サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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今日から令和が始まりました、これからもこの小説をお願いします


第八十六話

   遠縁を斬る(後編)

 

 

 

「お前達三人はそのデカブツと戦え、俺達二人でこの女と闘る」

 

「わかった」

 

イヲカルの護衛達は二手に分かれてセリューとコロに向かって行った、妥当な作戦である、普通なら。

 

 

「コロ、もう一度言うけど殺しちゃダメですよ、隊長達に迷惑かけるわけにはいきませんから!」

 

「キュッ!」

 

 

コロは少し不満であったがセリューの命令を受け入れた。

 

 

「クロメさんは手を出さないでください、これは私の責任ですから」

 

「わかった」

 

 

クロメはその場から少し離れてお菓子を食べだした、クロメはそれほど心配していない様子である。

 

 

 

セリューと護衛二人は交戦にはいった、お互い小手調べといったところである。

 

 

「エスデス将軍の後ろ盾があると思うなよ」

 

「最初からそのつもりはありません」

 

「その威勢いつまで続くかな?」

 

 

 

護衛の男はセリューを殴りにかかった、セリューは左腕でガードした、すると突然殴ったところが爆発した。

 

 

「!!?」

 

 

セリューは何が起こったのかわからず戸惑っている、男が使用した臣具は殴ったところを爆発することができる手甲である。

 

 

「なかなか面白いだろ、これで殴れば派手に肉が飛び散るんだぜ」

 

「くっ」

 

 

セリューは後ろに下がり態勢を立て直した、そして自分の腕が義手だったのが幸いした、これこそ皮肉だとセリューは思った、サヨとアカメに腕を切り落とされたために義手になったのだから。

 

 

「驚きましたけど、当たらなければ問題ありません」

 

「確かにな・・・だがこれはどうかな、やれ!」

 

「おう!」

 

 

もう一人の男が手にしていた棒をセリューの方に向けた、すると突然棒が猛スピードで伸びてセリューの腹に直撃した。

 

「ぐっ」

 

結構な効いたらしくセリューはうめき声をあげた、不意をつかれて防御がおろそかになったのである。

 

 

 

「伸びる棒の臣具・・・大臣の親戚となると護衛の装備も普通じゃないですね」

 

 

「まあな、(そのおかげでいろいろおこぼれにありつけるがな)」

 

 

思わぬ痛手を受けたセリューであったがすぐに切り替えて反撃に移った、セリューは棒使いに向かってダッシュした。

 

 

「何!?」

 

 

予想外の展開に慌てて棒を伸ばして攻撃した、セリューは正面から紙一重で回避してパンチでぶっ飛ばした。

 

 

「スピードはありますが直線的で避けるのは難しくありません」

 

 

 

「ちっ!」

 

男は舌打ちしてセリューに向かって行った、激しい攻防が繰り広げられた。

 

 

「やりますね」

 

 

「これでも俺は皇拳寺の師範代だったからな」

 

 

「それが何故彼の護衛を?」

 

「まあ、いろいろあってな」

 

 

「・・・悪事を働いて破門されたのでしょう」

 

「よくわかったな」

 

「あなたの人となりを見たら何となく」

 

「まあ、そんなのどうでもいいがな」

 

 

男は一気に勝負をつけるべくセリューの頭に狙いを定め拳を繰り出した、セリューの顔をグシャグシャにしたいのもあったが・・・

 

 

ボォオン!!

 

 

 

轟音とともに爆発が起こった、だがセリューは左手で拳を受け止めていた。

 

 

 

「やはり顔を狙ってきましたか、女子の顔を狙うとはゲスの極み!」

 

「くっ・・・」

 

男はセリューの眼光に怯み動けなかった、その隙をついてセリューの鉄拳が男をぶちのめした。

 

「ぐわー!!」

 

男は派手にぶっ飛んだ、ぶちのめされた男は完全に失神している、男の頬に鉄拳の後がくっきりと残っていた。

 

 

一方コロの方も片がついていた、三人がどれだけ殴ってもコロにはびくともしなかった生物型帝具であるコロには並の打撃はほとんど効果がなかっのである。

 

 

 

 

「・・・」

 

 

イヲカルは目の前の光景に呆然としていた、相手はあの悪名高いアカメを倒した帝具使い、元皇拳寺の腕利きでも苦戦することは覚悟していたがこんなにあっさりたたきのめされるとは思っていなかったのである、するとセリューはイヲカルに近づき。

 

 

 

「あなたを公務執行妨害で拘束します」

 

 

「ふ、ふざけるな!!俺はオネスト大臣の親族だぞ、この俺を拘束するだと!?」

 

「私達イェーガーズには特権があります、そんな脅しには怯みません」

 

「ぐぎぎ・・・」

 

 

イヲカルはワナワナふるえていた、怒りもあるが恐怖の方がはるかに強かった。

 

 

 

このまま拘束されれば叔父上は俺を助けてくれるだろうか・・・否!!エスデス将軍ともめるリスクを冒してまで俺を助けてくれるわけがない!!こうなったら・・・

 

 

 

 

「うわああ!!」

 

 

イヲカルは懐に納めた拳銃を取りだしセリューに向けて発砲した、だが恐怖で震えた手で撃ったため狙いが定まらず大きくそれてしまった。

 

 

「ああああ!!」

 

 

外れた弾丸はイヲカルから逃げ出した女性の胸に当たってしまった。

 

 

 

「な、なんてことを・・・」

 

セリューは倒れた女性を見て呆然とした、そしてセリューの怒りは頂点に達した。

 

 

 

「私を撃つならまだしも彼女を撃つとは・・・許さん!!」

 

「ち、違う、お前を狙ったんだ、狙いが外れてしまったんだ・・・」

 

 

「見苦しい言い訳をするな!!正義の名の元にお前を断罪してやる!!」

 

「や、やめろ!!大臣の親族であるこの俺を殺してたたですむと思っているのか!?」

 

「黙れ!!かよわき女性を手に掛ける悪の脅しになど私は屈しない!!」

 

「ひいいい!!」

 

 

イヲカルは涙ボロボロ鼻水を垂らしながら必死に出口に向かって走り出した。

 

 

「逃がさんぞ!!コロ、7番!!」

 

 

コロはセリューの腕に噛み付き大砲を装着させた、セリューは狙いをイヲカルに定めて準備が完了した。

 

 

 

「お前のその罪、爆炎とともに悔い改めろ!!」

 

 

ドオオオン!!

 

 

轟音とともに大砲がぶっ放された、イヲカルは木っ端みじんに吹き飛ばされ肉片もまともに残っていなかった。

 

 

 

「見たか、正義の力を!!」

 

 

セリューは鼻高々であったが周りにいた劇団員達の呆然とした様を見て辺りを見回して見ると劇場の観客席も木っ端みじんに吹き飛んでいたのである。

 

 

 

「やってしまいました・・・」

 

 

「セリュー一人で責任取ってよね」

 

「はい・・・」

 

 

悪を断罪するためとはいえ劇場を破壊してしまったことにセリューはおおいにへこんだ、そしてエスデスから大目玉を食らうことを考えるとさらにへこむセリューであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




四ヶ月ぶりに投稿しました、文章のできどうでしたか?以前よりも落ちているかもしれません、それでもがんばりますのでよろしくお願いします。

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