サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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カプリコーンとイェーガーズの帝具戦が始まりました、この戦いの結末はどうなるのか、ぜひご覧ください。


第五十一話

   誤算を斬る(後編)

 

 

手柄を立てて解散を撤回させるべく行動したカプリコーンはクロメとウェイブを帝都外に誘いだすことに成功したが、クロメの八房により窮地に追い詰められた、この状況を覆すべく次の一手を打とうとしていた。

 

 

「お前達、渡した帝具で戦え!!」

 

ピエールは囚人兵に命令を下した、だが彼らは消極的であった。

 

 

「し、しかし、いざという時まで戦わなくてもいいって・・・」

 

「バカモン!!今がその時だろう!!」

 

囚人兵はあわてて帝具を使用しようとした、それを見てウェイブは囚人兵に突撃を開始した。

 

 

「そうはさせん!」

 

ウェイブは十分帝具に警戒していた、だがこの帝具には警戒は無意味だった。

 

囚人兵Aは笛を吹いた、すると音色を聞いたウェイブの動きが鈍った。

 

「な、なんだ?意識がもうろうと・・・」

 

ウェイブの足元がふらついた、かろうじて倒れなかったがこの隙を囚人兵Bは見逃さなかった。

 

「おおりゃああ!!」

 

斧を大きく振りかぶりウェイブに叩き込んだ、ウェイブは吹っ飛ばされたが鎧にはさほどダメージはなかった。

 

 

くっ、あの斧すげえ威力だ・・・使い手が凄腕だったらヤバかったな・・・

 

 

ウェイブの苦戦を見てクロメは眉をひそめている。

 

・・・ウェイブ、だらしない・・・仕方ないから助けてあげるか

 

 

その瞬間頭上から槍のようなものがクロメ目掛けて落ちてきた。

 

「当たらないよ、こんなの」

 

クロメは余裕でかわしていく、すると今度は津波が襲い掛かった、これはさすがにクロメも避け切れず津波に流されていった。

 

「よし、今の内に!」

 

ピエールは背中に背負っている紙のロールを引き延ばしてウェイブにぐるぐるに巻きつかせた。

 

 

「こんなものすぐに引きちぎって・・・なんだ引きちぎれねえ!?」

 

ウェイブは紙を引きちぎろうとしたがちぎれなかった。

 

 

「ただの紙じゃねえ、まさか!?」

 

「そのとうり、これは紙の帝具バフィマートじゃ、簡単にはちぎれんぞ!」

 

ピエールは高笑いで自慢していた、だが突然三人の囚人兵が苦しみだした。

 

 

「これは、まさか・・・拒絶反応か!?」

 

 

 

 

一方、その頃ナジェンダ達は全速力で帝都に向かっていた、その際にイエヤスは帝具の能力遠視を使って帝都の方を偵察していた。

 

 

「なんだ、突然苦しみ出したぞ」

 

イエヤスは囚人兵達が帝具を使用して苦しみだしたのを目撃していた。

 

「拒絶反応だな」

 

「拒絶反応!?」

 

サヨとイエヤスは拒絶反応という言葉に聞き覚えがあった、拒絶反応とは帝具と相性が合わなかったら起こる現象である。

 

「確か拒絶反応って最悪死ぬこともあるのよね・・・」

 

「ああ、そうだよ、拒絶反応で死んだ奴は少なくない」

 

ラバの表情は緊張に満ちている、拒絶反応で死んだ人を目の当たりにしたのかもしれない。

 

「ねえ、拒絶反応が出ても帝具使えるの?」

 

「まあ、使えなくはないけどマジで死んじまうな」

 

「あの人達それでも使うのかな?」

 

「そうかもしれんな、連中には後がないからな」

 

 

ナジェンダは淡々と語った、連中のことよりも帝具の方が大事だからである。

 

 

「急ぐぞ、エスデスが出てきたら手遅れになる」

 

ナジェンダが号令すると一同は再び走りだした。

 

 

 

拒絶反応が出た囚人兵を見てピエールは歯ぎしりをした。

 

「ちいっ、ダメか・・・一人くらいいけると思ったが・・・所詮クズはクズか・・・」

 

苦しんでいる囚人兵の近くにローグは近寄った。

 

 

「何をしている、拒絶反応が出ても帝具は使えるだろう」

 

ローグの冷酷な言葉に囚人兵はア然とした。

 

「何言ってるんだ死ぬほど苦しいんだぞ!!」

 

必死に訴えるもローグは意に介さなかった。

 

「知るか、戦え、それともアタシの手にかかって死ぬか?」

 

ローグは銃口を囚人兵に向けた、彼らの顔は真っ青になった。

 

「わ、わかった、戦う、戦うから!」

 

三人は慌てて帝具を構えた、拒絶反応が彼らを襲う、けれど必死に耐えていた。

 

「よし、お前達、ウェイブに総攻撃だ、今なら容易に仕留められるぞ!」

 

その時津波で流したはずのクロメがピエール達の前に現れた、クロメの全身はびしょ濡れだった。

 

 

 

ちいっ、もう戻ってきたか、ならば・・・

 

「おぬし、全身びしょ濡れでみだらになっておるぞ、そんないやらしい格好でよいのか!?」

 

ピエールはいやらしい目つきでクロメをジロジロ見ている、これはクロメを動揺させて隙を作る作戦だったがクロメには効果がなかった。

 

「私を動揺させようとしてるんでしょ、その手には乗らないよ」

 

クロメも恥じらいはなくはなかったが任務を遂行する意思の方が強かった。

 

「ちっ、効果なしか・・・ならば力で仕留める!」

 

「私は簡単にはやられないよ、みんなかかって!」

 

クロメは人形達にピエール達に攻撃を命じた、人形達は一斉に襲い掛かった。

 

 

金髪の女は銃で、赤髪の男は鞭で攻撃してきた、二人とも凄腕だった、ピエールは回避で精一杯だった。

 

「ピエールさん!」

 

ダンは救援に向かったが猿とガイコツの怪獣に阻まれた。

 

 

「これはキツイですね・・・ローグさん、頼みます!」

 

「ちっ、わかったよ」

 

ローグはピエールを救援すべく向かったが、ローグも仮面のマント男とスキンヘッドの男に阻まれた。

 

 

「しゃらくさい!」

 

ローグは帝具で爆弾を打ち出した。

 

ドォオオオン!!

 

爆弾はスキンヘッドに直撃した、ローグは爆砕したと確信した、だが・・・

 

「何!?」

 

スキンヘッドは盾でガードしていた、スキンヘッドは無傷だった。

 

「ちっ、なんて固い盾だ、だが何度も防げないだろう」

 

ローグは銃口を構え攻撃をしようとしたがマント男がぬらりと攻撃してきた、ローグはなんとか回避した。

 

 

「やばいな、こいつ動きが読みずらい」

 

マント男のトリッキーな攻撃にてこずっている、ピエールは囚人兵にクロメに攻撃するよう指示した。

 

「接近戦は不利だ、離れて攻撃しろ!」

 

「わかった」

 

三人はそれぞれ遠距離攻撃を開始した、クロメは難なくかわしていく、ピエールもそれで倒せるとは思っていなかった、足止めができればよしと思っている。

 

 

「今のうちにあの人形達を・・・何!?」

 

突然ピエールは何かに捕まった、それは舌であった、巨大なカエルがピエールを舌で捕らえた。

 

「そのカエルはお腹の中にある溶解液で何でも溶かすよ、バイバイだね」

 

クロメはニッコリ微笑んだ、残酷な微笑みであった。

 

 

「わ、我輩はこんなところで死なんぞ!!見てろ・・」

 

 

カエルはあっという間にピエールを飲み込んだ。

 

「さて、あと二人か」

 

 

クロメは囚人兵は数に入れてなかった。

 

 

「ピエールさん!?」

 

後ろを振り向いた瞬間、ガイコツの怪獣はダンを踏み潰しにかかった。

 

 

ズウン!!

 

 

ダンは踏み潰された、そう思われたがダンは帝具を発動してガイコツの足の裏を両腕で支えていた、ダンの足回りの地面は亀裂が入っている。

 

 

「ふううん!!」

 

 

ダンはおもいっきり両腕を振り上げた、ガイコツはバランスを崩して轟音とともに地面に倒れた。

 

 

「はあ、はあ、はあ・・・」

 

ダンは大きく息を切らしていた、その瞬間、猿が突撃を仕掛けた、猿の剛腕がダンを仕留めたかに見えた、しかしダンのラリアットが猿の頭を木っ端みじんにした。

 

 

 

一方、ローグはマント男のトリッキーな攻撃にてこずっていた、スキンヘッドの蹴りも凄まじかった、ローグはじわじわと追い詰められていった、マント男はローグの額をナイフで貫こうとした。

 

 

「調子に乗るな!!」

 

ローグは一瞬早くマント男の頭を爆弾で吹っ飛ばした、頭を失ったマント男はそのまま地に伏した。

 

 

「へえ、エイプマンに続いてヘンターまで・・・あなた達やるわね・・・」

 

 

その時側にいたカエルの体内から鋭利な刃物が突き出した。

 

 

「何?まさかあのヤギが?強力な溶解液で溶けてないの?損壊部分は確かきちんと埋めたはずなのに・・・」

 

 

ポカンとしているクロメにお構いなく刃物はカエルをずたずたに切り割いている、そしてカエルはバラバラに飛び散った、中からピエールが現れた、無傷だった。

 

 

「ふう、危なかったわい・・・紙で舟を作らなければおだぶつだったわい」

 

ピエールは手で汗を拭った、ローグはピエールに悪態をついた。

 

 

「そんなカエルにてこずるとはだらし無いぞ・・・」

 

その瞬間、ローグは背後に鋭いものを感じた、それは首を失ったヘンターだった、ヘンターはローグの首を狙っている、ローグは振り返り帝具でガードした。

 

 

 

「こいつ・・・頭なしでも動けるのか!?」

 

「人形だから心臓貫いても頭失っても動き続けるよ」

 

 

クロメはクスッと笑っている、それを見てローグはムカッとした。

 

「じゃあ、これならどうだ!」

 

ローグは胴体に狙いをつけて爆弾を発射した、ヘンターは胴体が木っ端みじんになった、今度こそ動きが止まった。

 

 

「へえ、やるじゃない・・・でもまだまだ負けないよ」

 

 

クロメが刀を構えたとき何者かがやってきた、それはセリューとボルスだった。

 

 

「大丈夫ですか、ウェイブ君、クロメちゃん!?」

 

「ウェイブさんは・・・見ての通りです、何やってるんですか?」

 

セリューはウェイブを見て呆れている、そしてボルスはローグを見て驚いた。

 

「ローグさん!?」

 

「久しぶりだな、ボルス」

 

ボルスの様子を見てセリューが質問した。

 

「知ってるんですか?あの賊を」

 

「・・・はい、彼女はかつての私の上官でした」

 

「そうなんですか、でも、今はただの賊です、私が成敗します!」

 

セリューは即座に突撃した、猪突猛進そのものであった。

 

「いけません!考えなしに突っ込んでは・・・」

 

ボルスの制止も聞かずセリューは突っ込んでいく、その時何かがセリューに襲いかかった。

 

 

「!?」

 

セリューはわけが分からないでいる、セリューを襲ったそれはスライム型の生物型臣具だった、スライムはセリューを包み込むように捕らえた、セリューは抜けだそうともがくが効果はなかった。

 

「やっと動きだしたな、これでセリューはおしまいだな」

 

 

この臣具は本部の倉庫に放置されていたものである、それをピエールが戦力として組み込んだのである、このスライムは取り込んだ標的を体内で溶かすことができるのである、ただし、美少女限定であるが・・・

 

 

「ふ、服が・・・」

 

セリューの服がみるみる溶け始めていた、やがて肉体も溶かすであろう。

 

「それにしても何故クロメを襲わなかったのでしょうか?」

 

「クロメはドーピングをしているんだろう、それでだろ」

 

首を傾げるダンにローグはぶっきらぼうに答えた、二人はそれで納得した、他にも理由があることを想像せずに。

 

 

 

コロはセリューを助けようとスライムを引きちぎろうとした、だが、スライムであるため伸びて引きちぎれない。

 

 

「ルビカンテで焼きますか・・・いや、セリューさんも巻き込んでしまう、どうすれば・・・」

 

ボルスはセリューを助けようと思案していたがまとまらなかった、その時殺気を感じた。

 

 

「危ない!」

 

飛んできた爆弾を察知してかろうじて爆発から逃れた、そしてボルスの前にローグが現れた。

 

 

「久しぶりだなボルス、早速戦るか」

 

「ローグさん・・・」

 

 

ボルスは戸惑っていた、ボルスはローグと戦いたくなかった、それは・・・

 

 

「お前、まだあのことを気にしてるののか?」

 

「それは・・・」

 

 

 

 

 

7年前・・・

 

 

「ぐわっ!!」

 

ボルスは危険種に胸を爪で切り裂かれた。

 

 

「大丈夫か!?」

 

「む、胸をやられました・・・」

 

「ああ、ザックリやられてるな」

 

「ち、血が止まりません・・・」

 

傷から血がドクドク出ていた。

 

「この危険種の爪には出血毒がべったりついているからな」

 

「・・・どうやら私はここまでですね、報いを受ける時が来ましたか」

 

観念したボルスを尻目にローグは銃口から火薬を傷口にまいた、そしてボワッと火が上がった。

 

 

「あああああ!!」

 

ボルスは激痛で悲鳴を上げた。

 

 

「この毒は熱に弱い、これであらかた消えただろう」

 

胸に火傷ができたが、それで出血は止まった。

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

「勘違いするな、お前が死んだらそのデカブツ、アタシが運ばないといけないだろ」

 

「そうですね・・・でも感謝しています」

 

「好きにしろ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

「あの時も言ったがあれはアタシのためにやったんだ、お前が気にすることはない」

 

むろんそのとうりだが、ボルスにとってはローグは命の恩人である。

 

「アタシは勝手にやらせてもらうぞ」

 

ローグは銃口をボルスに向けた、だがボルスはまだ吹っ切れていなかった、その時。

 

「ちょっと待った!!」

 

右側からウェイブが駆けつけた、動きを封じていた紙をようやく引きちぎったのである。

 

 

「お前の相手は俺だ!」

 

ウェイブは勇ましく叫んだ、だが、ローグは全く動じていない、その表情は余裕に満ちていた。

 

 

「お前じゃ、アタシの相手はつとまらないよ」

 

「そんなことはねえ、この鎧には爆弾は有効じゃねえぞ」

 

「試して見るか?」

 

「ああ、上等だ!」

 

ウェイブはローグに突っ込んで行った、ローグはウェイブにあるものを発射した、それは・・・

 

 

ベチャ!!

 

 

ウェイブの顔にガムみたいなものが張り付いた、ボルスはそれを見て絶句した。

 

「なんだこれ?」

 

「いけない、ウェイブ君、今すぐそれを剥がして!!」

 

ウェイブがそれを剥がす前に突然ガムが激しく燃え上がった。

 

「こんな炎、この鎧にはどうってことは・・・」

 

突然ウェイブは苦しみだした、ウェイブは呼吸が全くできなかった。

 

 

 

「な、なんだ?」

 

ウェイブは何が何だかわからなかった、今もウェイブの頭を炎が包んでいる。

 

「その鎧には炎が効かないが、周りの酸素は燃やすことはできる、お前がどれだけ強くても息ができなければ死ぬだろ」

 

 

ローグはしてやったりの顔をしていた、ボルスはローグの企みをもっと早く気付かなかったことを後悔していた。

 

「ウェイブ君・・・」

 

ボルスはルビカンテの炎で火薬を焼き払おうと思ったが、今度はルビカンテの炎でウェイブが焼かれてしまうのでできなかった。

 

 

「どうだ、アタシの火薬を司る帝具バハムートはすごいだろ!」

 

ローグは勝ちを確信していた、その間もウェイブは呼吸ができず苦しんでいる。

 

 

お、俺、こんなところで死んじまうのか!?

 

 

ウェイブの意識は少しずつ薄れていった、ウェイブを包んでいる炎はさらに激しく燃えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっぱり小説でバトルシーンを造るのは難しいですね、つくづく自分の文才のなさを嘆きます、とにかく、次回をお楽しみに。

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