問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ? 作:ちゃるもん
いやぁ、ここまで来るの長かった。
マックスウェル? 天使? ウィラ? んなもんしらねえよ(開き直り)
では、どうぞ。
一歩、また一歩足を進める。しかし、走ることは出来ない。上から押さえ付けられているいるかのような重圧が義仁の歩みを遅くしていた。
行くのを辞めろと、その歩みを止めろ、近づくな、何を考えているんだ、行ったところで何かできるわけでもないだろうに。
だが、重圧に耐えながらも義仁の足は止まらない。役に立たないと分かっているというのにその歩みを止めようとはしない。
きっと自分にも何かできるはずだ。一種の脅迫概念が義仁の足を前に進める。
瓦礫を乗り越え、炎の壁を跳び越える。一人の少年を助けるために。
それは奇しくもついさっきまでの自分と同じ。一人の少年を救えた時と同じ。だからきっと、今回も。
さっきまで感じていた重圧はどこへやら。徐々に軽くなりつつある足取りはやがて早歩き、駆け足、全力疾走。
重圧なんてものは最初からなかったかのように、ただ一直線にひた走る。
目的地の家屋の二階。その外にふわりと宙に佇む三つの頭を持つ龍。それに睨みを効かせ血反吐を吐く捨てる十六夜の姿。
どちらも、走って向かってきている義仁の姿には気が付いていなかった。
真っ白な柱が三頭龍を襲う。その柱を炎の塊が相殺した。
義仁からすればそれだけのこと。しかし、少なくともあそこに自分が居てはいけない事だけは理解した。しかし、分かりはしなかった。
幸いにも原形を留めている扉をこじ開け、二階への階段を駆け上がる。
二階からは複数の怒号が聞こえかなり切羽詰まった状況なのが肌を通して伝わってきた。
二階の大部分は吹き飛ばされ、十六夜と三頭龍が対面していた。十六夜の体の至る所から血が噴き出し、立っているのもやっとに見える。対し、十六夜の一撃をものともしなかった三頭龍は、こちらもまた体中から血を噴き出していた。
しかし、劣勢なのが十六夜なのは変わりない。十六夜の後ろには黒ウサギと大きな山羊に跨る飛鳥の姿。退くに引けない状況。
ああ、きっと彼は死ぬつもりなのだろう。後ろの二人を庇い、今ここで死にながらこの化け物を止めるつもりなのだろう。彼にはその力がある。きっと、後ろの二人もそのことを知っている。
三頭龍の腕が十六夜の体へと延び、泣き叫ぶ黒ウサギは飛鳥に引きずられ山羊へと乗せられる。
若い命を、子供を守らなくて何が大人か。
あの時の自分を繰り返すのか?
否、この足は何のためにある
否、この腕は何のためにある
「我が子を、守るためにある」
十六夜の体を引っ掴み後ろに投げ飛ばす。あまりの出来事に何が起こったのか理解できていない様子の十六夜。驚愕の表情を浮かべながら飛鳥にキャッチされた十六夜。その襟首には赤い宝石の首飾りが引っ掛かっていた。
飛鳥は義仁に小さく頷きチリンと鐘を鳴らした。すると、山羊が一瞬にして消え去った。
きっと、私の目では捉えきれないほどに早いだけなんだろうなと小さく笑い。
自分の腹部を貫いた三頭龍の腕を掴む。振りほどこうと思えば簡単に振りほどけるであろうそれを、三頭龍は振り払おうとはしなかった。
「最期に、看取ってくれる相手がトカゲなんて……、ゴホォ……これは、面白い土産話にでき、そう……だ──―
お読みいただきありがとうございます。
うんまあ、わりと悩んでるんだよね。
このままさっくり逝っていただくか、なんやんか生き返るか(五体満足とは言っていない)
では、また次回~