問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

これあれだ、スランプだ。今更ながに気付く。
なんか、先の展開が自分でもよく分からんくなっとる。

ま、要するに引き伸ばし会続行ですすいません。

では、どうぞ。


第55話 酒

「えっと……何か用かな十六夜くん?」

 

 半目のまま義仁が呟く。0時を回りめずらしく爆睡しているところを叩き起されたのだから仕方ないのだろう。

 

「少し話を聞きたくてな」

 

 悪びれもせずに端的に言葉を発する十六夜。胸の内では軽く後悔していた。

 

「話?」

「おう。アンタが背負ってるものがなんなのかが気になってな。飲むか?」

 

 十六夜はポケットから小さな水筒を2つ取り出した。義仁は水筒の口を開け軽く中を嗅ぐ。ツンとしたアルコールと桃に似た甘めの香りが一度に鼻を突き抜ける。どう考えても果実酒であるそれを十六夜はなんの躊躇いもなく煽る。

 

「結構度数は高いから、それなりに気は楽に話せるんじゃないかってな。話したくないならそれでいい。話してくれるのなら、笑わない。約束は守る男だぜ?」

 

 十六夜はかかかっと刻みよく笑ってみせる。

 

「約束……か」

 

 義仁は呟いた。笑っていた十六夜も真剣な表情になる。義仁は手の中の酒を弄び、どうしようかと悩んだ末ちぴりと口をつけた。

 

「十六夜くんは……多分知ってるのかな。一時期マスコミが家に蔓延ってたし、奇跡の生還とか言われたよ。トラックの居眠り運転と乗用車の飲酒運転に挟まれた車。奇跡の生還を遂げた父の心境……だっけ。あの時は疲弊しきってたから何かを感じることもなかったけど、いま思うと大概馬鹿げてる」

 

 もう一口と水筒へと口を付ける。

 

「確かにあったな。事が事なだけに覚えてる。確かあの後トラック会社がとち狂ってオッサンを訴えたんだっけか」

「ああ、そう言えばそんな事もあった気がするよ。なにも話さないまま終わったけどね」

「あの時は色々と社会が荒れたからな。加害者側が何故か被害者を訴えた。前代未聞だってよ」

「そんな荒れてたのかい? あの頃のことはよく覚えてないからなぁ。それよりも妻との約束がずっと引っかかってたからね」

 

 約束。それがオッサンにとって大切なものなのだろう。という事は思考を巡らせるまでもなく分かった。だが、感じていたモヤ……違和感は拭えない。これからが、この違和感を解消してくれるのだろう。そう願い十六夜は問い返す。

 

「約束? さっきも小さく呟いてたよな」

「……娘はその事故の際に私の目の前で頭が潰れた。妻は病院で静かに息を引き取ったよ」

 

 義仁は水筒を傾け中身を全て流し込む。元々量が少ないとは言え、十六夜は半分も飲んでいない。それだけ、心を許しきれていない……開ききれていない相手に話すのは気が持たないということだろう。

 

 だが、ここを、これを乗り越えなければ、きっとオッサンは進めない。きっと、進めているつもりになっているだけなのだ。まだ、立ち上がって、なんとか前を向けられただけなのだ。だからこそ、歩く為に、最初の1歩を進ませるしかない。

 

 当初の目的とは違ったものが見えてきているが、それはそれで僥倖。十六夜は話を聞き続ける。

 

 夜はまだ長い。

 




お読みいただきありがとうございます。

こんど軽く修正するかもです。
一応予定では、次まで十六夜で、次から原作の収穫祭の続きになるかと思います。

では、また次回〜
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