サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第四十話

   武勇伝を斬る

 

 

7月17日晩

 

 

帝都にあるとあるレストラン、あまり有名ではないが味に定評がある店である、そこに二人の女子がやってきた、その二人の客はエスデスとセリューである、今日二人は非番であった。

 

 

「そこの席に座るか」

 

「は、はい」

 

セリューは少し緊張している、二人は席に座ると。

 

「メニューは私のオススメでいいか?」

 

「は、はい」

 

「お前、酒飲めるか?」

 

「は、はい、少しなら大丈夫です」

 

「そうか、では注文するか」

 

 

エスデスはウェイターに注文をした、しばらくして料理がだされて二人は食事を始めた。

 

 

「どうだ?」

 

「はい、とても美味しいです」

 

セリューは満面の笑みを浮かべた。

 

「そうだろ、私が見込んだ店だ、ちやほやされているだけの店とは違う」

 

自信満々のエスデスを見てセリューは思った、隊長は強いだけの人ではない、なんでもできる人だと。

 

「もっと早く馳走してやるつもりだったが、いろいろごたごたがあって遅れたがな」

 

「いえ、滅相もありません、ご馳走していただいただけで私は・・・」

 

「まあ、今は堅苦しいのはなしだ、お前ももっと力を抜け」

 

「はい」

 

セリューの足元ではコロが肉をむさぼっている。

 

 

「コロも嬉しそうです」

 

「そうだな」

 

店に入った時店員からペットは遠慮してほしいと言われたが、これは帝具だとエスデスは睨みつけてまとめたのであった。

 

 

 

二人は食事を食べ終えて会話を始めた。

 

 

「隊長は18歳で将軍になられたんですよね」

 

「そうだ」

 

「隊長の初陣はいくつの時だったんですか?」

 

「12になって間もない頃だ」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、危険種をあらかた狩りつくしてすることがなかったな、それで兵になろうと思い帝都へ赴いたのだ」

 

「それから士官したんですね」

 

「ああ、だが兵舎へ行ったら子供だから軽んじられた、少しムカついたので兵舎にいた兵を全員たたきのめしてやった」

 

エスデスは誇らしげに語った。

 

 

 

「えっ、そんなことしたら・・・」

 

「ああ、その後捕まり牢にぶち込まれた」

 

エスデスは嬉しそうに語った、セリューはこの人はやっぱりすごいと思った。

 

「その後、その一件の事を軍が知ってなんとか帝国兵になれたのだ」

 

「そこから隊長は大活躍するのですね」

 

「まあな、その後武勲をたてて小隊長に昇格した、そして小隊を率いて戦場に行き・・・」

 

 

「大活躍ですね」

 

「いや、ボロ負けだった」

 

「えっ、それは意外です」

 

セリューもさすがに驚いた、てっきり大勝利と思っていたけど。

 

 

「私は無傷だったが、小隊は大打撃を受けた、采配をおろそかにしてな、一兵卒と小隊長とでは戦い方が異なるからな」

 

「それでどうなったのです?」

 

「その後酷評された、強いだけの馬鹿なガキとな、まあ、その通りだったから甘んじて受け入れた、その後私は用兵の本を読み、私に合った用兵を練った、しばらくして再び小隊を率いて戦場に出た」

 

「どうなったのですか?」

 

 

「敵の一個中隊を蹂躙してやったぞ」

 

「さすが隊長です」

 

セリューは大はしゃぎで喜んでいる、エスデスも酒が進んで気分がよかった、その後もエスデスの戦場の話で盛り上がった。

 

「隊長は帝国一勇猛な軍人です、一度も臆したことはないです」

 

酒を飲んでセリューも上機嫌だった、だがエスデスは少し表情が曇った。

 

 

「いや・・・一度だけ人間をおぞましいと感じたことがあったぞ」

 

「本当ですか!?意外です」

 

セリューはエスデスが臆したことがあったとは信じられなかった。

 

「私が子供の頃にある女に口説かれてな」

 

「口説かれた!?」

 

「ああ、あきらかに欲情を抱いていたな」

 

「それって・・・」

 

セリューは思った、その女はいわゆるレズだと。

 

「ああ、お前の想像の通りだ、私をものにしようとしていた」

 

「それで・・・」

 

まさかと思うが隊長、その女に・・・

 

 

「私は危険を察して必死に逃げたぞ」

 

「それはよかったです」

 

セリューは心から安堵した。

 

「だが私にとっては屈辱以外なんでもない」

 

エスデスは心底悔しそうである。

 

「その女何者なのでしょう?」

 

「ああ、その女はメラルドと名乗っていた、ただ者ではなかった」

 

「隊長がただ者ではないと言うなんて・・・」

 

その女恐ろしく強いですね、でも、隊長には及びません。

 

「そいつとは是非とも戦ってみたいな、面白い戦いができそうだ」

 

メラルド・・・私に屈辱を与えた女・・・蹂躙しがいがあるな。

 

 

エスデスの笑顔は狂喜そのものだった、セリューはその顔を見てうっとりしている。

 

 

「ところで話は変わるがアカメは強かったか?」

 

エスデスの突然の質問にセリューは。

 

「はい、私が倒してきた悪のなかで一番強かったです、あの時は死を覚悟しました」

 

「だろうな、私も戦いたいと本気で思っていたからな」

 

「あの、ええと・・・」

 

「落ち着け、お前を責めるつもりはない、お前の方が強かったから勝った、それだけだ」

 

「はい」

 

エスデスはグラスの酒を飲み干した、その時セリューはアカメとの死闘を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ!!」

 

セリューはアカメの斬撃を腹部にくらった、血があふれ出ている。

 

 

「しまった・・・これはまずい」

 

セリューの顔が苦痛に歪んでいる、アカメは止めの一撃を繰り出そうとしていた。

 

 

 

私は死ぬのか?この世の悪を滅ぼさないまま、いやだ!!私はまだ死ぬわけには・・・オーガ隊長の敵を取るまで・・・そうだ、私には隊長から授かった切り札が・・・

 

 

セリューは右腕を楯にしてアカメの攻撃を防いだ、そして・・・

 

 

 

「正義執行!!!」

 

 

セリューは切り落とされた両腕から隠し銃を出した、そして、アカメの全身に銃弾を浴びせた。

 

 

ドドドドウ!!

 

 

 

アカメは銃撃を全身に浴び、地に倒れた、さすがに仕留めただろう、だが・・・

 

 

アカメは涙をながしながら右腕を上に伸ばした、命ごいか、なんて醜い・・・

 

 

 

この期におよんで命ごいとはみっともないぞ!!  

 

潔く死ね!!

 

ドウ!!

 

 

止めの銃撃はアカメの頭を撃ち抜いた、これでアカメの最後だろう・・・

 

 

 

 

 

 

「どうした、セリュー」

 

「は、はい、アカメとの戦いを思い出していたんです」

 

「そうか」

 

「アカメは仕留めましたが、オーガ隊長の敵であるサヨは逃してしまいました」

 

セリューは心底から悔しがっている。

 

 

「奴とも戦う機会はあるだろう」

 

「はい、その機会は逃しません」

 

「さて、そろそろ店をでるぞ」

 

「はい、隊長」

 

セリューはコロを抱き上げてエスデスとともに店を出た。

 

 

「隊長、今日はとても楽しかったです」

 

「明日からは再び忙しくなるぞ、心しておけ」

 

「はい、隊長!!」

 

セリューは力強く敬礼をした、明日から悪を撲滅するために気合いを入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アカメとセリューの戦いを再度書きました、ところでアカメを倒せそうなキャラクターはセリュー以外に誰が思いつきますか。

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