問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

ぜんぜっん思いつかねぇ!!
てかねみぃ!

では、どうぞ。


第105話 困った笑顔

 あれから〝サラマンドラ〟から薬等の投与をしてもらい、その日のうちに動ける程度には回復した。部屋に来ていた十六夜たちは明日行なわれる会議の準備があると既に部屋をあとにしていた。

 

 つまるところ、義仁は暇をしていた。

 

 以前のように、動くことすらままならないような大怪我なら大人しくしていたことだろう。しかし、身体の痛みはなく、手足を動かしても違和感がない。せめて話し相手の一人でもいてくれれば助かったのだが、そんな相手も現在いない。

 

「なにかしてないと嫌な事ばかり考えてしまうし……少しぐらい、大丈夫だよね」

 

 などと自分を正当化しつつ、廊下へと繋がる扉にそっと手を付けた。ゆっくりその扉を押し開け、外をうかがう。誰もいない? 誰もいない。よしっ。と黒ウサギにでも見つかれば数時間の説教コースは免れないであろう。多少の冒険心と背徳感は、余計な事を考えなくて済んだ。

 

 しかし、外に出てみたはいいものも行く宛もない。変にウロウロして誰かに見つかれば連れ戻され説教コース。赤と金の豪華な絨毯の上でどうしようかと顎に手をやる。

 

「あら、要安静の怪我人が何をしているのかしら? もしかして殺されたいのかしら?」

「……えっと、何処から出てきたのかな」

 

 気が付けば義仁を見上げる少女が一人。ジンの使役するペストだ。

 

「確か、捕まってるって」

「私は霧状になれるのよ? 鉄格子くらい抜けられるわ。ジンは無理みたいだけど」

 

 とは言ってもほとんどの力は封じられてるのだけど。と、可愛らしく頬を膨らませてみせた。

 

「まあ、そんなことはいいじゃない? 脱走者同士仲良くしましょ?」

 

 クスクスと笑い、小さな手を義仁へと差し出す。その小さな手を笑顔で握り返すとペストはまたクスクスと笑ってみせた。

 

「貴方はほんとう疑うって事を知らないのね。知った方がいいわよ?」

「そうかもしれない。けど、ペストちゃんはしないよね? それに、さっき自分で言ったじゃないか」

「あらやだ、そうだったかしら」

 

 そして三度笑ってみせる。

 

「それでは、案内して下さるかしら?」

「お任せ下さい……って言いたいところだけど、残念ながら私も道が分かるわけではないんですよね」

「あら、いいじゃない。お互い知らない場所。探検しましょ」

 

 そう言うとペストは義仁の手を引っ張り始める。義仁は箱庭に来る前、かつての記憶に残る娘の姿がペストと重なった。

 

 今夜ぐらいは、楽しんでもいいって事なのかな……。

 

 嫌なことから目を背ける。そんな自分を何処かで嫌悪しつつ、手を引っ張る娘にめいいっぱいの困った笑顔を見せてみた。




お読みいただきありがとうございます。

まあ、少し予定を変更してペストに出てきてもらいました。
今更ですが、各々の能力だったりはかなり拡大解釈しています。ご了承しやがれください。

最近クトゥルフ神話TRPGのルールブック買いました。
一緒にやる探索者等は何処で買えるのでしょうか?

では、また次回〜
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