問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

最終話です。
先に言っておきおきますと、スッキリする終わりではありません。
俺たちの冒険はこれからだ! に似た終わりになりますがあしからず。
前作読んでる人はなんとなく察しがついてたとは思いますが。
もう少し早めに言っておくべだったなと反省しておりますのでどうか平に御容赦を。

では、最終話。どうぞ。


最終話 ただいま

 義仁はあの後蛟劉に助けられ、緊急医療室へと運び込まれリリが〝ノーネーム〟本拠から持ってきた医療器具の助けもあって目を覚ますことになる。

 傷は左わき腹の喪失。十六夜を〝アンダーウッド〟で誇んだ方法と同じ方法で連れ帰ってきた。

 

 多くの管が義仁の体に取り付けられ、これはもう無理だと半ば諦めながら止血、治療を続ける医師。手を握り続けるリリ、それを見守る手伝いに来た年長組に十六夜。

 零れ落ちようとする臓物は無理くり押し込められ、再生の恩恵を用い正常に戻そうとする。今この場、緊急と銘打ってあるこの部屋の中は義仁と似た重症の者も多い。そして、今まさに隣で息絶えるのもまた。

 

 十六夜が義仁に押し付けられた不死鳥の恩恵を握らせる。

 不死鳥の名を冠する恩恵。ゆっくりとだが着実に義仁の傷を癒し始めた。

 

 そして、長い長い格闘の末、義仁は目を覚ました。

 

 腹部の傷は跡こそ目立つものの完全に防がれ、呼吸は正常なもの。まさしく奇跡。脈拍も安定しており、顔色も悪くない。少しばかしやつれたようには見えるが。

 

 義仁は目を覚まし、少し話をした。

 

 

  勝手なことをしてごめんね。

  昔、遺書を書いたことがあったんだ。

 

 

 まだ、目が見えていないのだろうか。義仁は天井を見上げたまま話を続ける。

 

 

  あれは、私の恥というか、なんというか。

  読まないで捨てといてほしい。

 

 

 リリは義仁の名前を呼んだ。鼻声で震えて、小さいけれど、しっかりとその名を呼んだ。

 反応は、あった。

 

 

  リリちゃん。ごめんね。こんな格好で。

  久しぶりに会うんだから、もう少し元気な姿でいたかったなぁ。

 

 

 ははは。小さく笑う。リリはポケットから義仁に渡すつもりだったお守りを取り出した。義仁がこの世界に投げ出された際、なくしたと言っていた鞄。家族からのプレゼントで、とても大切なものだと言っていた鞄。本人は諦めていたその鞄をリリは探しだし、義仁に返すつもりでいた。

 しかし、鞄はかなり長い間水の中に放置されていたため色は落ち、持ち上げればボロボロに崩れ落ちた。形を保っていたのが不思議なほどだった。

 

 崩れ落ちた残骸。元の形に戻すことは出来ないとはいえどうにかできないものかと悩んだ結果が、現在リリの手にしているお守りである。小さなかけらを繋ぎ合わせたお守りをゆっくりと義仁の手に握らせる。

 

 

  これは……ああ、そうか。わざわざありがとう。

 

 

 震えながら伸ばされた手の平がリリの頭をぐしゃぐしゃと撫でる、ことはなく。すぐ隣を掠めた。リリは義仁の手を取り自ら頬を寄せ、頭を撫でさせた。

 ぐしゃぐしゃと、男性特有の雑な撫で方。わっしゃわっしゃとリリの頭を一通り撫でると、ゆっくりとその手からは力が抜けていく。

 

 

  疲れちゃった。ごめんね。

  すこし、ねてもいいかな。

 

 

 その時、気付いた。いや、見て見ぬふりをしていたものに目を向けなければならなくなった。肉体的損傷が癒えても、言葉を交わせていたとしても、

 

 彼の命はすでに此方には、ない。

 

 いっぱい頑張りましたもんね。お疲れさまでした。ゆっくりお休みになってください。

 おやすみなさい。義仁さん……。

 

 

  うん、おやすみ……──

 

 

 脈拍はなく、やがて冷たくなっていくだろうその体を抱きしめる。

 私は幸せ者だ。言葉を交わせた事はまさしく奇跡。本来であれば言葉を交わす事もなく息を引き取るのを見守って終わりだった。少なくとも周りで最期に会話できた者はいなかった。

 

 私は幸せ者だ。

 幸せ者、なんだ……。

 

 

 

 

 十六夜はその後蛟劉たちと合流し、〝アジ・ダカーハ〟と総力戦を開始。怒りに身を任せ、あまたの恩恵を駆使し勝利を収めた。

 三頭龍〝アジ・ダカーハ〟との総力戦の末に出た死傷者数は確認できているだけでも優に二百を超えていた。

 

 義仁の葬儀は〝ノーネーム〟の主要人物と年長組と義仁に縁のある者たちだけで執り行われた。義仁の約束通り部屋に隠されていた遺書と、お守りを共に義仁は永遠の眠りに付いた。

 

 

 ──

 

 

『あれ? ここは……』

 

 目の前には鉄製の扉。何故だか無性に懐かしく感じるその扉が何なのか、心当たりはすぐについた。

 

『そっか……。悪いことしちゃったな』

 

 少しの罪悪感と共に、にじみ出る喜びを隠しきれていない。

 鉄製の扉のドアノブに、プレゼントで貰った鞄から鍵を取り出し手慣れた様子で差し込む。ガチャリと何気ない音に胸が躍った。

 

 一つ深呼吸をして、ドアノブを回す。特有の重みがゆっくりと開き、その先には待ち望んでいた光景が広がっていた。

 で、あれば言うべきことは一つ。

 

 

 

 ただいま──

 

 

 




お読みいただきありがとうございます。

あくまでおっさんの物語なので、ここで終わりとなります。
原作通りか、はたまたまったく違う運命を辿るのか……それは分かりませんが、きっと、この世界線の原作キャラたちは悪い方向には進まないことでしょう。

多く感想及び、お気に入り登録等誠にありがとうございました。
次回は、息抜きで進めていた東方を本格的に進めていくつもりでいますので、宜しければ起こしいただければ。

さて、ここから先は作者の愚痴になりますので回れ右してお帰りください。胸糞になる方もいられると思いますので。







今回、問題児を原作として書かせていただいているのですが、感想ですね。いつ通りの物に加え、アドバイスも沢山頂きました。とても嬉しいことです。
ペストの事でかなり誤解していた部分もあったので本当に助かりました。
ただ、ひとつ言わせてくれ。

wikiの内容をコピーは辞めてくれ。
あれ見た瞬間(なら原作読めや)ってなってやる気が一気に失せたんですよね。
wikiをコピーしてくるなら、貴方の考えも一緒に乗せるとかさ……それ感想じゃなくて所謂原作厨の粗探しみたいなんもんだからなこっちからすれば。

読んでいて感じられた方も多いとは思いますが、まーじで途中から蛇足で書いてるんですよね。やる気が失せて。趣味で書いてはいますが、投稿している以上は感想を頂けるのは嬉しいですし、この方も良かれと思ったやったんだと思います。が、まあ、こう感じる人間も居るというのを理解していただければ。

これにて愚痴は終わりになります。
最後にこんなことを書いてしまった後にあれですが、多くの感想ありがとうございました。このwikiも含め良い思い出ではあるのかな(;・∀・)

それでは、また何処かでお会いしましょう。
バイバイ(ヾ(´・ω・`)

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