サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第九十一話

旧友を斬る

 

 

 

サヨは任務開始までの間にある人に声をかけようとした、この地域に到着した時にチラリと見かけたのである、その人は以前革命軍の本部で見かけたが全く話をすることができず今日まで会うこともなかったのである、任務前に話しかけていいのかと考えたが今の内に話をしてすっきりしておこうと思いその人に話かけた。

 

 

「ちょっといい?」

 

「何?」

 

 

サヨは革命軍の軍服を着た女子に話しかけた、彼女の名前はチュニ、かつてシェーレの友達だった人である。

 

 

「あなた以前シェーレの友達だったんでしょう?」

 

「・・・まぁね」

 

 

チュニは気まずいそぶりをしている、彼女は自分がふった彼氏に殺されそうになったところをシェーレに助けてくれたにもかかわらず何も言わず離れていったのだから。

 

 

「・・・シェーレ今どうしてる?」

 

「それはだいたいのことなら知ってるでしょう」

 

「そうだけどね・・・」

 

 

革命軍に所属していたらシェーレのことは多少なり知っているはず、おそらく彼女はシェーレと関わりたくないんじゃあ、気持ちは分からなくないけど・・・

 

 

「別にシェーレと元通りの関係になれと私は言うつもりはないわ、ただ私はあなたに一度でいいからシェーレと話をしてほしいのよ、話をした後シェーレと一切関わらなくても構わない、このまま何もしないのはいいとは思わない」

 

 

「それであなたに何か得があるの?」

 

「別に、ただ私がすっきりしたいだけよ」

 

「・・・わかった、シェーレを呼んできて、話を付けるから」

 

 

 

サヨはチュニの元へシェーレを連れて来た、サヨとしては二人が仲直りしてほしいところだが簡単にはいかないだろう・・・

 

 

 

「シェーレ、悪かったわね、助けてくれたのに一方的に無視して」

 

「いいんです、私のしたことは人殺しなんですから、怖いのは当たり前です」

 

「私のこと薄情な恩知らずと思わないの?」

 

「いいえ、全然、だからチュニも気にしないでください」

 

 

サヨはシェーレの様子を見てシェーレは全く恨んでいない、これなら仲直りできそう、そうサヨが思っていると。

 

 

 

「そうよねー、もうすんだことなんだし、気にすることないわね」

 

 

サヨはあれっと思った、チュニの態度が軽いような・・・

 

 

 

「ねえ、シェーレ、彼女・・・なんか軽すぎない?」

 

「そんなことありませんよ、チュニは昔から切り替えが速いんです、あの時も・・・」

 

「あの時?」

 

 

 

 

シェーレの回想

 

 

 

ガシャン!!

 

 

 

シェーレはチュニのカップを落として割ってしまった。

 

 

 

「ご、ごめんなさい!」

 

「気にしないで、どうせ安物なんだし」

 

「でも・・・」

 

「そうだ、気分転換に買い物に行かない?」

 

「いいんですか?」

 

「いいの、いいの、さあ、行くわよ」

 

 

 

二人はお店に出かけ、チュニは店に着くなり商品を片っ端から手に取った。

 

 

「シェーレ」

 

「なんですか?」

 

「悪いんだけど、私財布忘れちゃて、シェーレ立て替えてくれない?」

 

「いいですよ」

 

「ありがとう、私達、いつまでも友達でいようね」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

「私がどんなドジをしてもチュニはお買い物に連れて行ってくれたんです」

 

「それ絶対たかられてるよ!!」

 

 

なにこの人・・・シェーレのこと金づるとして利用してただけだったんだ・・・

 

 

「そんなことありませんよ、チュニがおごってくれたことありましたし」

 

「何を?」

 

「ジュースとかお茶とか・・・」

 

「安いものばっかりじゃない!!」

 

「高い安いは私は気にしませんよ」

 

 

散々たかられたのに・・・本当にシェーレっていい人ね・・・だからシェーレがふびんでならない・・・なんとかしないと!!

 

 

「チュニ、シェーレと本当に仲直りしたいと思っている?」

 

「うん」

 

「じゃあ、シェーレが立て替えたお金を全部シェーレに返してよ」

 

 

サヨの予想ではチュニは金を払うのを渋ると思う、でも、このままじゃシェーレがかわいそうすぎる・・・

 

 

「いいよ」

 

「えっ、本当!?」

 

「本当よ」

 

「結構な額になっているはずでしょ?」

 

「大丈夫、大丈夫」

 

 

チュニはお気楽そうにあるものを取り出した、それは魚、魚らしい物体だった、それは魚に見えるが全身真っ白で細長く何より目の部分が特に特徴的であった、その形は双眼鏡そのものだったからである。

 

 

(この物体は深海魚ボウエンギョをイメージしてください)

 

 

 

「・・・それ生物型臣具だよね?」

 

「そうよ、よくわかったわね」

 

「そりゃ分かるわよ、チホシとマムシのを見てきたんだから」

 

「そりゃそうか、じゃあ改めてこれの紹介をするわね、これは生物型臣具キプリス、私のご機嫌な臣具よ」

 

 

チュニはキプリスを左腕にはめて決めポーズを決めた、なんともシュールな姿である。

 

 

「それでどうやってシェーレにお金を返すの?」

 

「こうするの」

 

 

チュニはキプリスをはめた左腕をボスの方に向けた、すると妙な音が鳴り響いた。

 

 

カシャ  カシャ  カシャ

 

 

するとキプリスの口から紙が出てきた、その紙はボスの絵であった、だが絵にしてはあまりに鮮明すぎた、まるで空間を切り取ったと思うほど鮮明だったからである。

 

 

「これは?」

 

「これがキプリスの能力よ、さらにこの絵を大量に出すこともできるわよ」

 

「すごいわね・・・でもこれをどうするの?」

 

「それわね・・・」

 

 

チュニはラバにここに来るように呼び出した、もしかしてラバに・・・

 

 

「ねえラバ、これ欲しくない?」

 

「こ、これは・・・」

 

 

ラバはボスの絵を見て興奮した、恋するボスの鮮明すぎる絵を見れば当然だろう。

 

 

「この値で買わない?」

 

チュニは指で値段を示した、それは相当法外な値であった。

 

 

「そ、それはいくらなんでも高すぎる・・・」

 

「いいの?もう二度と手に入らないよ?」

 

 

ラバは悩んだ、懸命に悩んだ、そしてラバは結論を出した・・・

 

 

「持ってけ泥棒!!」

 

「まいどあり」

 

 

ラバはチュニに大金を渡し、チュニは絵を渡した、ラバはボスの絵を手にして大喜びしている。

 

 

「はい、シェーレ」

 

「ありがとうございます」

 

チュニはシェーレに借りてきたお金を返した、正直に言ってこれでいいのだろうか・・・

 

 

「シェーレ・・・」

 

「チュニがお金を返してくれました」

 

「よかったわね・・・」

 

まあ、シェーレが喜んでいるからいいかな・・・

 

 

 

「一つ聞くけど、まさかそれを使って味方の失敗を絵にしてゆすりのネタなんかに使ってないわよね?」

 

 

「・・・そんなことないよ」

 

「なんで目をそらすの!?」

 

やってるんだ、ゆすりを!!なんて人なの!!サヨは文句を言おうとしたがすんでのところでやめた。

 

 

殺し屋の私が偉そうなことは言えない、サヨは自分を諌めチュニに何も言わなかった。

 

 

「じゃあ私行くね、任務頑張ってね」

 

「はい」

 

チュニはそう言ってこの場を去って行った、サヨはチュニのやり取りに少し疲れを感じた、サヨは任務開始までに気持ちを切り替えることにした。

 

 

 

 

 

 




チュニの臣具いかがでしたか?わかりやすく言えばカラーインスタントカメラです、アカメが斬るの世界にカメラはないのでカメラがあったら面白いと思い載せました、ちなみにチュニの声は田村ゆかりさんでイメージしてください。

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