道案内を斬る
とある闇夜の平原、本来誰もいるはずのない平原なのだがそこに二人の人影があった。
「来ませんね」
「そうね」
その人影はサヨとシェーレであった、二人は賊のアジトまで案内してくれる密偵を待っているのであった。
「密偵の人も大変ですね」
「うん」
密偵は常に死と隣り合わせの立場にいる、それだけ密偵の役割は重要なのである。
「それにしてもカサンドラさんすごかったですね、ジャドさんに全く臆してなかったですから」
「あれは度胸と言うより怖いものしらずっていうか・・・」
大事に至らなかったとはいえ一触即発だったのは間違いない、まあ彼女達は元オールベルク、革命軍の理想には全く興味が無いのであろう、はっきり言えば利害が一致した時だけ組む関係である。
「今回の任務達成で西の異民族との関係が良くなるといいのですが」
「それはあまり期待しない方がいいと思うよ、とりあえず何か行動して西が動いてくれたら儲けたものだってジャドさんが言ってたから」
「そうですか、私達は私達で頑張りましょう」
「そうね」
そうしてしばらく静かな時が過ぎて行った、周りには獣の声が全く聞こえて来なかった、その時は全く気にしなかったけど、その場がかなり危険な状態だったのである。
「案内の密偵さん遅いですね」
「うん、そうね」
「迷子になっているのでしょうか?」
「まさか、イエヤスじゃあるまいし」
確かに遅い、何かあったのだろうか、そう思った瞬間、目の前に何か丸い物体が転がってきた、一瞬何かわからなかったが、それが何かはっきり認識することができた、それは人間の首であった。
「!!?」
二人はこの首が誰かなのかすぐに察することができた、二人を案内することになっていた密偵である。
「こんな辺境にでかいネズミがうろついているとは驚いだぜ」
二人は声がした方向へすぐさま向いてみた、するとそこに二人の男が立っていた、だがその男達は明らかに一般人ではないまがまがしい気を出していた。
「サヨ、この二人・・・」
「わかってる、この二人、すごく強い」
一目見ただけで武道家であることはわかる、だが武道家にしては尋常ならぬ殺気を感じる、間違いなく自分達と同じ裏の世界の人間である、その瞬間サヨはあることを思い出した、アカメからある集団のことを聞いたことがある、その名は・・・
「羅刹四鬼」
「羅刹四鬼ってあの・・・」
羅刹四鬼、大臣のお抱えの処刑人である主な任務は大臣の護衛であり、時には帝国の裏仕事を行うこともある、その中には帝具の回収もふくまれている。
「あの二人が持っている包み、回収した帝具だと思う」
「布で大切に包んでいるのですからそうだと思います」
「それで危険だけど逃げずに戦おうと思うの」
「逃げないのですか?」
「うん、逃げ切れる保障もないし、何より帝具を回収できればボスの打ち首取り消しにできると思うから、悪いけど付き合ってくれる?」
「気にしないでください、私もお付き合いします」
「ありがとう」
二人は帝具を手にし臨戦態勢をとった、覚悟を決めた殺気に満ちあふれている、その様子を見て羅刹四鬼の長身の男がニヤリと笑みを浮かべた。
「あいつら逃げずに俺達を殺る気だぜ、まあ、逃がしはしないがな」
「気を抜くなよ」
「へっ、誰に言っている」
「そうだな、言う必要なかったな」
長身の男の名はイバラで羅刹四鬼最強の実力者であり、もう一人の髭面の中年の大男の名はシュテンでイバラの次に強い実力者である。
「行き掛けの駄賃だ、あいつらの帝具もいただくとしようぜ」
「うむ」
西の辺境の地で予想もしなかった死闘が開始されようとしていた、誰が生き、誰が死ぬか、帝具戦の開始である。
自分に小説の文章が書けないことが改めてわかりましたのでこれからの話はセリフばっかりの小説になるかもしれません、今後もよろしくお願いします。