ムンク
これはまだ陣内鎮守府が創設されて間もない頃、艦娘の数も20人に満たない頃の話。室蘭より移動となった空母艦娘蒼龍の元に荷物が届く。
蒼龍「宅急便が届いてる。誰からかな?あ、手紙が入ってる。あっ、お母さんからだ。仕送りね。ありがたいな」
お母さんというのはすべての空母艦娘の母である鳳翔のことである。
蒼龍「蒼龍へ。お元気ですか?お身体は大丈夫ですか?」
鳳翔『私はそれだけが心配です。最近寒くなってきたので冬服送ります』
蒼龍「冬服ですか。ありがたいですね」
鳳翔『一つはとっくりのセーター』
蒼龍「いや『とっくりのセーター』って言ってる!『タートルネック』って言ってよ!」
鳳翔『もう一つはターザンチックのシャツ』
蒼龍「何これ?『ターザンチック』?ターザンチック……ターザンチック……これ多分『タータンチェック』と間違えてるわね!ボロボロじゃないお母さん!」
鳳翔『くれぐれも風邪をひかないようにね お母さんより』
蒼龍「本当に感謝しないと。最近冬服なかったからね。でもタートルネックでも何でもあるから」
とっくりのマークのセーター
蒼龍「本当にとっくりのセーターだコレ!?これどうするの!?最悪!え?タータンチェックは?」
ターザンみたいな服
蒼龍「これもほんとにターザンチックだ!!」
―数日後―
蒼龍「また来てる。ちゃんと頼みますよお母さん」
箱開封
蒼龍「あっ手紙が入ってる」
鳳翔『ディア お母さん』
蒼龍「間違ってる!間違ってるよ!「ディア 蒼龍」だから!無理して書かなくていいんですよ!?」
鳳翔『昨日美容院に行ってきました。今話題のカリメロ美容師です」
蒼龍「カリスマ!もう古いし。もうボロボロじゃないですかお母さんも」
鳳翔『ちょっと切られ過ぎちゃってもうチョバリベ』
蒼龍「チョベリバ!もう無理しないでよお母さん!というかチョベリバも死語ですよ!何コレ!?」
鳳翔『そのあとカラオケに行って夜8時までの2時間私も久しぶりにオールしました』
蒼龍「してないですよ!?オールの意味わかってないですよね!?」
鳳翔『O.S.』
蒼龍「P.S.!ボロボロですね!』
鳳翔『少ないですけどこれでおいしいものでも食べてください』
蒼龍「文章ボロボロですけれどうれしいなこれは。うちの鎮守府まだ予算とか少なくて給料も少ないし、やっぱりお母さんってありがたいね。おいしいものが食べれると考えるとさすがに気分が高揚します」
箸
蒼龍「箸ですか!?」
―数日後―
蒼龍「また来てる。頼みますよお母さんいいもの送ってきてください」
箱開封
蒼龍「手紙が」
鳳翔『ぶっちゃけ 蒼龍ちゃんへ』
蒼龍「何のこと!?使わないでください無理して!!意味がわからないよもう!」
鳳翔『ついに私も携帯電話を買いました』
蒼龍「お母さん買ったんだ」
鳳翔『蒼龍ちゃんにも番号を言っておきます』
蒼龍「ああ、これは控えておかないと」
鳳翔『N508Yです』
蒼龍「その番号!?機種で書かないでください!」
鳳翔『私昨日出撃したのですがタ級の砲撃が直撃して大破しちゃいました』
蒼龍「え!?大丈夫かなお母さん?」
鳳翔『(笑)』
蒼龍「笑えないよ!?今の笑えないですよ!?」
鳳翔『飛龍ちゃんと別々の鎮守府になっちゃってさみしいでしょうから今日は私が一生懸命考えた大爆笑ネタを送ります』
蒼龍「ハードルすっごい上げてる。大丈夫お母さんそんなに言って」
鳳翔『P.S. メールで送ったので見てください』
蒼龍「ん?メール?メールなんか来てないよ?ん?」
箱の中にスマホ
蒼龍「お母さんごめんなさいこんなこと言いたくないんだけど、バカじゃないの!?ダイレクトに送ってきてるじゃん!!送信してよ!全然使い方わかってないじゃんスマホの!!なんでメールでそのまま送ってくるの!?」
スマホのメールの欄を確認する蒼龍
蒼龍「あ入ってる」
鳳翔『はいどーもーお母さんでーす。こないだハイキングに行ってきました!もうおなか一杯になりましたよ!それハイキングじゃなくてバイキングじゃないですかぁ』
蒼龍「……」
しばらくの沈黙
蒼龍「全然面白くない!!」
―数日後―
蒼龍「ほんとに送ってくるなぁお母さんは。今度は何?手紙?」
鳳翔『ハロー。私はいまオーストラリアに来ています』
蒼龍「すごい!オーストラリアまで行ったんだお母さん」
鳳翔『オーストラリアはすごく良い所でコートを羽織ると暑い位です』
蒼龍「当たり前だよ。なんでコート持って行ったんですか?」
鳳翔『P.S. かわいいコアラの写真を撮ったので送ります』
蒼龍「よかった。オーストラリアって思い出になるだろうなぁ。かわいいコアラの写真部屋に飾ろうかな」
芸人のコアラの写真
蒼龍「このコアラ!?芸人の!?あれ?パスポート入ってる」
―数日後―
蒼龍「どんだけ送ってくるのお母さんは。全然真面なの送ってこない」
箱開封 手紙確認
鳳翔『ハロー。お母さんは訳ありで日本に帰れません』
蒼龍「そりゃそうだよ!その前にパスポート送ってきてるもん!そりゃ帰れないよ。どうするのお母さん」
鳳翔『今、大勢の東南アジアの方々に交じって小さな船に乗り込んでるところです』
蒼龍「いや密入しようとしてる!!お母さん!!密入国しようとしているよね!?ダメですよ!そんなことしちゃ!!」
鳳翔『P.S. 東南アジアの方にお土産をたくさんもらいました』
蒼龍『うん』
鳳翔『日本では一グラム5千円以上もするクスリだそうです』
蒼龍『何を言ってるのお母さん』
鳳翔『エスとかスピードとか呼ばれてるようですけど……』
蒼龍「どういう事?」
鳳翔『送りまーす』
蒼龍「あれ?お母さんの様子がおかしいな」
白い粉
蒼龍「お母さん!!最悪!!何考えてるんですか!?」
―数日後―
蒼龍「大丈夫かなお母さん」
箱開封 手紙確認
鳳翔『蒼龍ちゃんへ 私は今シマシマの服を着せられて番号で呼ばれています』
蒼龍「お母さん捕まってる!!捕まっちゃったんだとうとう!最悪だよもう!」
鳳翔『蒼龍ちゃんも一度きりの人生悔いのないように過ごしてください。がんばれ!私のかけがえのない娘 蒼龍ちゃん。私からの最後の仕送りです』
蒼龍「……お母さん……っ!」
蒼龍は泣いていた。今までの鳳翔との思い出が走馬灯のようによみがえる
鳳翔『私が一生懸命作ったお札です。なかなかいい出来だと思います』
蒼龍「え」
偽札
蒼龍「涙返せ!!」