サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第六十九話

   参謀を斬る

 

 

「にしてもエヴァって人美人だけどすっげえおっかなかったな、俺びびって何も言えなかったよ」

 

「無理ないさ、あの人は革命軍一の武闘派だからな、とにかくおっかない人だよ」

 

「お前あの人の入浴覗こうと思ったことあるか?」

 

「さすがの俺もそれは無理だ、殺されるだけではすまない、全身の皮を生きたまま剥がされてしまう」

 

「マジか!?」

 

「多分あの人ならやると思う」

 

 

イエヤスとラバのくだらない話をサヨは聞き流していた、普段なら注意するところだがいろいろありすぎてそこまで頭が回らないのである、するとシェーレが話かけてきた。

 

「どうしました?」

 

「うん、これからのこと考えていたの、ボスの処刑どうやって回避すれば・・・」

 

「お気持ちはわかります、でも今日はゆっくり休んだ方がいいです」

 

「・・・そうね、疲れた頭で考えてもしょうがないし、明日考えることにする」

 

「はい」

 

 

サヨ達は休むために兵舎へ急ぐことにした、しばらく歩いているとシェーレの目の前のドアが突然開いてシェーレは飛び出した人とぶつかった。

 

 

「わっ!!」

 

シェーレは転んでしりもちをついた、飛び出した人も同様である。

 

「いたた・・・」

 

「ゴメン、急いでたからケガはない・・・あっ!?シェーレ!?」

 

「チュニ・・・あなたがなんでここに?」

 

「それは・・・」

 

 

チュニ?どっかで聞いたことがあるような・・・あっ!!

 

「おーい、チュニ、何してんの?」

 

「ゴメン、キャスカ、今行く・・・悪いけどシェーレ、私急ぐから」

 

「は、はい・・・」

 

 

チュニはそのまま走ってその場を去って行った、シェーレはポカンとただ眺めていた。

 

 

「シェーレ、チュニって確か・・・」

 

「はい、私の友達だった人です」

 

 

チュニ・・・天然ボケだったため友達ができなかったシェーレの唯一の友達であった、だがある日チュニに振られた元彼氏に殺されそうになりシェーレがチュニを助けるためにその男を殺したのである、そして後日その男の仲間が報復のためにシェーレを殺そうとしたのである、シェーレはその危機に殺しの才能を開花させて難を逃れたのである。

 

 

「彼女とはそれから会っていないのよね?」

 

「はい、彼女はそのあとすぐ帝都から出て行ったのです」

 

「革命軍にいるってことも知らなかったのよね?」

 

「はい、私も驚いています、ここで彼女に会うなんて・・・」

 

なんでチュニが革命軍に・・・まあ、こんな世の中だし、ありえなくはないかな・・・

 

 

「シェーレ、チュニを追わなくていいの?」

 

「はい、そのうち会う機会もあるでしょう」

 

 

・・・まあ、革命軍にいるってわかったんだからゆっくり話す機会もあるわね。

 

 

「お前達、急ぐぞ」

 

「はい」

 

サヨ達は再び兵舎へ足を運ぶ、すると今度は二人の男性に出会った、一人は仮面を被った男性でもう一人は白髪の男であった、ナジェンダはその二人に頭を下げて挨拶をした。

 

 

「お久しぶりです、ハクロウ殿、キョウジ殿」

 

「ああ、久しぶりだね」

 

「ナジェンダも変わらんな」

 

ボスの様子を見るとこの人達は革命軍の幹部であろう。

 

 

「君達エヴァに会ったんだろう、おそらく面倒ごとになっていると思うが」

 

ナジェンダは二人にいきさつを説明した、二人とも驚愕というところまで驚いてはいなかった。

 

 

「大変なことになってもうたけどすぐに処刑にならんかっただけよしと思いや」

 

キョウジはニヤニヤしながらなぐさめている、その様子にイエヤスはムッとした。

 

 

「よしじゃないよ、なんとかボスの処刑を二人の力でなんとか取り消しにならないですか?」

 

「残念ながらそれは難しいな」

 

「なんで?、あの失敗はボスは悪くないでしょ?」

 

 

 

ハクロウは事情を説明した、あの帝具大量損失の元凶であったチームカプコーンは全員死亡し、責任をとらせることができなくなり、革命軍内で責任のなすりつけ合いが起こり内部分裂の危機を回避するためにその一件に無関係でないナジェンダに責任を押し付けて鎮静化を謀ったのである。

 

 

「はあ、そんなのありなんすか!?ボス悪くないでしょ!?」

 

「ああ、その通りだ、だが総大将が健在でないから皆をまとめられる者がいないのだ」

 

「けど・・・」

 

「イエヤス落ち着け、そうしなければ最悪革命軍は分裂していたかもしれんのだ」

 

ナジェンダは不満をぶちまけたイエヤスをなだめた、イエヤスも渋々従った。

 

 

「もちろんナジェンダは革命軍に必要な人員だ、だから執行猶予付きの処刑にしたのだ」

 

「それなら別の処分でも・・・」

 

「・・・いや、このまま事態が好転しなければ我々革命軍は全員帝国によって打ち首になってしまうだろう」

 

「マジっすか!?」

 

「あの戦いで革命軍の帝具は6つ失った、しかも3つは帝国に奪われた、実質9の帝具を失ったに等しいのだ」

 

 

現実がどれだけ深刻なのか全員理解していたはずだったが、帝具の大量損失は革命軍の戦略を根底から覆すものだと思い知ったのである。

 

 

「つまりナジェンダだけが危機的状況ではないのだよ」

 

「君達には何がなんでも帝具集めてもらわんとあかんのや」

 

もちろんこのままでいいわけがなかった、何がなんでも帝具を集めないと・・・

 

 

「帝具確保したら特別ボーナス出すで」

 

特別ボーナス・・・その一言はサヨの心を貫いた。

 

 

「本当ですか!?」

 

「ああ、未知やったらさらに上乗せするで」

 

特別ボーナス・・・上乗せ・・・絶対達成しないと・・・村を豊かにするためにも・・・

 

「はい、必ず果たします!!」

 

サヨの頭は特別ボーナスと上乗せの言葉でいっぱいだった、それを見てイエヤスはやや引いていた。

 

 

「ところで聞いていいすか?」

 

「なんだい?」

 

「総大将が倒れたのってあの人が・・・」

 

イエヤスが言いたいのはエヴァの存在が負担になって急病を引き起こしたんじゃないかということだった。

 

 

「・・・それは全くないとは言えないな」

 

「マジっすか!?」

 

「革命軍の軍略は主にエヴァが仕切っているからね、総大将も思うところもあっただろう」

 

「このままあの人に牛耳られていいんすか!?」

 

「それを言われると耳が痛いね・・・でも僕達はエヴァが加入する前まで帝国に押されていたからね、偉そうなことは言えないんだよ」

 

「・・・」

 

「確かにエヴァは善ではない、だが帝国と戦うためにはエヴァの冷酷な手腕が必要だったんだよ、有効な作戦は思いついても非情になりきれなくて実行できなかったこともあったからね、だがエヴァは勝つためには手段を選ばない非情さがある、僕とエヴァの決定的な差はそこなんだ」

 

 

イエヤスは呆然としていたがサヨは多少は理解していた、強大な帝国相手に正々堂々と戦ったら必ず負けるからである、戦は勝利が全て、その言葉に一理あると思っている、しゃくではあるが・・・

 

 

「ナジェンダには悪いが自力で手柄を立てて処罰を帳消しするしかない、そうしなければ他の者を黙らせることができない」

 

「わかっています」

 

 

・・・処刑までどれだけ猶予があるかわからないのにこの落ち着きよう、さすがボス。

 

 

「ところで西の異民族との交渉は?」

 

「あれから使者を送っているがさっぱりだ、おそらく返還される領土の上乗せを狙っているのだろう、むろん簡単には上乗せはできない、別の手を考えなくてはならないだろう」

 

 

そうなんだ・・・喜ぶのは不謹慎だけどボスの命は当分大丈夫ね。

 

 

「君達ナイトレイドにも一仕事してもらうことになるかもしれん、その時は頼む」

 

「はい、全力で務めます」

 

 

一仕事か・・・一体どんな仕事になるんだろう、私達にできる仕事なのかな?

 

 

「ところでラバ、帝具の調子はどうや?」

 

「はい、キョウジさんバッチリです」

 

「そうか、やったかいあるわ」

 

キョウジがラバに話しかけた内容にサヨは気になった、やったとはどういうこと?

 

 

「ラバ、どういうこと?」

 

「ああ、このクローステールはキョウジさんが発見して使用していたんだよ、ナイトレイド結成の際に譲渡してくれたんだよ」

 

「つまり彼はクローステールの前任者なんだ」

 

この人がクローステールを発見したんだ・・・元帝具使いか・・・強いんでしょうね。

 

 

「言っとくけど僕はそんなに強ないで」

 

そうなんだ・・・まあラバも見た目はそんなに強そうに見えないから本当の実力はわからないけど。

 

「クローステールか・・・決起した頃は本当に頼りになったね」

 

「決起?」

 

「ああ、僕とキョウジは革命軍結成メンバーなんだ」

 

「あの頃の面子はだいぶいなくなってもうたけどな」

 

そうなんだ・・・様々な困難を乗り越えてきたんでしょうね・・・

 

 

「僕はなんとしても総大将の・・・プライムさんの悲願を達成させたいんだ、民が安らかに暮らせる国を造るという・・・皆も命を懸けて戦って欲しい、頼む」

 

ハクロウは頭を下げた、革命軍の幹部が私達に頭を下げる?予想もしていなかった。

 

 

「頭を上げてくださいハクロウ殿、私達も新国家設立を夢見ていますから」

 

「君達は常に死と隣り合わせの場にいるんだ、頭を下げることなどどうってことはないよ」

 

「ハクロウ殿にはハクロウ殿にしかできないことがあります、適材適所ってやつです」

 

「そうだね、僕は僕の務めを全力で果たすよ」

 

「はい」

 

革命軍の幹部が直々に頭を下げてくれたんだから私達もがんばらないと・・・そしてボスの処刑を帳消しにしないと・・・

 

 

「長話してしまってすまないね」

 

「いえ、気になさらないでください、私達はこれで失礼します」

 

「ほな、帝具頼むで」

 

私達は再び兵舎へと足を運んだ、そのあと思いがけない出来事が起こるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




つくづく思うのですが自分の文章書くたびに下手になってきているような気がします、別の人の作品を見て勉強しているのですが・・・とにかくこれからも応援お願いします。

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