サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第四十二話

   馬鹿騒ぎを斬る

 

 

7月18日昼

 

 

ナイトレイドのアジトの食堂でちょっとした騒ぎが起こっていた。

 

 

「・・・」

 

サヨは顔を真っ赤にしている、なぜならレオーネに胸を揉まれているからである。

 

「ちょっと・・・やめてよ」

 

レオーネは聞き入れることなく胸を揉み続けている。

 

 

もにもにもに

 

 

「ところで金貸してくれない」

 

レオーネがサヨに借金のさいそくをするとサヨは激怒した。

 

「はあ!?私にこんなことしておいて貸すわけないでしょう」

 

レオーネは全く怯むことなく揉み続ける。

 

 

「いいじゃないか女同士なんだし」

 

「ふざけないで、やっていいことと悪いことが・・・」

 

サヨとレオーネのやりとりをイエヤスはじっと見ている、レオーネはそれに気づいて。

 

「お前も揉んでみるか?」

 

「いいのか!?」

 

イエヤスは予想外の申し出に嬉しそうである。

 

 

「いいわけないでしょ!!そんなことしたら村雨で斬るから」

 

サヨは激怒してイエヤスを睨みつけた。

 

「冗談に決まってるだろ、真に受けるなよ」

 

 

レオーネはそう言いながらサヨの胸を揉んだ。

 

「ちょっと、私、レオーネに揉んでいいなんて一度も言ったことないわよ」

 

サヨは激怒で抗議するもレオーネは聞く耳もたない。

 

「ケチケチするなよ減るもんじゃなし」

 

 

もにもにもに

 

 

レオーネはお構いないに揉み続けている、マインは呆れたようにながめている。

 

「レオーネ・・・ますます親父臭くなったわね・・・以前からそう思ってたけど」

 

スサノオもながめていたが、気にすることもなく食堂を出てナジェンダの部屋へ行った。

 

 

「入るぞ」

 

「ああ」

 

スサノオはナジェンダの部屋に入った。

 

「変わったことなかったか?」

 

「レオーネがサヨの胸を揉んでいる以外は特に」

 

「またか・・・まあ、いつものことだな」

 

ナジェンダがつぶやくとスサノオはナジェンダに質問した。

 

 

「女の胸を揉むのは楽しいものなのか?」

 

ナジェンダは思わず吹き出した。

 

「な、何をいきなり・・・」

 

「レオーネが飽きずに揉んでいるからふと思ってな」

 

スサノオは真面目に質問している、質問の内容を見れば滑稽だが。

 

 

「まあ・・・人それぞれだな」

 

ナジェンダは返事に困った。

 

「ナジェンダも胸を揉まれたことあるのか?」

 

スサノオの質問にナジェンダは思わず赤面した。

 

「・・・まあ、軍学校の頃に女子の先輩や同級生にな・・・」

 

「男にはないのか?」

 

「それはないぞ!!」

 

ナジェンダは思わず声が上がった。

 

「・・・男に揉まれるのと女に揉まれるとでは天地ほどの差があるんだな、俺には恋愛感情がないからいまひとつわからんな」

 

スサノオは真剣に考えている、周りが見たら爆笑ものだが。

 

 

「まあ、大昔からその類いの問題は絶えないからな」

 

「そうか」

 

ナジェンダはあることを閃いた。

 

 

「お前、恋愛感情に興味あるのか?」

 

「ああ、少しでも認識できればと思っている」

 

「そうか、じゃあ・・・」

 

ナジェンダはスサノオにあることを指示した。

 

 

 

食堂ではいまだにレオーネはサヨの胸を揉んでいた、その場にスサノオが現れた。

 

「どうしたの、スーさん?」

 

スサノオは無言で二人を見ている。

 

「どう、スーさんも揉んでみる?」

 

「ちょっ・・・何言い出すのよ」

 

「言ってみただけだよ、第一スーさんは・・・」

 

「ああ、揉んでみよう」

 

!!?

 

全くの予想外の展開である、食堂にいる全員が驚いている。

 

 

「では・・・」

 

スサノオは腕を伸ばした、サヨは動揺していた、まさかスーさんが胸を揉もうとするなんて・・・

 

 

「ちょっと待って、それは困る・・・」

 

恋愛感情がない帝具と言っても外見は男である、胸を揉まれるのは・・・

 

 

もにゅ

 

 

スサノオは胸を揉んだ、レオーネの胸を。

 

 

「!!?」

 

 

さすがのレオーネも予想しておらず混乱している。

 

「ちょっ・・・スーさん、何を?」

 

「ナジェンダがお前の胸を揉めと指示した」

 

「ボ、ボスが!?」

 

 

なんで私の胸を?仕返しか?心当たりがありすぎて絞れない。

 

 

もにもにもにもに

 

 

スサノオの胸揉みにレオーネはとても感じていた。

 

 

な、なんだこれ!?私よりもうまい、力強さと繊細さが見事にマッチしてなんとも言えない快感が生まれた。

 

 

 

しばらくしてレオーネは胸揉みにすっかり腰が抜けていた、レオーネは汗だくである。

 

 

「どうだ、スサノオ」

 

ナジェンダが食堂に現れた。

 

 

「ああ、女の胸を揉めば恋愛感情を少しは認識できるかもしれないと思ったが、何も感じなかった」

 

 

「ちょっと、私の胸揉んどいて何も感じないなんてあんまりだろ!!」

 

レオーネは涙目でスサノオに文句を言った。

 

「本当にすまん」

 

スサノオは深く頭を下げた。

 

「謝らないで、余計ミジメになるから」

 

レオーネは女のプライドを砕かれてへこんでいた。

 

 

「スマンな、どうせなら一番でかい胸を揉ませた方がいいと思ってな」

 

レオーネはなぜか少し安堵している。

 

「いやあ、私はてっきりボスのとっておきの酒の・・・」

 

レオーネはあわてて口を手で覆った、ナジェンダはそれを見逃さなかった。

 

「私の酒をなんだって?」

 

ナジェンダはレオーネを睨みつけている、レオーネは冷や汗まみれである。

 

「べ、別に・・・」

 

レオーネは視線をそらそうとしている。

 

「私のとっておきの酒を飲んだんだろ」

 

「・・・うん」

 

「他にもあるな」

 

「ええと・・・」

 

レオーネの様子でナジェンダは全てを察した。

 

「お前、覚悟はできてるな」

 

「ゴ、ゴメン、ボス、許して」

 

「ダメだ」

 

「そんなあ・・・」

 

レオーネは涙目になってシュンとしてしまっている、それを見てサヨは。

 

 

「ぷぷぷ・・・あははははははは、何やってるのレオーネ、勝手に墓穴掘っちゃって、あはははははは」

 

サヨは腹を抱えて大笑いしている、だがその瞬間、レオーネの雰囲気が変わった、肉食獣のような目でサヨを見ている。

 

サヨはその気配を感じ、まずい、早く逃げないと・・・

 

 

サヨはその場から逃げ出した、だが、レオーネは一瞬早くサヨに飛び掛かり、サヨを取り押さえた。

 

 

「何をするの、レオーネ」

 

サヨはレオーネに文句を言ったがレオーネは怒りの形相でサヨをにらんだ。

 

 

「私はなあ、人を笑うのは大好きだが、笑われるのは大嫌いなんだよ、お前、覚悟できてるな!!」

 

レオーネはサヨの服を掴んだ、そして勢いよくサヨの服を脱がした、サヨの胸が丸出しになった。

 

「おおおお!!」

 

ラバとイエヤスはサヨの胸に釘付けになっている。

 

「!!?」

 

サヨは一瞬何が起こったのかわからなかった、だが、すぐ自分に何が起こったのか理解できた。

 

「きゃあああ!! な、なんてことするのよ!!」

 

サヨは恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になっている。

 

「うるさい、私を笑った報いを受けろ!!」

 

 

もにゅ

 

 

レオーネは丸出しになった胸を揉んだ。

 

 

「いやああああ!!」

 

サヨは恥ずかしさのあまり絶叫した。

 

 

もにもにもにもに

 

 

「やめて、やめてよ!!」

 

 

サヨは必死に叫ぶもおさまる気配はない、すると、シェーレは寂しそうに眺めている。

 

「どうした、シェーレ?」

 

「はい、以前チュニに胸を揉まれていたなあ、と思い出しまして・・・」

 

 

チュニ・・・その名前に聞き覚えがある、確かシェーレの友達でシェーレが殺し屋になるきっかけになった事件に関わっていた・・・それ以上は羞恥心で考えることができない。

 

 

「だったらお前も揉んでみるか?」

 

「いいんですか?」

 

 

「な、何を言い出すのよ!?」

 

「お前、寂しそうにしている仲間を知らんぷりするのか、お前、いつからそんな薄情な奴になった!!」

 

 

「だったら、レオーネの胸揉ませればいいでしょ!!」

 

「私の胸よりもお前のささやかな胸の方がいいんだよ」

 

「何よそれ・・・」

 

サヨが抗議しているとシェーレが。

 

「失礼します」

 

 

もにゅ

 

 

シェーレは腕を伸ばしてサヨの胸を揉んだ。

 

 

「ちょっと、シェーレ・・・」

 

サヨの顔はさらに真っ赤になっている。

 

 

もにもにもにもに

 

 

シェーレは優しく胸を揉み続けている。

 

 

「どうだ、シェーレ」

 

レオーネはニヤニヤしている、面白い流れになったから。

 

「はい、ふかふかで気持ちいいです、チュニもこんな気持ちだったんですね」

 

 

シェーレは楽しかった日々を思い出して幸せそうである、サヨはそれどころではないが。

 

 

「・・・」

 

スサノオはサヨ達を無言で眺めている。

 

「どうした」

 

「かつての俺のマスターも戦の前にはこのように馬鹿騒ぎをしたものだった」

 

「そうか」

 

「俺は馬鹿騒ぎに意味はあるのか、と尋ねたことがあった、その時マスターは意味がないからいいのだと答えた」

 

「まあ、その通りだな、私達は死と隣り合わせの世界にいる、生きている内に馬鹿をやっておきたいものなのだよ」

 

「そんなものか」

 

「ああ、そんなものだ」

 

「・・・こういうのもたまにはいいものだな」

 

 

スサノオは感銘していた、ナイトレイドの雰囲気は今までに体験したことのないものだったから。

 

 

「なんで私だけー!!」

 

サヨの叫び声が鳴り響いた、今回最も割に合わない目にあったのはサヨだろう。

 

 

馬鹿騒ぎはもうしばらく続いた・・・その時は誰も想像できなかった、今夜の任務であのような事態が起こることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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