葉にイエヤスはカチンとした。
「お前、あの時のボスの目見てないからそんなこと言えるんだよ!!」
「俺はビビらねえぜ」
「どうだか」
今度はラバがカチンとした。
「だったら証明してやるよ、幸い今はナジェンダさんの入浴の時間だ、俺の生き様見せてやる!!」
ラバはダッシュで浴場へ向かって行った。
「・・・大丈夫かな」
イエヤスはやや心配顔をしていた。
10分後、ラバは顔をボコボコにして帰って来た、見事な大失敗だった。
「・・・見たか、俺の生き様を」
ラバは親指を立てて誇らしげに振る舞った。
「お前、すげえな・・・」
イエヤスは苦笑いしながらもラバの男の生き様を見届けたのであった。
そういやアカメちゃんと初めて会った日もこんなんだったな・・・
「全く、お前どういうつもりだ?」
アカメは入浴を覗こうとしたラバをボコボコにした。
「へへ、挨拶みたいなものだよ」
ラバは全く反省していなかった。
「今日初めて会った女の入浴を覗くなどあきれてものが言えんぞ」
アカメは心底あきれている。
「覗きこそ俺の生きがいだからな」
「次、やったら葬るからな」
「それでビビる俺じゃねえぜ」
アカメの脅しにもラバは全く臆していない。
「お前は肝が据わっているのか、大バカなのか・・・」
アカメは複雑な顔をしているとラバは。
「まあ、とにかくこれからもよろしく頼むぜ」
「・・・ああ、よろしく頼む」
アカメは毒気を抜かれたようであった。
「今後も入浴を覗くのか?」
「もちろん」
ラバは清々しい笑顔で返答した。
「・・・やっぱり、今葬る」
その瞬間ラバは目にも止まらぬ速さで逃げていった。
「逃げたか・・・あいつ、ガイに似てるな」
ガイとはアカメの暗殺部隊の仲間であり、女に目がなかった、とある任務で殉職した。
「あんな奴でも仲間だ死んでほしくないな・・・」
アカメは仲間を失う悲しみはもうたくさんであった。
ラバはアカメがそう考えているとは全く想像しておらず、次の覗きの計画をたてていた。
俺、アカメちゃんの分まで戦うからよ、見ててくれよな、ラバはボコボコの顔で心に誓ったのであった。