サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第三十七話

    裏切り者を斬る

 

 

 

 

深夜のナイトレイドのアジト、ナジェンダは自室で酒を飲んでいた、いい具合にほろ酔いである、ナジェンダは思い出していた、アカメと最初に会った時の事を・・・

 

 

 

 

 

 

辺境の山奥、そこに一人のマントで全身を覆った人間がいる、ナジェンダである。

 

 

「さて、このあたりだな」

 

このあたりで帝具が発見されたと噂が流れて革命軍幹部の命令でナジェンダが赴いていた、むろん、罠を考慮して。

 

 

 

「鬼がでるか蛇がでるか・・」

 

 

ナジェンダは用心深く辺りを見回している、人の気配は感じなかった。

 

 

「人の気配を感じんな、襲撃を予想してい・・・」

 

その瞬間、ナジェンダは何かを感じた、殺気ではない、だが、危険な感じがした。

 

 

ナジェンダはとっさに右腕を上へ伸ばした。

 

 

ガキイイイイイン!!

 

 

金属音が鳴り響いた、何者かが斬りつけたのだ、そこには刀を振りかざした黒髪の女がいた。

 

 

 

こいつは?なんて奴だ、全く殺気を感じなかった、できる!!

 

 

女はすぐ後ろに下がった、すぐに戦闘体勢を整えた。

 

 

「やはり罠だったな、お前、帝国の暗殺部隊の者だな」

 

 

女はナジェンダの問いを無視している。

 

 

「何も語らんか、暗殺者なら当然だな」

 

 

ナジェンダは持参したパンプキンを構えた。

 

 

撃てるか?今の私に、だが、やるしかない!!

 

 

ナジェンダはパンプキンを撃った、女は間一髪かわした、凄まじい衝撃がナジェンダを襲った。

 

 

くっ、やはり、今の私ではもうパンプキンはろくに使えないか・・・

 

 

ナジェンダは口惜しかった、自分が衰えてしまったことを。

 

 

女はすかさずナジェンダに斬りかかった、ナジェンダは義手でなんとか防いだ、そして、ナジェンダはあることに気づいた。

 

 

・・・あれは、まさか、村雨か!?

 

 

ナジェンダは女の刀を見て驚愕した、文献で見たことがある、帝具村雨、かすり傷でも呪毒で標的を仕留めることができるという・・・まさか自分の前に敵として現れるとは・・・

 

 

女はさらに斬りつけてくる、義手でなんとか防いでいるが長くは持たないだろう。

 

 

 

このままでは・・・逃げるか・・・いや、じき追いつかれる、ナジェンダは焦りを感じ始めた、その瞬間ナジェンダは自分に言い聞かせた、落ち着け、焦らず冷静に考えるんだ。

 

 

 

ナジェンダは女を観察した、すると、女から何か迷いのようなものを感じた。

 

 

 

こいつ、何か迷いがあるのか?そうでなくては最初の一撃で私はやられていたからな、ナジェンダは自信があるわけではなかったが、このままではやられてしまう、一か八かに賭けることにした。

 

 

「・・・お前、何か帝国に疑念があるんだろ!!」

 

 

「!?」

 

 

ナジェンダの問いかけに女の表情に微かに変化があった。

 

 

「何を言っている?」

 

女は冷静さを装うとした、すかさずナジェンダは。

 

 

「何度でも言おう、お前、今の帝国をどう思っているんだ!?」

 

 

「・・・」

 

 

女は明らかに動揺している。

 

 

「お前も帝国の狂気を目の当たりにしたのだろう」

 

女から殺気が消えた、むろん油断はできないが。

 

 

 

「お前もそうなのか?」

 

 

ナジェンダは女に語り始めた、バン族の惨劇について。

 

 

「なるほどな・・・やはりそうだったのか・・・」

 

 

女は落ち込んでいるようだった、自分が信じてきたことが偽りだったのだから。

 

 

「ところでお前の名前を教えてもらってもいいか?」

 

「ああ、私はアカメだ」

 

アカメは自分のいきさつを語った、自分は暗殺部隊の一員で帝国の裏仕事を行ってきたことを。

 

 

「暗殺部隊か・・・帝国のやりそうなことだな」

 

 

幼子を暗殺者として育成して不穏分子を消していく、ナジェンダは不快をあらわにした。

 

 

 

「私はそれが民の幸せになると信じていた・・・だが」

 

 

アカメは自分の想いが踏みにじられて怒りをあらわににしている。

 

 

「民を想うのであれは革命軍にこないか?」

 

 

「反乱・・・革命軍にか? だが、いいのか、私はお前の仲間も殺してしまったかもしれないんだぞ」

 

 

「それも民を想ってこそだろ、確かにお前をいれるのは骨が折れるだろう、だが、私はお前の民を想う気持ちを信じて見ようと思う」

 

 

「すまない」

 

 

アカメはナジェンダに頭を下げた。

 

 

「だが、一つ言っておく、今後お前は裏切り者と罵られる人生を強いられるかもしれん」

 

 

ナジェンダの表情は厳しかった、アカメは驚いていなかった。

 

 

「そうだな、私のやろうとしていることは裏切り以外のものではないからな」

 

 

「お前の仲間も裏切り者として殺しにくるだろう、返り討ちにできるか?」

 

 

「ああ、斬る覚悟はできている、だが、一つ頼みがある」

 

「なんだ?」

 

 

アカメはナジェンダにクロメのことを説明した。

 

 

「わかった、だが、お前の妹を説得するのは難しいと思うが」

 

 

「ああ、その時は私がクロメを斬る、だから妹に関する事はできる限り私の要望はかなえて欲しい」

 

 

「ああ、私もできる限りの事をする」

 

 

「すまない」

 

 

「気にするな」

 

 

「では、私はクロメを説得しに行く、もし、うまくいったら・・・」

 

 

「妹も受け入れよう」

 

 

「すまない」

 

アカメは頭を下げた、そしてアカメは手を差し出した。

 

 

「これからもよろしく頼む、ナジェンダ」

 

「ああ」

 

二人はガッチリと握手した、そしてアカメは走り去った。

 

 

「・・・お前にはいばらの道を歩ませることになるだろうな」

 

ナジェンダは申し訳なさそうな顔をしている。

 

 

「だが、民のために腐敗した帝国を打倒するためにはお前の力が必要なのだ」

 

 

ナジェンダは覚悟を決め、天を仰いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナジェンダは酒の入ったグラスを見つめている、亡き友を想いながら。

 

 

「私がお前を誘った事でお前を死なせてしまった・・・アカメ、私を恨んでくれても構わない・・・だが、革命を成功するまでは私は死ぬわけにはいかない・・・その時までは・・・」

 

 

 

ナジェンダはアカメに願わずにはいられなかった、ナジェンダはグラスの酒を一気に飲み干した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はアカメとナジェンダの出会いを書きました、近い内にアカメが斬る零で二人の出会いが描かれるでしょう、この話よりもずっと面白く、零はいよいよクライマックスだと思います、この話はまだ続きます、これからもよろしくお願いします。

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