武勇伝を斬る
7月17日晩
帝都にあるとあるレストラン、あまり有名ではないが味に定評がある店である、そこに二人の女子がやってきた、その二人の客はエスデスとセリューである、今日二人は非番であった。
「そこの席に座るか」
「は、はい」
セリューは少し緊張している、二人は席に座ると。
「メニューは私のオススメでいいか?」
「は、はい」
「お前、酒飲めるか?」
「は、はい、少しなら大丈夫です」
「そうか、では注文するか」
エスデスはウェイターに注文をした、しばらくして料理がだされて二人は食事を始めた。
「どうだ?」
「はい、とても美味しいです」
セリューは満面の笑みを浮かべた。
「そうだろ、私が見込んだ店だ、ちやほやされているだけの店とは違う」
自信満々のエスデスを見てセリューは思った、隊長は強いだけの人ではない、なんでもできる人だと。
「もっと早く馳走してやるつもりだったが、いろいろごたごたがあって遅れたがな」
「いえ、滅相もありません、ご馳走していただいただけで私は・・・」
「まあ、今は堅苦しいのはなしだ、お前ももっと力を抜け」
「はい」
セリューの足元ではコロが肉をむさぼっている。
「コロも嬉しそうです」
「そうだな」
店に入った時店員からペットは遠慮してほしいと言われたが、これは帝具だとエスデスは睨みつけてまとめたのであった。
二人は食事を食べ終えて会話を始めた。
「隊長は18歳で将軍になられたんですよね」
「そうだ」
「隊長の初陣はいくつの時だったんですか?」
「12になって間もない頃だ」
「そうなんですか?」
「ああ、危険種をあらかた狩りつくしてすることがなかったな、それで兵になろうと思い帝都へ赴いたのだ」
「それから士官したんですね」
「ああ、だが兵舎へ行ったら子供だから軽んじられた、少しムカついたので兵舎にいた兵を全員たたきのめしてやった」
エスデスは誇らしげに語った。
「えっ、そんなことしたら・・・」
「ああ、その後捕まり牢にぶち込まれた」
エスデスは嬉しそうに語った、セリューはこの人はやっぱりすごいと思った。
「その後、その一件の事を軍が知ってなんとか帝国兵になれたのだ」
「そこから隊長は大活躍するのですね」
「まあな、その後武勲をたてて小隊長に昇格した、そして小隊を率いて戦場に行き・・・」
「大活躍ですね」
「いや、ボロ負けだった」
「えっ、それは意外です」
セリューもさすがに驚いた、てっきり大勝利と思っていたけど。
「私は無傷だったが、小隊は大打撃を受けた、采配をおろそかにしてな、一兵卒と小隊長とでは戦い方が異なるからな」
「それでどうなったのです?」
「その後酷評された、強いだけの馬鹿なガキとな、まあ、その通りだったから甘んじて受け入れた、その後私は用兵の本を読み、私に合った用兵を練った、しばらくして再び小隊を率いて戦場に出た」
「どうなったのですか?」
「敵の一個中隊を蹂躙してやったぞ」
「さすが隊長です」
セリューは大はしゃぎで喜んでいる、エスデスも酒が進んで気分がよかった、その後もエスデスの戦場の話で盛り上がった。
「隊長は帝国一勇猛な軍人です、一度も臆したことはないです」
酒を飲んでセリューも上機嫌だった、だがエスデスは少し表情が曇った。
「いや・・・一度だけ人間をおぞましいと感じたことがあったぞ」
「本当ですか!?意外です」
セリューはエスデスが臆したことがあったとは信じられなかった。
「私が子供の頃にある女に口説かれてな」
「口説かれた!?」
「ああ、あきらかに欲情を抱いていたな」
「それって・・・」
セリューは思った、その女はいわゆるレズだと。
「ああ、お前の想像の通りだ、私をものにしようとしていた」
「それで・・・」
まさかと思うが隊長、その女に・・・
「私は危険を察して必死に逃げたぞ」
「それはよかったです」
セリューは心から安堵した。
「だが私にとっては屈辱以外なんでもない」
エスデスは心底悔しそうである。
「その女何者なのでしょう?」
「ああ、その女はメラルドと名乗っていた、ただ者ではなかった」
「隊長がただ者ではないと言うなんて・・・」
その女恐ろしく強いですね、でも、隊長には及びません。
「そいつとは是非とも戦ってみたいな、面白い戦いができそうだ」
メラルド・・・私に屈辱を与えた女・・・蹂躙しがいがあるな。
エスデスの笑顔は狂喜そのものだった、セリューはその顔を見てうっとりしている。
「ところで話は変わるがアカメは強かったか?」
エスデスの突然の質問にセリューは。
「はい、私が倒してきた悪のなかで一番強かったです、あの時は死を覚悟しました」
「だろうな、私も戦いたいと本気で思っていたからな」
「あの、ええと・・・」
「落ち着け、お前を責めるつもりはない、お前の方が強かったから勝った、それだけだ」
「はい」
エスデスはグラスの酒を飲み干した、その時セリューはアカメとの死闘を思い出していた。
「ぐっ!!」
セリューはアカメの斬撃を腹部にくらった、血があふれ出ている。
「しまった・・・これはまずい」
セリューの顔が苦痛に歪んでいる、アカメは止めの一撃を繰り出そうとしていた。
私は死ぬのか?この世の悪を滅ぼさないまま、いやだ!!私はまだ死ぬわけには・・・オーガ隊長の敵を取るまで・・・そうだ、私には隊長から授かった切り札が・・・
セリューは右腕を楯にしてアカメの攻撃を防いだ、そして・・・
「正義執行!!!」
セリューは切り落とされた両腕から隠し銃を出した、そして、アカメの全身に銃弾を浴びせた。
ドドドドウ!!
アカメは銃撃を全身に浴び、地に倒れた、さすがに仕留めただろう、だが・・・
アカメは涙をながしながら右腕を上に伸ばした、命ごいか、なんて醜い・・・
この期におよんで命ごいとはみっともないぞ!!
潔く死ね!!
ドウ!!
止めの銃撃はアカメの頭を撃ち抜いた、これでアカメの最後だろう・・・
「どうした、セリュー」
「は、はい、アカメとの戦いを思い出していたんです」
「そうか」
「アカメは仕留めましたが、オーガ隊長の敵であるサヨは逃してしまいました」
セリューは心底から悔しがっている。
「奴とも戦う機会はあるだろう」
「はい、その機会は逃しません」
「さて、そろそろ店をでるぞ」
「はい、隊長」
セリューはコロを抱き上げてエスデスとともに店を出た。
「隊長、今日はとても楽しかったです」
「明日からは再び忙しくなるぞ、心しておけ」
「はい、隊長!!」
セリューは力強く敬礼をした、明日から悪を撲滅するために気合いを入れるのであった。
アカメとセリューの戦いを再度書きました、ところでアカメを倒せそうなキャラクターはセリュー以外に誰が思いつきますか。