技術者を斬る
7月28日
ナイトレイドのアジトでちょっとした騒動が起こっていた、レオーネが作戦時間をオーバーしてナジェンダに叱責されていたのである。
「レオーネ!お前、また作戦時間オーバーしたな!」
「ゴメン、ボス!!」
ナジェンダは逃げるレオーネを捕まえるべく義手を飛ばした、だが義手はレオーネの後頭部を直撃した。
「ヒドイ!!殴ることないじゃないか!!」
レオーネは涙目でナジェンダを睨みつけた、ナジェンダは気まずそうにしている。
「すまん、すまん、どうも最近義手の調子が悪くてな・・・」
ナジェンダが義手を動かそうとするとギイギイと鈍い音がした、本当に調子が悪そうだ。
「前も思いましたけどその義手本当にすごいですね・・・すごく重たそうな斧の帝具も軽々と持ち上げていましたし」
「ああ、革命軍一の技術者が制作したからな」
「どんな人なんです?」
「その技術者とはじきに会えるぞ、数日前に修理を依頼したからな」
一体どんな人なんだろう・・・サヨがワクワクしているとラバがアジト周辺まで技術者が来ていると報告した。
いよいよね・・・しばらくして会議室のドアが開いた、技術者のお出ましである。
「やあ、ナジェンダ君久しぶりだね、元気にしとったかね?」
その技術者は作業着を着たフルフェイスヘルメットを被った中年の男性だった。 (このヘルメットはホイルジャックをイメージしてください)
「ああ、まあまあだ」
サヨは技術者の風貌にややア然としている。
「この人が技術者ですか?」
「そうだ、彼の名はホーラー、見た目はあれだが腕は確かだ」
「あれとはなんじゃの、ままいい」
ホーラーは少しムッとしたようである、ヘルメットなので表情は見えないけれど何となくわかった。
「早速修理を頼む」
「ところで義手を新型に取り替えないかね、指に銃を仕込んでいるんだが」
「いや、結構だ」
「そうか・・・」
ホーラーは少し残念そうである、それにしても銃を仕込んだ義手か・・・一体どんなんだろう・・・
「じゃあ、始めるとするかの」
ホーラーは義手の修理を開始した、義手が次第に分解されていき無数のパーツに分かれていく。
「この部品が欠けておったぞ、これならすぐに修理できるぞ」
「そうか、それはよかった」
ボスは安堵の表情をした、この義手をとても気に入っているのだろう。
部品を取り替えて義手を組み立てるだけであった、次第に見慣れた義手になっていく。
「シヴァも言っておったが体には気をつけるのじゃぞ、義手は替えは効くが体は替えがきかんのじゃぞ」
「わかってる・・・」
「・・・アカメ君残念じゃったな」
「アカメも覚悟はしていた、気に病まないでくれ」
「わかった」
ホーラーはそれ以上アカメのことを口にしなかった、無粋になるからである。
「完了したぞ、どうかな、調子は?」
ナジェンダは義手の手を開き、握りしめを繰り返した、きわめてスムーズだった。
「異常はない、修理は完璧だ」
「わしが修理したのだから当然じゃわい」
ホーラーは鼻高々であった、鼻は見えないが・・・
「それにしてもこれほどの義手を作れるなんてすごいですね」
サヨは心からそう思った、五本の指をスムーズに動かし、なおかつ手首を飛ばすことができるのだから、革命軍の技術はそうとうのものである。
「普通じゃ無理じゃろうな、だが、この発明の臣具なら可能なのだ!!」
その瞬間ヘルメットの真上に付いているランプが光り輝いた、テンションがあがると光るらしい。
「そのヘルメット、臣具なのですか?」
「そのとうり、このヘルメットを被っていると発明のアイデアがひらめくのじゃよ!!」
「そうですよね、普通の人間にこれだけの義手を作ることはできませんよね」
「まあ、わしのもの作りの腕があってことじゃがの、ワッハッハッ!!」
テンションが上がり大笑いしているホーラーを見てサヨは苦笑いしている。
「すごいですね・・・」
「そうじゃろう・・・ややっ!?」
突然ランプが光り出した、今回のは連続して光っている。
「どうしたんですか?」
「今、発明のひらめきがきた、今すぐ製造に取り掛かる、スサノオ君手伝ってくれ」
「俺はかまわんが、ナジェンダ、どうする?」
「かまわん、手伝ってやれ」
「わかった」
まさかの急展開である、いったい何が出来上がるのだろうか?
数時間後、発明品は完成した、かなりの大掛かりのしろものである。
(この発明品はアカ斬る劇場13話に出てきたカタパルトをイメージしてください)
「完成じゃわい!!」
「あの・・・これなんなんです?」
サヨはおそるおそる質問した、するとホーラーは威風堂々と説明を始めた。
この発明品は要塞攻略の際、兵士を飛ばして要塞内に突入させるというものである・・・はっきり言ってどうかしている、まともじゃない。
「無論今のままでは使いものにはならない、そこでだ、テストをしてデータをとりたいのじゃが、サヨ君、引き受けてくれんかね?」
「・・・はあ!!?」
な、なんで私が・・・こんないかれた実験を・・・冗談じゃない、命がいくつあっても足りないわ・・・
「この実験は革命軍の命運がかかっとるんじゃよ!」
ホーラーはサヨを説得しようと熱がこもっている、無論サヨは引き受けるつもりはない。
やだって言っても引き下がるとは思えない・・・そうだ!!
「ねえ、イエヤス、あなたが実験体になってよ」
サヨはイエヤスを身代わりにしようとした、無論イエヤスは猛反対した。
「ふざけるな!!誰がそんなのやるか!!」
もちろんサヨも引き下がるつもりはない、最終手段を使う決意をした。
「お願いだから引き受けてよ♥」
サヨは村雨を抜こうとした、それを見てイエヤスは驚愕した。
「き、汚ねえぞ、村雨でおどすなんて!!」
「引き受けてくれるの、くれないの?」
サヨはさらに村雨を抜こうとしている、村雨を見てイエヤスはついに観念した。
「・・・わかったよ、やればいいんだろうが」
「ありがとう」
サヨの笑顔はとても爽やかなものであった、サヨとイエヤスの力関係は明らかであった。
イエヤスは足場に足をのせてしっかりと固定した、イエヤスは不安しか感じなかった。
「ではテストを開始するぞ」
「・・・ああ」
何事もなく終わって欲しい・・・心から祈らずにはいられなかった。
「では、ポチッとな」
ホーラーはボタンを押した、するとイエヤスを載せた足場はすごい勢いで加速すし始めた。
「ひゃあああああ!!」
すごい風圧でイエヤスの顔は涙と鼻水まみれになった、そして、イエヤスを遥か彼方へ飛ばしたのであった。
「・・・まだまだ改良の余地があるな、次はもっと出力を上げんとな!」
ホーラーはイエヤスの心配をよそに発明品の改良を心に誓ったのであった、他のメンバーも次々とアジトに戻っていった、次の日イエヤスはボロボロになりながらもアジトに帰還したのであった。
今回はナジェンダの義手をメインにしました、ナジェンダの義手ははっきり言ってオーバーテクノロジーだと思うんです、現代の技術でもナジェンダの義手は作れないと思います、そういう疑問からこの話を書きました、これからも応援お願いします。