拷問官を斬る
8月30日
イェーガーズの詰め所の事務室、そこには書類の処理をしているランの姿があった、するとそこにエスデスが入室してきた。
「いかがでしたか?」
「ああ、セリューの処分は私が一任することになった」
「そうですか」
セリューが大臣の親族を殺してしまい大臣がセリューを処刑する可能性もあったので最悪の事態はまぬがれたのである、穏便にはすまないだろうが。
遠縁の者なんかのために隊長との関係をギクシャクしたくないということですね・・・
ランの推測通り大臣はイヲカルの死など全く怒っておらず、むしろエスデスとの関係に影響しかけたことに激怒し、拘束した護衛達を腹いせに八つ裂きにしたのであった。
「あと、ウェイブとクロメさんをイヲカルの屋敷に向かわせました」
「どうだった?」
「はい、イヲカルの屋敷を調査したところ、誘拐され監禁されていた女性を多数発見し、保護しました」
「そうか」
エスデスは別に驚いていなかった、大臣の親族ならありえたからである。
「ところでセリューさんは?」
隊長のことだからおとがめなしにはしないだろう、とランは思い何気に聞いてみた。
「ああ、セリューなら・・・」
1時間前
セリューは拷問室にいた、この部屋には多数の罪人が拷問を受け悲鳴を上げていた。
「よく来たな、覚悟はできているな」
「はい」
セリューの顔には緊張が見られた、普段ならあまり見ることがない表情である、そしてセリューの格好も普段見られないものであった。
「あの、隊長・・・」
セリューは顔を赤くしてもじもじしていた、セリューはエスデスの指示で水着を着ていたのである、緑色のビキニである。
「何故この格好を?」
「すぐわかる」
エスデスはついて来いとセリューに命じある場所に案内した、そこにはエスデスが用意したあるものがあった。
「これは?」
そこには巨大な釜があった、釜の中には熱湯がグツグツと煮え返っていた。
「お前のために私が直々に用意した、思う存分に味わえ」
「はい!」
セリューは元気よく返事し釜の中にドボンと入った。
「どうだ?」
「て、帝都っ子はこの程度のお湯はへっちゃらです」
セリューは強がっているものの顔を真っ赤にして汗だくであった、その様子を拷問官達はジーと見ていた、エスデスは突然拷問官の方に振り向いた。
「何をしている、お前達もさっさと入らんか」
「ええええええ!!?」
拷問官達はエスデスの言葉の意味を理解できなかった、あたふた慌てていると。
「お前達は拷問の極意を知りたいのだろう、ならその身で体験するのが一番だ」
「し、しかし・・・」
ぐずぐずしている拷問官達を見てエスデスは次第にいらいらし始めた。
「私が造った拷問に不服か?」
ゾクゥゥ!!!
拷問官達は全員凍てつく恐怖を感じた、このままでは命が危ない、そう直感し行動に移った。
「は、入らせていただきます!」
「行くぞ!」
「うおおおお!」
拷問官達は次々と釜に飛び込んで行った、そして地獄絵図が始まる。
「ぎゃあああ!!」
「あ、熱い、熱いー!!」
「ああああ!!」
拷問官達は恥も外聞もなくみっともない悲鳴を上げている、エスデスはそれを見てご満悦だった。
「こうでなくてはな、この悲鳴がなくては拷問を造ったかいがないからな」
エスデスはご機嫌で連中の苦しむ様を見物したのであった。
「というわけだ」
「それは、それは・・・」
それはたいそうな地獄絵図だったでしょうね、ランは心の中でつぶやくのであった。
「どうだ、ラン、この機会にお前も体験しないか?」
「せっかくのお誘いですが、セリューさんの一件に関する書類が山積みになっていますので」
「確かに、これだけの書類を処理できるのはお前だけだな、またの機会にするか」
「はい」
ランは普段の表情で返事した、心のなかでは大喜びであったが。
「ではあとは任せたぞ、私は釜の湯を調整しに行ってくる」
「はい」
エスデスは部屋を後にした、事務室にはラン一人だけになった。
「拷問官の人達大変ですね、まあ、セリューさんは大丈夫でしょうが」
ランの予想通りセリューはのぼせただけだったが、拷問官達は瀕死の状態まで追い込まれたのであった。
この五ヶ月の間に面白い新作が次々出てきました、正直自分の小説はなくてもいいんじゃないかと思いつつ再度投稿しました、これからも投稿しようと思います、よろしくお願いします。