FGOってデータが引き継げないときっとこんな感じ 作:ピリの唄
そんなスペシャルライブ
エリちゃんことエリザベート・バートリー
の声はとても澄んでいる。
見た目も可愛らしく、アイドルらしいと言っても過言ではない。
だが、問題はその歌詞と。
「♪恋はドラクル(朝は弱いの)♪」
問題点しかないような壊滅的なレベルの音痴であるということだ。
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スペシャルライブは続く。
エリちゃんが満足するまでは決して終わらない。
英霊であるエミヤに全力で投影された耳栓をつけていても、それでも微かに聴こえてくる歌は、ただの耳栓を投影した少年と耳栓すらつけなかった少女を、洞窟内で防御を選択したサーヴァントたちとマスター、防御態勢すらとらなかった教授を、ルーンすら無視して蹂躙する。
防御力無視だから仕方ないよね。
「楽しいわね、子ジカ!!」
既に色々と限界な立香。
エリちゃんに好きなだけ歌うように言った本人が耳栓をつけるわけにはいかない。耳を塞ぐことはできない。
そう、立香は無茶を承知で隣でダイレクトに聞いていた。
だが、とても嬉しそうに笑顔を見せるエリちゃんにどんな言葉を返せるであろうか!
「うん、そうだね」
たとえどんなに意識が朦朧としていてもこれは笑顔で返すしかないだろう?
「フフ、ならもう少し上げていくわよ!ついてきなさいよ子ジカ!!『竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)』!!」
その言葉でボリュームと破壊力の上がった歌に立ったまま意識が飛ぶ。
そこで立香は懐かしく、可愛らしい神様と再会の挨拶を・・・・・・
「あ、エレシュキ・・・・・・」
「まだこっちに来るのは早いわーー!?さっさと戻りなさい!!」
呼びかけを遮られ、無理矢理にもとの場所まで追い返された。
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「大部満足したわ!!」
立香が意識を取り戻すとエリちゃんがそう言っていた。
バランスを崩さなかったのか立ったまま目を覚ましたようだった。
「ねえ!子ジカ!今日は本当に嬉しかったわ、楽しかったわ!!」
「それは本当に良かった」
耳栓をつけていたはずの仲間たちも既に疲労困憊状態だった。
どのくらい歌っていたのだろうか。
そして洞窟の中にいるという味方側の人たちは大丈夫だろうか?
「本当に嬉しかったから最後の曲は特別よ?」
心臓を止めにきた。トドメを刺すつもりだった。
残念ながらエリちゃんにその意思はなかったが。
「子ジカのために歌う歌よ?心して聴きなさい!!」
「うん、ちゃんと聞くよ」
そしてその場に本当の歌姫が降臨した。
意識が戻ってからも身体を苦しめていた呪いすらも吹き消え、ここで歌っているエリちゃんがとても綺麗に見えた。
後にこのときの事をその場にいた全員に確認したが、残念ながらその事を知っていたのは立香だけだった。
周りにいたサーヴァントやマスターたちは疲労困憊で、耳栓の上から手で耳を塞いでいた。
その時に歌った歌は完全にシャットアウトされていたらしい。
洞窟内にいた人やサーヴァントたちは死にかけていた。
クラス相性の良かったセイバーですら消えかけていたのだ。
消えなかったアヴェンジャーをむしろ誉めるべきかもしれない。
そしてアヴェンジャーのマスターも倒れていた。
蘇生のルーンがなかったら確実に死んでいただろう。
歌を聞いている余裕などなかった。
そして教授は身体の半分ほどが薄れていた。
大聖杯のなかはセイバーたちが戦っていた場所よりも反響しやすい場所だった。
いくら魔神柱が頑丈だとしても反響する歌(始まった少し後にボリュームと破壊力アップ)をずっと聞き続けたらそうなる。
最初に立香の敵として出てきた時に漂っていた黒幕感は無く、悲壮感が漂っている。
なんというか白目を向いてい消えかけている教授など誰が敵だと思えるだろうか。
あわれ過ぎて手を差しのべたくなるほど可哀想な姿だった。
そろそろ連日がきつい。
マイペースなのにきついとはいったい?
思い浮かんだ事を書いているだけなのに