問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

なんか、こーゆーの久しぶりな気がする。

では、どうぞ。


第101話 負け犬

 サンドラの頭をそっと抱え、優しくその頭を撫でる。憲兵達は予想外の行動にどうすべきか足を止めていた。サンドラの責任問題に発展させたいものの、下手に一般市民に手を出しでもすればコミュニティを追い出されるのは自分たちだからと理解しているからだ。

 まあ、展示回廊と言う一つの観光名所でこれだけの騒ぎを起こし、一般市民のいるのかでサンドラ、小さな子供を泣かせているのだ。彼等の地位は既にあってないようなものだろう。

 

 ジンも、殿下もそれを分かって敢えて何も言わなかった。結果サンドラの心を傷付ける結果になったとしても、〝サラマンドラ〟全体の洗い出しや、サンドラ自身の成長になると判断したからだ。

 

 しかし、それは一般的な考えとは言い難い。そして、一般的な思考を持ち合わせ、かつ自らの家族を失った経験を持っていた義仁はどうしても避けられることの出来ないものだった。

 

「さっきから聞いてれば、こんな小さな子のお願いすら聞けない程度のコミュニティなんですか? 〝サラマンドラ〟って言うコミュニティは」

「……なんだ貴様」

「だから、子供のお願いすら聞けないほど畜生の集まりなのかって聞いてるんですが? 答える頭も持ち合わせていないですか? ああ、そうでしょうね、こうして一人の女の子を大人数で取り囲んで責め立てて泣かせてるような集団ですもんね。質問に答えるのは難しすぎるか」

 

 義仁にしては珍しい挑発的な言葉。〝アンダーウッド〟で起きたグリフィスの時と同じ、ブチ切れている。

 

「随分な口を聞いてくれるじゃないか。コミュニティと名を教えろ」

「結局質問には答えないんですね。否定しないってことは事実でーすってことかな? 〝ノーネーム〟所属、木島義仁」

 

 義仁が自らのコミュニティを名乗ったと同時に憲兵隊から笑い声が漏れる。確かに彼等〝ジン・ラッセル率いるノーネーム〟の知名度は上がっている。それでも結局は〝ノーネーム〟なのだ。有象無象、負け犬のひとつでしかない。

 

 ジンはその事に悔しさを滲ませる。所詮、まだここまでなのだと。

 

 そんなジンの様子も知らずか、憲兵隊の視線は義仁に向けられており、リーダー格とおぼしき男が腰にかけた剣を鞘からゆっくりと抜き放つ。

 

「たかが〝ノーネーム〟の負け犬風情が、我ら〝サラマンドラ〟に楯突く、と? 笑わせてくれるじゃないか」

 

 抜いた剣の剣先で義仁の頬を撫でる。それに沿うように傷口から血が滴りサンドラの頭を抱えている手の甲に落ちた。

 

「ではその負け犬以下のそちらは、さながら畜生ですかね? おっと失礼、生きているモノに対して失礼だった」

「まだ吠えるか。負け犬には調教が必要だな。翼龍隊、適当に痛め付けてやれ。ああ、くれぐれもサンドラ様には手を出すなよ?」

 

 そう言うと、頭上を覆っていた三体の龍が義仁と、ジン達を分断させるように地上に降り立った。

 そして、義仁側の翼龍が義仁の腹部を両脇から掴んだ。義仁はサンドラを離さないようにとより一層サンドラを引き寄せた。

 

 メギョッ

 

「ぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ギィィィイイイイィ!!!!!!」

 

 ゆっくりと、ゆっくりと舐る様にその腹部を掴む手に力が込められていく。骨が軋み、内臓が圧迫されていく不快感と共に、巨大なペンチで握り潰されていような感覚。

 喉の奥から血が逆流し、目から血の涙が流れる。穴という穴からじんわりと滲み出てくるのは汗ではなく赤黒い液体だった。

 それでも、サンドラの髪を汚すまいと顔を上げ、サンドラを抱える両の手は一切その拘束を解こうと動く事は無かった。

 

 一度、翼龍の腕から力が抜ける。それと同時に意識が飛びそうになるのを引き止め口の中の血を憲兵隊に向かって吐き出した。飛距離は全く足りず、憲兵隊の靴に跳ねた血が微かに汚す程度ではあったが、何がしたかったのかの意思表明は伝わった。

 

「何時まで持つのか、楽しみだ」

 

 二度目の絶叫が展示回廊内に響き渡る。最早、サンドラを連れ帰るのでは無く、義仁がどれだけ耐え忍び自分たちを楽しませてくれるのか。それが目的にさえなっていた。

 

「もういいです、もういいですから、義仁さん!! だから、私を離して下さい!!」

 

 正気に戻った、と言うよりこの悲惨な光景を終わらせたい。そんな声でサンドラが叫ぶ。だが、義仁はその手を離さない。

 血に阻まれ声を産まない喉で、大丈夫。と、笑ってみせた。

 

 そして、三度目の絶叫。

 

 一般市民は既にその近くに居らず、憲兵隊達はより一層笑みを隠すことが無くなった。

 叫ぶ義仁の目玉でも抉ってやろうか。舌を刻んでやろうか。ああ、イチモツを突き刺してやるのもいいな。

 

 そう思いたって、一歩進んだ憲兵隊の目の前になにかが落ちてきた。

 厚さはそこまでなく、カタカナのへの字のような形。色は朱色をしており、骨が通っていないであろう部分には膜のような物が張ってある。大きさは三メートルはあるだろうか。

 に、しても、いやに、みお、ぼえ、が──―

 

 そう、それは。現在進行形で義仁を殺そうとしていた翼龍達の翼だった。

 




お読みいただきありがとうございます。

楽しかったけど、消化不良感パない。

では、また次回〜
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