サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第四十一話

   借金を斬る

 

 

7月17日深夜

 

 

帝都のとある建物、そこには複数の男がいた、そのうちの一人は用を足しに部屋を離れた。

 

「へへへ、明日は借金のカタにあの家の娘をゲットできるぜ、その前につまみ食いを・・・」

 

いやらしい顔をしながら歩いている、すると・・・

 

 

ジャコッ!!

 

 

突然男は真っ二つになった、あたり一面血まみれになった。

 

 

「どうした?」

 

 

別の男が異変に気づき部屋から出てきた、男が事態を把握する前に・・・

 

 

ズバッ!!

 

 

男の喉が突然斬りつけられた、喉から血があふれ出した、すると、傷口から文字が浮かびだした、そして男は苦しみながら死んだ。

 

 

「なんだ!?」

 

 

残りの男達が武器を手に飛び出した、そのうちの一人は突然ぶっ飛ばされた、顔面はぐしゃぐしゃに潰れていた。

 

「なんだテメエは!?」

 

目の前に現れたのは胸のでかい女だった、その風貌は人間と少し違っていた。

 

 

「ろくでなしだよ」

 

女は指折りしながら不敵に笑っている。

 

「殺せ!!」

 

男達は一斉に飛び掛かった、だが、女はあっさり男達を返り討ちにした。

 

「ふう、片付いたな」

 

女は一息入れると、少年が現れた。

 

「逃げた奴はいない、全員仕留めたよ」

 

少年が報告すると女は笑みを浮かべた。

 

 

「仕事も終わったし一杯やるか」

 

女が陽気にしていると。

 

「何言ってるの、ここからが本題でしょ」

 

少女が女に注意した。

 

「わかってるよ、冗談だよ」

 

「案外本気だったんじゃ・・・」

 

少女は眉をひそめている、だがすぐに気を取り直して、もう一つの仕事に取り掛かった。

 

 

 

数時間前

 

ナイトレイドのアジトの会議室で今回の任務の打ち合わせをしている。

 

 

「今回の標的は悪徳高利貸しと人身売買組織だ」

 

ナジェンダは一同に説明している、皆の表情も真剣そのものである。

 

「多くの人間が法外な利息で増大した借金で脅され人身売買組織につけ込まれ、されるがままになっている」

 

「・・・」

 

サヨ達は非道なやり方に怒り心頭している。

 

「罪のない人間を弄んでいる奴らだ、情けはいらんぞ」

 

一同の想いは同じである。

 

「高利貸しの方にはサヨ、シェーレ、レオーネ、ラバ、人身売買組織の方にはマイン、ブラート、イエヤス、チェルシーに行ってもらう」

 

 

一同はナジェンダに指示を受け気合いを入れている、だが、ナジェンダの表情は困惑していた。

 

「・・・その前に一つ言っておくことがある」

 

何だろう、とサヨが思っていると。

 

 

「レオーネがその高利貸しに保証人のサインをしてしまったのだ・・・」

 

一同は騒然とした。

 

「なんでそんなことに!?」

 

サヨが驚いているとレオーネは気まずそうに頭をポリポリかいている。

 

 

「いやあ・・・酔っ払っているところに金貸しの奴が紙にサインしたら酒おごってやると言ってきて、つい・・・てへっ」

 

レオーネは舌をペロッと出した、その行為がナジェンダの逆鱗に触れた。

 

「てへっ、じゃないだろ!!」

 

 

ボガン!!

 

 

ナジェンダの怒りの鉄拳が炸裂した、レオーネの頭に大きなたんこぶができた。

 

「とにかく、レオーネの証文を回収しなければレオーネに容疑がかかる恐れがある、面倒だが頼んだぞ」

 

「了解」

 

とはいうもののサヨは内心面倒臭いと思っている、だが、レオーネも手配されたらまずいことになるので仕方ないと切り替えることにした。

 

「では、任務開始だ」

 

「了解」

 

一同は持ち場に全速力で移動した。

 

 

 

 

 

 

そして今に至る

 

 

サヨとレオーネとラバはレオーネの証文を探しているがなかなか見つからない。

 

「どう?」

 

「こっちにはないな、姐さんはどう?」

 

「ないな」

 

あまり時間はかけられなかった、いつ人がくるかわからないから。

 

 

「あの・・・私も手伝いましょうか?」

 

シェーレも手伝いをしたがっている、するとラバは。

 

「シェーレさんは外を見張ってて、俺達でなんとかなるから」

 

・・・シェーレさんには悪いがシェーレさんが手伝うと余計見つかりにくくなるからな・・・

 

ラバはそう思いつつ作業に取り掛かる、すると、ラバの帝具に反応があった。

 

 

「誰が来る、しかも・・・これは素人じゃない、手練れだ」

 

「どうするの、このままじゃ・・・」

 

サヨ達は焦った、証文を回収せずに引く訳にはいかないから。

 

 

「私がなんとかする、お前らは作業を続けろ」

 

「わかった、気をつけて」

 

レオーネは部屋を後にした、サヨ達は作業を続けた。

 

 

「さて、次はこの区域だな」

 

やってきたのはウェイブだった、パトロールの途中であった。

 

「なんだ?」

 

ウェイブは目を凝らした、すると、誰かが近づいてきた、それは獣人化を解いたレオーネだった。

 

 

「ういー、ヒック」

 

「おい、大丈夫か、相当酔ってるな」

 

レオーネは金貸しの所から酒を飲み、酔っ払いのふりをしてウェイブを追い払うつもりだった。

 

そんなこととはつゆ知らず、ウェイブはレオーネに近づいて介抱した。

 

「酔ってないよ~ん!!」

 

「おもいっきり酔ってるだろ!!」

 

「酔ってな・・・うぷっ!!」

 

レオーネは口を手で覆った。

 

「大丈夫か」

 

「・・・なあ、その袋くれよ」

 

レオーネはウェイブのズボンを指さした。

 

「これは袋じゃねえぞ」

 

「ケチケチするなよ、よこせよ」

 

レオーネはウェイブからズボンを分捕った、そしてズボンに吐き出した。

 

 

「あああああ!!」

 

ウェイブは悲痛の絶叫をした、自分のズボンがとんでもないことになってしまったから。

 

「俺のズボンが・・・」

 

ウェイブはズボンを手に涙目になって呆然としている。

 

「ふう、スッキリ・・・あれ、お前なんでパンツ姿なんだ、もしかして私に欲情したのか?」

 

レオーネはニヤニヤしながらウェイブに言うと。

 

 

「お前が脱がせたんだろうが!!」

 

ウェイブは涙目で怒り心頭している。

 

「悪かったな、お詫びにパフパフしてやるよ」

 

レオーネは巨乳を見せつけた、するとウェイブは顔を真っ赤にしてうろたえた。

 

「よ、よせ・・・お前、まっすぐ家帰れよ、いいな!!」

 

ウェイブは汚れたズボンを拾い上げ走り去って行った。

 

 

「ウブな奴だな」

 

レオーネはニヤニヤしているとサヨ達が建物から出てきた。

 

「レオーネ、やっと見つけたわよ」

 

サヨは証文をレオーネに渡した。

 

 

「よし、これで任務完了と」

 

「よし、じゃないわよ、もとはと言えばレオーネが・・・」

 

脳天気にしているレオーネにサヨは文句を言った。

 

「まあまあ、固いことはなし、アジトに戻ろうぜ」

 

「全く・・・」

 

これ以上何を言っても無駄だとサヨは悟った、そしてサヨ達はこの場を離れた、途中でブラート達と合流してアジトへ帰還した。

 

 

 

その後ウェイブはパンツ姿の所を警備隊に見つかり拘束され、エスデスにろうそく責めの仕置きを受けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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