サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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今回から国交回復編が始まりました、お楽しみください。


国交回復編
第七十二話


   土産を斬る

 

8月22日

 

私達は本部から指令を受けてあるミッションを行うことになった、だが今回のミッションは革命軍のメンバーとの共同で行うことになっている、今回のミッションは革命軍の最大の出資者からの依頼である、出資者の息子が誘拐団にさらわれてしまい誘拐団から救出することである、このミッションに成功すれば出資者から倍の資金援助が約束されている、もし失敗すれば援助は打ち切りである、もしそうなれば革命軍の戦略に影を落としてしまう、さらにこの出資者は西の異民族とパイプを持っており関係を絶つわけにはいかないのである、偶然であるが子供をさらわれた人からナイトレイドに誘拐団の暗殺依頼が出ていたのである、今回のミッションに参加するメンバーはアジト前に集結していた、一人を除いて・・・

 

 

「遅い!カグラの奴どこを飛び回っているのだ!!」

 

予定時間になっても戻って来ないカグラにナジェンダはいらいらしていた、カグラは退屈だから空の散歩に出かけたのだ。

 

「全く、あいつは自分が革命軍だという自覚がないな」

 

「あいつにそれ求めるの無理なんじゃないの」

 

レオーネはニヤニヤしている、ナジェンダがいらいらしているのが面白いからである。

 

「それでも持ってくれないと困る」

 

そうしているうちに上空から大きな物体が近づいてた、それはカグラが操るハヤテ丸であった、ハヤテ丸とはカグラが操る大きな模型の鳥である、帝具の可能性もあるが実際のところ定かではない。

 

 

「お前何をしていた、時間はとっくにオーバーしているぞ!!」

 

ナジェンダはすごい剣幕でカグラに詰め寄った、だがカグラは全く臆していない。

 

「ゴメン、ゴメン、いろいろあってさ、お詫びにお土産持ってきたから」

 

「お土産?」

 

「うん、これ」

 

ハヤテ丸の脚からそのお土産が放り投げられた、その時女性の悲鳴が聞こえた。

 

 

「・・・誰?」

 

カグラのお土産、それは縛られた女性であった。

 

 

「お前どういうつもりだ?勝手に部外者を連れてきていいと思っているのか?」

 

ナジェンダは鋭くカグラを睨みつけた、だが当の本人は全く臆していない。

 

 

「部外者じゃないよ、セリューに殺されかけてたんだから」

 

「どういうことだ?」

 

「面白い話が聞けると思うよ」

 

一方縛られた女性は状況を把握できていなかった、見知らぬ場所で大勢の人に囲まれて戸惑っていた。

 

 

「ねえ、ちょっとここはどこ?それに・・・」

 

何人かは見覚えがあった、どこなのかははっきりしないが。

 

「ナイトレイドのアジト」

 

「ナイトレイドって、あの殺し屋集団の!?」

 

見覚えがあるはずだった、手配書に出ているのだから。

 

 

「手短に話してもらうぞ」

 

「は、はい・・・」

 

女性は自分に起こったことを話し始めた、はっきり言って時間はなかったがセリューの名前が出てきたことで無視するわけにはいかなかった、アカメの命を奪った元凶なのだから・・・

 

 

 

その頃帝都近郊の森に二人の人影があった、それはウェイブとセリューだった、二人は帝都に戻る途中である。

 

 

「悔しいです!!私としたことがあんな失態を!!」

 

 

セリューはじたんだを踏んで悔しがっている、ウェイブはその様子を無言で見つめていた、ついさっきのことを思いだしながら・・・

 

 

 

 

 

 

 

「コロ補食!!」

 

ガブッ!!

 

セリューはついさっき捕らえた盗賊の二人の補食をコロに命じた、盗賊達は上半身を食われて下半身だけ残されていた、その惨状を見てもう一人の盗賊は慌てて弁明した。

 

 

「待って!!私はこの二人に脅されて無理矢理手伝わされていたの、だから・・・」

 

「だから許してくれだと?ふざけるなそんな虫のいい話があるか」

 

「あ、あなたの上司に・・・」

 

「お前のような小物に隊長の手を煩わせるわけにいかん、私が対処する」

 

「あなた何様なの・・・」

 

「私達イェーガーズは迅速に対処できるよう特権を与えられているのだ、問題はない」

 

 

・・・ダメだ、コイツ、私の話全然聞く気がない・・・女はセリューの話のわからなさに絶望せずにはいられなかった。

 

 

「私がこの手で悪を裁く、殴殺刑だ!!」

 

セリューは鋼鉄の義手を構えた、セリューにためらいはみじんもない。

 

「ひっ!!」

 

女は悲鳴を上げて大粒の涙をこぼし始めた、なんで盗みで殺されなければならないのか、理不尽さに嘆くしかなかった。

 

「正義執行!!」

 

セリューは悪を裁くべく拳を振り上げた、その時突然セリュー達の周りに白いモヤが立ち込めた。

 

「なんだ?何が起こった?」

 

セリューは突然のことにあっけにとられているとセリューの前方に何か巨大な物が通り過ぎて行った。

 

「一体何が・・・あっいない、どこへ行った?」

 

 

いつのまにか女の姿が消えていた、辺りを見回しても女性はいなかった、セリューは上空を見上げてみた、すると上空に女を掴んで飛行する鳥がいた、しかもセリューにはその鳥に見覚えがあった。

 

 

「あれは・・・カグラ!!おのれ、また賊に手を貸すか!!」

 

カグラはナイトレイドと友人関係らしい、悪同志グルというわけだ、おのれ!!

 

 

「コロ、七番!!」

 

コロはセリューの命令に従いセリューの腕に噛み付いた、すると噛み付いた腕に巨大な大砲が装着された、一体どうやって巨大な大砲を保管していたのであろうか。

 

 

「逃がさんぞカグラ!!」

 

セリューは大砲を上空へ狙いをつけた、だが重量のある大砲を真上に上げるのは容易ではない。

 

「コロ支えてくれ、狙いがつかない」

 

コロはセリューの体を支えて狙いをつけやすくした、そして大砲はカグラに狙いをつけることができた。

 

「正義執行!!」

 

セリューは真上に大砲をぶっ放した、大砲の弾はカグラめがけて飛んでいく、そのまま着弾するかと思いきやハヤテ丸の尾羽から強烈な風が吹き出された、弾は風に吹き付けられ真下へ落下していった。

 

「そ、そんな・・・」

 

セリューは信じられなかった、十王の裁きがあっさり吹き飛ばされたことが、ショックで動けないセリューめがけて大砲の弾は落下していった。

 

 

 

「セリューの奴どこ行った?」

 

 

ウェイブはセリューを探していた、セリューが盗賊を捕らえて郊外に連れていったことを知ったからである。

 

 

ドカーン!!

 

 

「なんだ、爆発!?」

 

突然爆音が鳴り響いた、ウェイブはこの爆発にセリューが関わっているのではないかと直感した、すぐさまウェイブは爆発が起こった場所に駆けつけた、すると地面に大穴が空いていた、その周りにセリューとコロが倒れていた。

 

 

「セリュー、大丈夫か!?何があった!?」

 

「あっ、ウェイブさん・・・」

 

ウェイブはセリューのもとに駆けつけ介抱した、セリューもコロも爆発で焦げていた。

 

「大変です、カグラが突然現れて賊を連れ去ったんです!!」

 

「カグラが!?」

 

カグラの名前を聞いた瞬間ウェイブの表情が曇った、カグラには因縁があったからである。

 

「幸い他の賊はあらかじめコロが補食していたからよかったものの・・・」

 

「おい、お前今なんつった!?」

 

コイツ賊を補食したって言ったような・・・聞き間違いだといいが。

 

 

「だからカグラが賊を・・・」

 

「そっちじゃねえ!!お前今賊を補食したって言ったよな!?」

 

「はい、言いましたけどそれが何か?」

 

セリューは爽やかな笑顔で答えた、だがウェイブは衝撃の返答に怒りがこみあげている。

 

 

「何勝手なことを、いくら俺達に特権が与えられているとはいえ勝手に殺していいと思っているのか!?」

 

ウェイブは激怒した、いくら賊とはいえ簡単に殺したのではカグラの言った通りになってしまうではないか、軍人は殺し屋と同じなどと・・・

 

 

「お言葉ですが奴らは殺していないから大目に見てくれと言ったのですよ、そんな虫のいい話があるわけありませんよ、断罪して当然です」

 

「・・・」

 

ウェイブは言葉に詰まってしまった、セリューの言うことは的外れではなかったから、だが人としてセリューの行いは許せるものではなかった、何と言えばいいのかウェイブにはわからなかった。

 

 

「とにかく一度帝都に戻りましょう」

 

「あっ、ちょっと待て」

 

「・・・まだ何か?」

 

セリューは不機嫌そうにウェイブの方を振り向いた、説教の続きなのだとセリューは思ったが実際は違った。

 

「いや、その・・・胸、言いそびれちまったけどよ」

 

ウェイブは顔を赤くして指を指した、するとセリューの服が爆発で破けて胸が丸出しになってしまっていた。

 

「ふわっ!?」

 

 

セリューは慌てて腕で胸を隠した、セリューの顔があっという間に真っ赤になっていく。

 

「ウェイブさんやらしいです、黙ってるなんて・・・」

 

「なんでだよ!?」

 

 

気持ちはわかるが胸が丸出しになったのは俺のせいではないだろう、そう思わずにはいられないウェイブであった。

 

 

 

 

 

 

一方その頃ナイトレイド一同は女盗賊からいきさつを聞いたのであった、私達は驚きを隠せなかった。

 

 

「ろくに調査せず捕らえるのはまああるがその場で処刑はないな、手柄にならないからな」

 

ブラートは腐敗した軍を良く知っていたがセリューの所業には驚いていた。

 

 

「あいつはそんなのどうだっていいんだよ、悪さえ殺せれば満足なんだから」

 

おそらくラバの推測は正しいだろう、セリューの正義に対する執着は尋常ではないから。

 

 

「どう、なかなかおもしろかったでしょう」

 

「ああ、セリューの動向を少し知ることができたからな、だが今後は勝手は許さんぞ」

 

「うんわかった (ヤバ、目がマジだ)」

 

ナジェンダの鋭い眼光にカグラは少しびびり冷や汗が一つ流れた。

 

 

「ねえ、知ってること全部話したんだから解放してよ」

 

「悪いがそうはいかない、アジトの位置を知ってしまったのだからな」

 

「そ、そんな・・・」

 

そんなのあんまりよ、知ってること全部話したのに、そう文句を言いたかったが怖くてできなかった。

 

 

「ナイトレイドに入ればいいじゃん」

 

「何言ってるの!?」

 

「どうせ食べるあてないんだしちょうどいいじゃん」

 

「それはそうだけどいくらなんでも・・・」

 

 

いくらなんでもナイトレイドはないわよ、この娘には助けてもらったけどさすがに殺し屋集団は・・・

 

 

「お気持ちはわかりますが、このままじゃあなた殺されちゃいますよ、よく考えた方がいいですよ?」

 

シェーレは女を気遣かったつもりだったのではあるが女はすっかり恐怖で萎縮してしまっていた。

 

「その娘が連れてきたのに・・・ひどいあんまりよ・・・」

 

 

女はすっかり涙目になっていた、するとカーコリッテが女の肩を優しく叩いて慰めた。

 

 

「気持ちはわかるけど命があっただけでもよしと思おうよ、生きていればそのうちいいことあるよ」

 

「うん・・・」

 

カーコリッテの慰めに女は感動していた、その様子を見てサヨ達は。

 

 

「カーコすごく嬉しそうね」

 

「似たような境遇の仲間ができたと思ったんじゃないの?」

 

「こういうのを同じ穴のムジナって言うんでしたっけ?」

 

「たぶん違うぞ」

 

 

サヨ達が微妙な雰囲気を感じているとナジェンダが一喝して吹き飛ばした。

 

 

「お前達気持ちを切り替えろ、これから重要なミッションを開始するのだからな」

 

 

ナジェンダの一喝に皆気が引き締まった、サヨも体に緊張感が走る。

 

 

「これから大事な任務が始まるのだから気を引き締めないと」

 

一同は誘拐団のアジトがある西方20キロの山岳部へ出発していった、この時はまだあのようなことが起きるとは誰も予想していなかった。

 

 

 

 

 

今回の参加メンバー

 

ナジェンダ ブラート レオーネ マイン ラバック シェーレ サヨ イエヤス スサノオ チェルシー

 

ジャド カグラ カーコリッテ ミラージェン グレイグ トレイル インファン グラール マクレーン

 

ガルス ギジェ ケビン ライドウ   

 

 

 

 

 

 




久しぶりにイェーガーズのウェイブとセリューが登場しました、他のメンバーも登場しますので楽しみにしてください、これからも国交回復編を楽しみにしてください。

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