サヨが斬る!   作:ウィワクシア

83 / 123
第八十二話

   劇団を斬る(前編)

 

 

マイン達は夜になるまでウインドウショッピングをして時間をつぶしていた、ミーラとロリスは数年ぶりの帝都ではしゃいでいた。

 

 

「姉様、あのドレス可愛いですわよ」

 

「あのアクセサリーもすごく綺麗ですわ」

 

チェルシーははしゃいでいる双子を見てしみじみ思った。

 

 

こうして見るとあの娘達も年ごろの女の子なのよね、あの娘達が殺し屋だなんて普通の人は思わないわよね・・・

 

 

チェルシーは双子がどのようないきさつでオールベルグに入ったのかはメラルドから聞いていた、チェルシーはそれほどショックと感じなかった、こんなご時世であるから珍しいことではないのである。

 

 

「ちょっとチェルシー何私達をじろじろ見てるんですか?」

 

「えっ!?いや別に・・・」

 

ミーラに問われてチェルシーは思わずあわてた、すると・・・

 

「私達の可愛いミニスカ姿を見て欲情したんでしょう?」

 

「はあ!?ちょっと待ってよ私は・・・」

 

 

冗談じゃないわよ・・・なんで私があなた達のミニスカに欲情しなくちゃならないのよ、エロオヤジじゃあるまいし。

 

 

「あなたもやっと正しい愛に目覚めたんですね」

 

「メラ様も喜んでいますわよ」

 

 

こら、ガキンチョども、勝手に話を進めるな、私にそんな趣味ないんだから・・・

 

 

「ちょっとアンタ達遊ばないで、さっさと行くわよ」

 

ナイスマイン!!  チェルシーは心の中でマインに感謝した。

 

 

「あっ、待ちなさい!」

 

「これは遊びじゃありませんわよ」

 

マインは双子の抗議を無視して進んで行った、双子も渋々ついて行った。

 

 

マイン達は帝都の街中を歩いていく、相変わらず人でにぎわっていた。

 

「相変わらず帝都は人が多いわね、多いだけだけど」

 

通り過ぎていく人の多くは暗い表情だった、むろん原因はわかっている。

 

 

「恐怖政治のせいだからね」

 

 

潤っているのは一部だけでどん底で苦しんでいる人は少なくないのであった。

 

 

「だからこそアタシ達が頑張らないといけないのよ」

 

マインは今夜の任務に向けて気合いを入れていた、するとミーラが質問してきた。

 

 

「確か今回の標的は女性を暴行して殺害しているんですよね?」

 

「そうよ」

 

「それは許せません、ぜひ私達の手で徹底的に酷く殺してやりましょう」

 

 

双子は惨殺の妄想をして残酷な笑みを浮かべている、それを見てチェルシーは慌てて諌めた。

 

 

「ちょっと待って、イヲカルはマインの狙撃で仕留めるのよ、あなた達は護衛の傭兵を仕留めるのよ」

 

 

「なーんだつまらない」

 

「私達の腕の見せ所でしたのに」

 

「まあまあ他のところであなた達の腕見せてよ」

 

「仕方ありませんわね」

 

「私達の強さ見せてあげますわよ」

 

「そうね、楽しみにしてるわ(・・・ホント手間がかかるガキンチョどもね)」

 

 

チェルシーは内心でやれやれと思いつつ双子を巧にコントロールするのであった。

 

 

マイン達は時間つぶしに街中を歩いていく、案外時間つぶしの時間は速く進まないものである。

 

 

「ウインドウショッピングにも飽きましたわ」

 

「そうですわね姉様・・・ってチェルシー何私達をじろじろ見てるんですか?」

 

「やっぱり私達に欲情してるんでしょ?」

 

「そうじゃないわよ、あなた達昔はずいぶんチビだったのにずいぶん背が伸びたなあって思って」

 

 

オールベルグにいた頃に比べてグンと双子の背は伸びていたのである、来年にはマインを抜いているかもしれない。

 

 

「そうでしょ、そうでしょ」

 

「私達すっかりレディになったでしょ」

 

 

中身はガキンチョのままだけどね・・・

 

 

鼻高々の双子を見てチェルシーは心の中でつぶやいた。

 

 

「・・・メラ様に今の私達の姿を見て欲しかった」

 

「・・・メラ様と一緒にオシャレしたかった」

 

 

双子の表情がみるみるうちに暗くなっていった、双子にとってメラルドはかけがえのない人間だったから。

 

 

チェルシーは内心で舌打ちした、下手を打ってしまったと、慌ててチェルシーは手を打った。

 

 

「まあまあ二人ともこの仕事が終わったら美味しいもの食べ歩きしようか」

 

「食べ歩き?」

 

「帝都にはいろんな店があるから盛り上がるわよ」

 

「そうですわね、たまにはチェルシーもいいこと言いますわね」

 

「そうでしょ  (たまにはは余計よガキンチョ!!)」

 

みるみるうちに双子の機嫌が良くなっていった、ちなみにチェルシー自身はおごる気は全くない。

 

 

「じゃあひとまずラバの店で休もうか」

 

散々歩いてチェルシーの足は限界に近づいていた、すぐにでも休みたかったのである、だがその時。

 

 

「あのお、ちょっといいですか?」

 

突然後ろから声がした、後ろを振り向くと小柄で眼鏡をかけた女性が立っていた。

 

「アンタ誰?」

 

「は、はい、私ウマトラ劇団の者です」

 

ウマトラ劇団、この帝都で評判の劇団である、一体何の用だろう?

 

 

「単刀直入に言います、皆さんにエキストラとして出演して欲しいのです」

 

「なんでアタシ達が?」

 

「皆さん可愛いので」

 

可愛いと言われて双子は上機嫌になった、だがマインとチェルシーは浮かれていなかった。

 

「エキストラって一般人から募集するものなの?」

 

「普段はやりません、今回は多くの劇団員の方々が食中毒になってしまったもので・・・」

 

「なるほどそういう事情か、でも悪いけどお断りさせてもらうわ」

 

「えっ!?」

 

 

この人には悪いけど私達は殺し屋、目立つわけにはいかないのよね・・・

 

「もう少し考えてくれませんか?」

 

「お断りよ、大体エキストラなんてしょぼい役アタシにふさわしくないわよ」

 

 

マイン、演技なのかな、それとも本音なのかな?  チェルシーにはどっちかはわからなかった。

 

 

「とにかくアタシ達は先を急ぐから」

 

「ま、待って・・・」

 

 

マインは懇願を振り払いその場を立ち去ろうとしている、劇団員の女性は突き放されて戸惑っている。

 

 

「あのそちらの双子ちゃんは?」

 

「主演なら考えてもいいですわよ」

 

「そ、それは・・・」

 

「ならお断りしますわ」

 

双子も立ち去ろうとしていることに女性はオロオロした、このままエキストラを誰もスカウトできず劇場に帰ることはできなかった、懸命に知恵を絞って一つの妙案を思いついた。

 

 

「双子ちゃんなら主演よりも目立つエキストラになりますよ!!」

 

その言葉に耳をピクリとさせ双子は足を止めた。

 

 

「本当ですか?」

 

「ええ、双子ちゃんすごく可愛いので十分ありえますよ」

 

「まあ、私達なら当然ですわ」

 

「それに双子ちゃんが着ている藍色の衣装すごくステキですよ」

 

双子は衣装を褒められてますます浮かれたのである。

 

「あなた見る目ありますわね」

 

「そこまで言うのであれば行ってあげてもよろしいですわよ」

 

「ありがとうございます!!」

 

「ちょっと何勝手に決めてるのよ!?」

 

マインは双子の勝手な行動に文句を言うも。

 

「あなた達は来る必要ありませんわよ」

 

「私達だけで行きますから」

 

そう言うと双子は女性と一緒に劇場へ歩き始めた。

 

「アンタ達待ちなさい!!」

 

 

マインは制止するも双子は無視して歩いて行った。

 

 

「あの娘達腕は立つけどそんなに賢くないのよね・・・」

 

「全く何が助っ人よ、とんだお荷物じゃない!!」

 

「こうなったら私達も行くしかないわね、あの娘達だけじゃどうなるかわからないし」

 

「全く、とんだ寄り道になったわ!!本当にめんどくさい!!」

 

 

マインはぶつぶつ言いながら双子を追いかけて行った、この時マインはこの後すぐめんどくさいどころではないことが起こってしまうことなど夢にも思ってなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回の話いかがでしたか?比較的セリフが多かったです、セリフ以外の文章がろくに書けないんですが、次回もこんな調子ですがよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。