殺し屋を斬る(後編)
マイン
3月24日
サヨはマインの荷物運びで帝都に来ていた。
「どういう神経してるのかな、この人、昨日私をレオーネごと殺そうとしておいて荷物運びをしろだなんて」
サヨは不満の極みであった。
「何?文句あるの」
マインが睨みつけた。
「べ、別にないけど」
サヨは慌ててごまかした。
「そう、ちなみにアタシ、アンタのこと嫌いだから」
「荷物運びさせておいていうことがそれ?」
サヨは腹が立ったが表情に出さないように堪えた。
「後、アンタ、殺し屋にむいていないから」
サヨはさらにムッとしたが。
「そ、そりゃあ、私はまだまだ未熟だし・・・」
「それ以前の問題なのよ、まあ、今のアンタにはわからないわね」
「何なの、ハッキリ言いなさいよ」
サヨは腹が立っているが、自分の立場をわきまえて文句を言えなかった。
「全く、なんてムカつく人なの」
サヨはその時そう思ったが、後日それを覆すことになった。
数日後
サヨはマインの護衛の任務についていた。
マインは長距離の標的をあっさり撃ち抜いた。
「す、すごい、あんな遠くの標的を・・・」
サヨはたまげている。
「どう、アタシは射撃の天才なのよ」
マインは鼻高々だった。
「確かに天才と自慢するだけのことはある」
サヨはマインの銃に視線を向けた。
「その銃、帝具なのよね?」
「そうよ、これは帝具パンプキンよ、ピンチで威力が上がるのよ、まあ、アタシはピンチにならないけど」
「えっ?それじゃあ、威力が上がらないんじゃ」
「何言ってるの、上がるわよ」
「そ、それってパンプキンがピンチと判断するの?」
「知らないわよ、アンタ細かいわね、いいじゃない、威力が上がるんだから」
「・・・なんていい加減な、すごい威力だけど、ちょっと私には」
サヨはポカンとした。
「さあ、アタシを敬いなさい、アハハハハハ」
マインは高笑いした。
「(この人とはやっぱり仲良くなれそうにないわね)」
サヨは心の中で思った。
シェーレ
3月28日
サヨは鍛練で鎧泳ぎを行っている。
「鎧泳ぎお疲れ様でした」
「うん、すごくキツイわね、でも、力がついていくのを感じる」
「はい、鎧泳ぎは基礎体力をつけるのにピッタリですから」
「鍛練の間、服預かってくれてありがとう」
「どういたしまして」
サヨは体を拭いて服を着た。
「ところで昨日アジトにいなかったけど、どこ行ってたの」
「帝都へ買い出しです」
「買い出し?シェーレ手配されているのに、よく見つからなかったわね」
「警備隊の人とすれ違いましたけど何事もありませんでした」
「まあ、まさかお尋ね者が白昼堂々街を歩いているなんて思わないわよね」
サヨは苦笑いした。
「でも、私、買い物間違えました、砂糖を買わなければならないのに・・・」
「まさか塩を?」
「いえ、小麦粉を買ってしまいました」
「なんで砂糖と小麦粉を間違えるの?」
「すいません」
サヨは不思議に思った、よくあのマインとコンビ組めるなと。
「ねえ、マインのことなんだけど」
「マインにキツイこと言われましたか?」
図星だった。
「マインは口は悪いですけど、とても優しいですよ」
「そうなの?」
「私も最初はグズとかウスノロとか散々言われました」
「ほ、本当にシェーレ、マインとよくコンビ組めるわね・・・」
「事実ですから」
「それにしても、シェーレはなんで殺し屋になったの?」
「それはですね・・・」
シェーレがその話をしようとしたその時。
ブラート
突然川の中からブラートが現れた。
「はははははは、頑張っているかサヨ」
「う、うん、頑張っているよ」
サヨは驚きながらも答えた。
「そうか、結構、結構」
ブラートはご満悦だった。
「この前帝具の説明ありがとう」
「ああ、だいたい理解したか?」
「うん」
「まあ、一回の説明ではなかなか理解はできないだろう」
「帝具って第一印象をどう思うかで適正が決まるのよね?」
「ああ、そうだ」
「ブラートもそうなのよね」
「ああ、初めて見たとき、すげえカッコイイと思ったぜ」
ブラートは興奮している。
「帝具をキレイと思うのはどうなのかな」
「それもバッチリだぜ」
「そう・・・」
サヨは言葉少なめだった。
「どうした?」
「な、なんでもないわよ、それにしてもこの前帝都で見たブラートの手配書、まるで別人だったんだけど」
「ああ、あれは数年前のやつだからな、ある事件がきっかけで軍を抜けて数年間徹底的に鍛練し直したからな」
「そ、そうなの」
「ああ、あの手配書よりもハンサムになっただろ」
ブラートはポーズをキメた。
「(数年前の方がハンサムなのに・・・まあ、本人が満足してるのならいいかな)」
サヨは心の中に留めた。
「それにしてもイエヤスのやつどうした?」
「うん、ラストの一回のとき調子に乗って流木にぶつかって下流に流されたけど」
「全くしょうがないな、よし、俺が直々にしごいてやるか」
そう言うと、ブラートは川に飛び込み下流へと泳いでいった。
「そういえばブラート・・・」
サヨはレオーネからブラートがゲイだと聞かされていた、本人はネタと言っていたが真相はわからない。
「まあ、私には関係ないからいいかな」
サヨは青空を眺めていた。
ナジェンダ
3月30日夕方
サヨはアジトで一週間ぶりにナジェンダに会った。
「あ、ボス、お帰りなさい」
「ああ」
「本部との連絡、お疲れ様です」
「それが私の役割だからな」
「前から気になっていたんですが」
「なんだ」
「ボスは暗殺の仕事をしないんですね」
「そうだ」
「じゃあ、なんでボスの手配書があるのかなと思って、それにあんなに用心深いのにアカメ達も手配されてるのもおかしいと思いまして」
サヨは不思議に思っていた。
「それはな、いわゆるでっちあげだ」
「でっちあげ!?」
「帝国にとってナイトレイドの手配書がいつまでもないのは面子にかかわるのでな、そこで元々脱走兵として手配されていた私達に白羽の矢が立ったのだ」
「し、証拠も無しにですか?」
サヨは驚いた。
「今の帝国ではよくあることだ、まあ、今回はたまたま的中したがな」
ナジェンダは笑いながら言った。
「本当に帝国はおかしいのね、だからこそ私達が帝国を打倒しないと」
サヨがそう思っているとナジェンダはタバコを吸い出した。
「ボスのタバコ、普通のとかなり違いますよね」
「ああ、これは特別製だからな、本部に煙に詳しい者がいてな、作ってもらったんだ」
「特別製ですか、そういえばボスの義手もすごいですね」
「ああ、革命軍一の技術者が作った、まあ、縁があったら二人に会うこともあるだろう」
「そうですね、私、夕食の準備があるのでこれで失礼します」
「ああ」
サヨはキッチンに行きながら思っていた。
「それにしてもラバ、女の子大好きなのにボスにぞっこんなんて、まあ、恋愛は人それぞれだし」
この時のサヨはナジェンダが30代だと思っていた。
サヨ
3月31日深夜
いよいよサヨは初任務を行うことになった、標的は警備隊隊長オーガ、権力を悪用して非道を行っている輩である。
サヨはオーガに弓矢で攻撃を仕掛けた、だが、オーガはあっさり切り払った。
「そんなヘナチョコ矢が俺に効くか」
「やはり強いわね、でも、想定内よ」
サヨは弓を捨てて剣に切り替えた。
「弓矢がだめなら剣か、剣はそんなに甘くないぞ」
オーガはすっかり油断していた。
サヨは全速で駆け出した。
「速!?」
オーガは虚をつかれた。
サヨは全力で剣をふりぬいた。
ズバッ!!
オーガの首を切り裂き、大量の血が噴き出した。
「て、てめぇ、剣の方が強えじゃ・・・ねぇ・・・か・・・」
ズウン!!
オーガは轟音とともに地に倒れた。
サヨの呼吸は荒かった。
「や、やった、うまく油断を誘えて倒せた、い、急いで帰還しないと」
サヨは全速力でその場を離れた。
サヨはアジトに帰還した、メンバー全員がアジトにいた。
アカメとマイン以外のメンバーは称賛した。
「一回だけじゃあだめなのかな・・・」
サヨはアカメが何も言ってくれないのを気にしている、すると、アカメはサヨに近づいていき、サヨの服をつかんだ。
「何?」
サヨはそう思った瞬間、アカメはサヨの服を勢いよく脱がした、サヨの胸がまるだしになった。
ラバとイエヤスは見とれている、マインはア然としている、レオーネは面白そうに見ている、シェーレはぼーとしている、ナジェンダとブラートはクールにしている。
「え?」
サヨは自分に何が起こったのか分からなかった、そしてすぐに恥じらいが爆発した。
「キャアアアア!!な、何するのアカメー!?」
サヨは大混乱になった。
「騒ぐな、じきにすむ」
アカメはクールだった。
「じきにって何がー!?」
アカメはお構いなしにサヨの服を脱がしていく。
「いやー!!やめてー!!」
サヨは必死に抵抗するも。
「こら、暴れるな、レオーネ、おさえててくれ」
「あいよ」
レオーネはサヨの腕をつかんで取り押さえた。
「え?ちょっと!?」
サヨは万歳のポーズでレオーネに腕を掴まれ胸がまるだしのままおさえられていた、サヨの顔は真っ赤になった。
「(落ち度があったのならちゃんと口で言ってよ、こんな辱めしなくても・・・)」
サヨは悲しみの涙を流した。
「よかった、どこも怪我はない、もし、標的が武器に毒を塗っていたら一大事だからな」
アカメは安堵の表情をした。
「そ、そういうことだったの?」
「これからも怪我をせず無事に帰還してくれ」
「うん、私、これからも頑張るから」
サヨは喜びの涙を流した。
「パンツ一枚で何を頑張るのかな?」
レオーネはニヤニヤした。
「ちょっ、だったら腕離してよ服着れないでしょ」
サヨは慌てている。
「離して欲しかったら金貸しな」
レオーネがそう言うと、サヨは鬼の形相になりレオーネを睨みつけた。
「ウソ、ジョーダン」
レオーネはびびって、腕を離した。
「全くレオーネたらっ!!」
サヨは怒りながら服を着込んだ。
「ところで、あなたたち、私の裸見たよね?」
サヨはイエヤス達に問いかけた。
「え?まあ、見たというか見えたというか」
「へえ、そうなんだ、じゃあ、きっちり殴って記憶消しておかないとね」
サヨは指鳴らしをした。
「ちょっと待て、俺達は何も悪くないぞ、なあラバ、ってあれ、あいついねえ!?」
イエヤスが振り向くとラバの姿はどこにもなかった。
その瞬間、サヨの鉄拳が炸裂した。
「あぎゃー!!」
イエヤスはボコ殴りになった、その翌日ラバはレオーネの入浴を覗こうとしてボコボコになった。
4月21日
「この話前もしたけど何回聞いてもすごいでしょ」
サヨはタツミの墓標に話しかけている。
「この後、もっとすごいことが起こったのよ、今から話すわね、タツミ」
サヨは再び語り始めた。