サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第七十八話

   秘境を斬る(中編)

 

 

サヨ達が秘境にいる頃帝都では賊の活動が再度活発になりつつあった、それを阻止すべくイェーガーズのセリューが奮戦していたのであった。

 

 

「正義執行!!」

 

 

セリューはドリルで賊を次々とミンチにしていった、そしてコロがそのミンチを次々とたいらげていく、セリューの前に賊はなすすべがなかった、その光景を不機嫌に見つめている者がいる、それはスタイリッシュである。

 

 

 

「・・・セリュー一人で片がついたわね・・・アタシ必要なかったじゃない、こんなことならさっさと出発したらよかった」

 

 

 

 

 

数日前

 

 

スタイリッシュは手下の強化兵数人とともにある場所へ出発しようとしていた、それは・・・

 

 

「百年に一度だけ生える幻のキノコ全部アタシ達がいただくわよ!」

 

「はい、スタイリッシュ様!!」

 

「じゃあ出発!!」

 

勇ましく出発しようとしているスタイリッシュの肩を何者かが掴んだ、それはセリューであった。

 

 

「どこへ行くつもりですか?ドクター」

 

「え?ちょっと西南の秘境へキノコ狩りに」

 

「何のんきなことを言ってるんですか!!今賊の活動が活発になっているのですよ!!」

 

セリューはスタイリッシュの背広の後ろの襟首を掴んで賊討伐へ出発しようとしていた。

 

 

「ま、待ってよ、そのキノコ百年に一度しか生えないのよ、これを逃したら・・・」

 

「百年も千年も関係ありません、たまにはイェーガーズとして仕事してください!!」

 

「あああ!!アタシのキノコー!!」

 

 

 

 

 

「まあとにかくこれでキノコ狩りに出発できるわね、急がないと」

 

すると再びセリューはスタイリッシュの肩を掴んで止めたのであった。

 

「な、何?」

 

「どこへ行くつもりですかドクター?」

 

「だって討伐終わったんだしキノコ狩りへ・・・」

 

「何言ってるんですか、事後処理の書類のまとめとか山ほどあるんですよ、ドクターはそっちの方が専門でしょ!?」

 

「キ、キノコ狩りから帰ったらいくらでもやるわよ・・・」

 

「今やらずしていつやるのですか!?」

 

「あああー!!アタシのキノコー!!」

 

 

スタイリッシュはこの娘はばかで素直だけど融通がまったくきかない堅物だったことを心の底から思い知ったのであった。

 

 

 

 

 

その頃サヨ達はキノコを目指して歩いていた、周りは似たような景色ばかりで方向オンチでなくても迷いかねない。

 

 

「キノコの場所まだ?」

 

「そろそろのはずやけど、バァド頼むわ」

 

「ああ」

 

バァドは懐からホイッスルを取り出し辺り一面に鳴り響かせた、すると大量の鳥がバァドに集まってきた、バァドの臣具は鳥を操る臣具である、バァドは鳥の声に耳を傾けている、すると。

 

 

「こっちの方角に洞窟みたいなのがある」

 

「それや、みんな行くで」

 

「なんで分かるの?」

 

「バァドは鳥の声を理解できるんや、いっとくけどこれはバァド自身の能力やで」

 

「鳥と会話できるなんてすごいわね」

 

「そやな」

 

一行はバァドが指さした方角へ向かった。

 

(バァドはアカメが斬るアニメ第四話に出てきたアジトの近くにやってきた密偵です)

 

 

サヨ達がしばらく歩いているとキャスカの臣具に大きな反応があった。

 

「こっちに大きな生物が複数近づいて来ているよ、どうするのシヴァ」

 

「そやな・・・ギルベルダ、カサンドラ頼むわ」

 

「なんでアタシ達が?」

 

「この時のために連れて来たんや、あんたらもキノコ狩りよりも危険種狩りの方がええやろ」

 

「そりゃそうだけど・・・」

 

「じゃあ頼むで」

 

 

一行は二人を残して先を進んで行った、ギルベルダはムッとしている。

 

「まったくなんでアタシが・・・」

 

「でもギルにキノコ狩り無理だと思いますよ」

 

「それってアタシがガサツって言いたいのか?」

 

「違うんですか?」

 

「まあ、違わなくはないけど・・・」

 

「無駄話はここまでです、来ましたよ」

 

 

特級危険種トリケプスの群れが二人に突っ込んできた、ギルベルダは慌てることなく右腕をブンブン振り回している、そして先頭のトリケプスに殴りにかかった。

 

 

ボンッ!!

 

 

殴られたトリケプスの頭部は木っ端みじんに砕かれた、だがギルベルダは浮かない顔をしている。

 

 

「チッ、こんなものに頼らないといけないとは・・・」

 

ギルベルダの右手にはナックルが装備されていた、これはナックルの臣具で腕を回せば回すほど威力が上がるのである。

 

 

「ギル油断大敵ですよ」

 

二匹目のトリケプスがギルベルダに向かって突進していく、カサンドラは懐から何かを取り出した、何を取り出したのかは見えていない、そして見えない何かをトリケプスに投げつけた、トリケプスは一瞬でずたずたに切り裂かれた、カサンドラが投げつけたのは透明のチャクラムの臣具であった、扱うには優れた聴覚が必須である。

 

 

「やはりお前も前ほどのキレないな」

 

「仕方ありません私達には以前のような力はないんですから」

 

「わかってるよ、蘇生の代償だからな」

 

 

二人は思い出していたあの時を・・・

 

 

 

回想

 

 

「蘇生虫?」

 

「ええ、虫を交配させていたら偶然誕生したの」

 

「それは命を落としても生き返れるということなのですか?」

 

「ええ」

 

「すごいじゃないですか、それがあれば無敵ですよ!!」

 

「そう都合よくいかないわ、この蘇生虫による蘇生の確率はすごく低いの、仮に蘇生できても大幅に力が落ちてしまうわ」

 

「そうなんですか・・・」

 

「現にババラとタエコにもこの蘇生虫持たせたんだけど蘇生できなかったわ」

 

「世の中甘くないということです」

 

「でも一応みんなにこの虫渡しておくわ、今回の仕事過酷なものになると思うから」

 

「帝国の暗殺部隊ですね」

 

「お二人でも倒せなかった暗殺部隊・・・容易に倒せる相手ではありませんね」

 

「それでも引き下がるわけにはいかないわ、オールベルグの信用問題に関わるから」

 

「大丈夫ですよアタシ達とメラ様なら敵はいません」

 

「ふふ、頼もしいわね」

 

「任務を果たしてまたお茶会開きましょう」

 

 

 

 

 

「・・・あの時は絶対大丈夫だと思っていた、けど、けど・・・」

 

「はい、まさかあんなことになるとは・・・」

 

 

 

 

回想2

 

 

 

「メラ様!?メラ様ー!!」

 

「メラ様?ひどい傷、このままでは」

 

「くそ!!メラ様を死なせてたまるか!!」

 

「待ってください、手当は私が」

 

「早くしてくれ!!」

 

 

「・・・」

 

「おい、どうした?大丈夫何だろ!?」

 

「血が止まりません、ダニエルさんと同じです」

 

「どういうことだよ!?」

 

「これは未知の毒です、私ではどうにも・・・」

 

「そんな・・・何とかしろよ!!」

 

「すみません・・・」

 

「てめえ!!」

 

 

「・・・やめなさい」

 

「メラ様!?」

 

「メラ様、あの・・・」

 

「あなた達が無事でよかった・・・」

 

「いえ、アタシ達も一度死にました、けどメラ様から譲り受けた蘇生虫のおかげで・・・」

 

「そう、私も致命傷を受けて絶命したはずだけど蘇生したのね、でも私はすぐに死ぬわ」

 

「そ、そんなことは・・・」

 

「わかってるはずよこの傷は治癒できないわ」

 

「・・・」

 

「ごめんなさいメラ様、アタシが余計なことを言ったばかりにメラ様やみんなが・・・」

 

「気にしないで最終的な決断をしたのは私よ、だからこの事態を招いたのは私の責任よ」

 

「そ、そんな、そんなことは・・・」

 

「ギルそのくらいにしてください、メラ様の時間をこれ以上無駄にはできません」

 

「な、何言ってるんだよ?」

 

「メラ様の残された時間を無駄にするわけにはいけないんです」

 

「そ、そんなわけ、そんなわけが・・・メラ様が死ぬなんて」

 

「私だって受け入れたくありません、でも・・・」

 

「アタシはあきらめないぞ!!きっと何か手が・・・」

 

「無理よ、こればかりはどうにもならないわ」

 

 

「い、嫌だメラ様とお別れなんて!!」

 

「本当にごめんなさい」

 

「うわああああ!!」

 

 

「ドラ、後のことはあらかじめ言っておいた通りに」

 

「はい」

 

「後アカメちゃんのことだけど・・・」

 

「アカメの野郎をぶっ殺すんですね、あいつはアタシがひき肉にしてやります」

 

「そうじゃないの、アカメちゃんのこと恨まないで欲しいの」

 

「な、なんで!?あいつはメラ様を!!」

 

「私達の世界は殺し殺されで成り立っているでしょ、アカメちゃんは自分の意思を貫いただけだから」

 

「そ、それはそうですが・・・」

 

「納得してとは言わないわ、でも理解はしてちょうだい」

 

「は、はい (いくらメラ様のお願いでもこればかりは・・・)」

 

「後生き残った娘を見つけたら速やかに保護して」

 

「わかりました・・・」

 

「・・・もう時間がないみたいね、名残惜しいけど仕方ないわ」

 

「い、嫌です、アタシメラ様とさよならなんて嫌です!!」

 

「ギル!!これ以上メラ様を困らせないでください!!」

 

「何だと!?お前メラ様とさよならになってもいいのかよ!!」

 

「そんなわけあるわけありません!!そんなわけ・・・」

 

「わ、わりい、お前も悲しいに決まってるんだからな・・・」

 

「いえ・・・」

 

「ありがとうギル、ドラ、最後にあなた達に会えて本当によかった・・・」

 

「メラ様・・・」

 

「メラ様・・・」

 

「最後にお別れの口づけをして・・・」

 

「はい・・・」

 

「喜んで」

 

 

 

 

「ありがとう、あなた達私の分まで生き抜いてね、どれだけ過酷な道でも」

 

「はい!!」

 

「ありがとうございました!!」

 

 

 

さようなら、私の愛おしい娘達・・・

 

 

 

 

「メラ様!?メラ様!!うわああああ!!」

 

「うっ、うっ、うっ・・・」

 

 

 

「・・・これからどうする?」

 

「メラ様を弔った後は・・・まず生き残った人達を探します、それからは・・・わかりません」

 

「そうだな、わからないな」

 

「アカメはどうするのです?」

 

「アタシだってアカメを殺したいさ、けどメラ様の最後のお願いもあるし、わからないよ!!」

 

「そうですね、とりあえず失った力を少しずつ蓄えていきましょう、無力なままでは何もできません」

 

「そうだな、まずはそうしょうか・・・」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれから必死に力を蓄えていったけどまだまだだな」

 

「仕方ありません、ベストを尽くすしかありません」

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

正直自分達の選択が正しいのかわからない、ただメラ様とオールベルグを奪った帝国だけは許さない、ただ帝国を潰してもこの心の渇きは消えることはないだろう、それでも今はがむしゃらに戦うしかないのだから・・・

 

 

 

 

 

 

 




今回はギルベルダとカサンドラが主役の回でした、大半がセリフの文になってしまいました、小説の文がとても下手なので試しにセリフのみにしてみました、どっちの方がましでしょうか、ちなみにメラルドの声はアニメHOLICのいちはらゆうこをイメージしてください、これからも応援お願いします。

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