問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ? 作:ちゃるもん
思いの外進まなかった。
……決してセイレムをやってたからじゃないんです許して下さい何でもしますから。
では、どうぞ。
サラに連れられやってきたのは〝アンダーウッド〟の大樹。樹齢八千年の大樹は、
黒ウサギたちよりもひと足早く大樹へと到着した義仁たちは、サラに説明を軽く受けながら収穫祭本陣営の貴賓室へと向かっていた。
枝と枝の間に架けられた渡り橋で立ち止まったサラ。そして、不意に義仁たちへと語りかける。
「義仁殿、ジンこの景色をどう思う」
先程の無邪気な笑顔とは打って変わって、真面目な表情。3人の間に冷たい風が吹き抜ける。
ジンと義仁はサラから目を離し、外の景色をその瞳に写す。
先程とはさして変わらない。樹の根が網目模様に張り巡らされた地下都市と、清凉とした飛沫の舞う水舞台。どう思うと問われれば、美しい、綺麗、そんな月並みの言葉しか出てこないほどに、その景色は素晴らしい。
「そうか……それなら、ここまで頑張った甲斐が有ると言うものだ。さて、黒ウサギ達ももうそろそろ付いている頃だろう。急ぐとしようか」
そう言ってサラ再び歩き始めた。その足取りは軽やかだった。
まるで……写し絵を見ているみたいだな。
その表情はとても優しくて、暖かい。
※
黒ウサギたちは多少落ち着いたとは言え、いまだ興奮した状態で本陣入口の両脇にある受付で入場届けを出していた。
かつて北側の〝造物主達の決闘〟において、耀と激戦を繰り広げた〝ウィル・オ・ウィスプ〟のジャックとアーシャ。アーシャは怯えジャックのの陰に隠れ、ジャックはアーシャを守らんとその耳を大きな手で塞いでいたレベルにヤバかった。主に黒ウサギが。
さて、そんな〝ノーネーム〟と〝ウィル・オ・ウィスプ〟の受付も涙目になりながらも何とか作業を進めた樹霊の少年のおかげで、無事終わりを告げようとした。その時、彼等の後方から聞き慣れた声が聞こえてくる。
「あ、黒ウサギ」
なんとも拍子抜けした声を上げたのはジン。その呼び声にグリンと首が回り、軽く目が据わっている黒ウサギと目が合ったジン。ヒャイなんて可愛らしい悲鳴が出てきてしまうのも致し方ない。
黒ウサギはズカズカと大股で近付いてきて、ジンと義仁をサラから守るように割って入る。
その光景にワタワタと焦り出すジンだが、黒ウサギからしたら目の前の女ことサラはジンと義仁を冗談とは言え頂いてくなんて言い残し勝手に何処かに行った不審な、不審すぎる人物なのである。
この収穫祭本陣営にいる時点である程度は信用出来る相手なのかもしれない。が、それとこれとは話は別。
怪しいと言ったら怪しいのですウキャー!
流石のジンもこれには苦笑い。もうそろそろ止めなければならないだろうと、義仁が動いた。
「あー……。黒ウサギさん。この方はサラ=ドルトレイクさん。私の仕事相手で、〝ノーネーム〟を招待してくれた方だよ」
黒ウサギを宥めるように義仁が語りかける。黒ウサギは義仁の顔を見る。そして、サラの顔を見た。
そして、大きく息を吸い
「だったらなおのことタチが悪いじゃないですかぁ!!」
問題児筆頭逆廻十六夜が居なくても、黒ウサギは何処かで誰かに振り回されるのが世の理なのかもしれない。
いきなり耳を掴まれ全力疾走されたり、追いつけなかったら脱退するからなんて脅されるよりはまだマシだと思う黒ウサギの目は死んでいた。
※
『義仁殿。なに、簡単な事だ。この手を握り、私の元へと来てくれるのか。それとも、この手を振りほどくのか……。私個人としては、貴方には是非ともこの手を掴んでほしい。その……なんだ…………、一人の女としても……な』
そして、歯車は加速する。
お読み頂きありがとうございます。
さてと……メインヒロインが決まりました。ええ、あの方です。あの方ですとも。
さてと……落としにかからないと(使命感)
では、また次回〜