あと途中ふざけましたごめんなさい
突然だけど、スティールチャレンジって知ってる?
日本ではエアソフトガン、アメリカなどでは実銃を使用する、用意された的全てを撃ち抜く『スピード・シューティング』という競技で、中でも鉄製の的を射抜くのがスティールチャレンジって言うらしい。間違ってたらごめん
ここはラタノプロストという商業地区に位置する、ハウンドキャットの本拠地
なぜそこにいるのかって?簡単な話だ。私はアダラートの森を全焼させた重罪人である"半幻獣"アニスフレア・スタリアムを処刑した。その功績が認められ近い内に幹部に昇格するからだ
『近い内』と暈したのにも理由がある。グロウブーストを所有するエージェントが幹部に昇格する際、どうやら第二段階『セカンドゲート』に到達していなければならないらしい
え?……ああ、スティールチャレンジの話ね。ざっくり言えばグロウ・ブーストをこき使うことで、セカンドゲートに到達しようって試み。そのためにはターゲットが必要だけど、そんなに用意できないから鉄板五枚を使おうってことになった。そこで回転率がいいスティールチャレンジを模した特訓をしてるってわけ
今やってるのはラウンドアバウト。向かって右2枚を外側から、左2枚を内側から、最後に中心の的を狙う。中心の的を最後に狙うのはルールだからとしか言いようがない
「ねぇ阿修羅、最近カンナ変わったよね」
「そうか?」
「アニスを…アニスフレアを殺してから、鬼気迫る雰囲気を感じる」
「……咲口神菜、その本質は変わってねえよ。」
「外野2人、うっさい」
『誰が外野だ!?』
「あはは、ごめんごめん。まだ特訓するから適当にラタノプロストで買い物してて」
「な?何も変わってないだろ」
「……うん」
――――――
グロウ・ブーストを酷使してきた結果、分かったことがいくつかある。第一段階…ファーストバウトの時点で通常のものと弱めのものの二段階に切り替えが可能ということ。これはアダラートの森に行く時やってたね。
もう一つはグロウ・ブーストは血液のように体内を常に循環しているということ。それはつまり意識的に腕だけや脚だけに発現できる。すごい。局部発現の場合、威力が桁外れに上がることも分かった
……こういう風に1人でいるとき、アニスの顔が浮かぶのは何故だろう。私の中で彼女が大きくなりすぎたのかな
【ふふっ カンナ、聞こえる?】
え?
【たった2時間でもう鉄板がベコベコ…頑張ってたんだね】
まるで白銀リリィを演じてる時の上田麗奈さんのような綺麗な声の持ち主は、まさか!
【そのまさか。アニスよ。貴女の心に直接語りかけているわ】
そんなゲームみたいな……ってこれゲームだった。それにしてもどうやって?アニスは死んだはずじゃ…
【"操炎"に残った私の面影……かな? まぁ貴女に伝えたいことを伝えたら私は消えると思うわ】
ずっと一緒にいれるわけがないのは分かってたよ
それでも、やっぱり悲しい
【……聞いて、カンナ。セカンドゲートに到達するには強い気持ちが必要よ。それ以外の条件は満たしてる】
今更どんな気持ちを持てというの?アニスを殺した時、このゲームに対する感情が怒りと虚しさ、あとは罪悪感くらいしか残ってないというのに
【ふふ、それなら尚のこと。貴女はキャサリンを倒す以外にも目的があるって教えてくれたでしょう?それを強く念じればいいわ】
なんだ、そんなことでよかったのか
【やっと、笑ったね。ずっと難しい顔してたわよ?】
そうかもね
【さよなら、カンナ。幹部昇格おめでとう】
さよなら、アニス。ありがとね。それと、誕生日おめでとうございました
殴りすぎてボウルみたいになった鉄板を裏返しにしてセットし直す。5メートルほど距離を取り、椎那のことを強く念じる。
待ってて、椎那。お姉ちゃんが救けてあげるから
「グロウ・ブースト……セカンドゲート!」
刹那。視界がホワイトアウトした。
交通事故でありがちなほんの一瞬の出来事なのに、スローモーションで動く感じの中、その白い世界で私はアニスにハグされた
数回瞬きし、体が軽いのに気付くけどそれはグロウ・ブーストの影響だと思った。ファーストバウトでも似た感じになるからね。だけどいつもより目線が高かったりと。セカンドゲート、漸く到達だ
「行くよ、アニス」
地面を蹴ったと思ったら的が目の前に。これならとスティールチャレンジのラウンドアバウトのルールで的を殴る。うん、ファーストバウトの数倍以上の力が出せてるのが実感できる
「ただいまカンナ、さっきの爆発音何?ってアニス!?」
「は?何言ってんの阿修羅ってホントにアニスじゃん!」
「いや私カンナだけど。咲口神菜。セカンドゲート到達したんだよ」
「え、マジ?おめっとさん!」
「ホントおめでとうカンナ!あ、ほらほら、鏡みて!アニスそっくりなの!」
施設の姿見に映る私はアニスそっくりだった。違いはと言えば髪をポニーテールにしていること、目がアニスより猫目がちなこと、そして黒スーツ。身長やボディラインも少し違うかな。服もそれに合わせてサイズ変更が成されている
「セカンドゲート到達、おめでとうございます」
嫌味な声。私は覚えてるぞ、エデン・トラゲオル。というかどこから来たてめえ
「カンナ、貴女を正式にハウンドキャット幹部として認定します。認定式の会場へ案内します。同行者のお二人もどうぞ」
――――――
認定式は小さな会議室で行われるらしい。私達カンナ班とエデンの他に、猫のぬいぐるみが置いてある
「これよりエージェント、カンナの幹部認定式を執り行います」
エデンが司会なのか
「まず、カンナには『通り名』を決めてもらいます。少なくとも幹部の間ではそれで呼び合うことになります。……ああ、私は『アルターエゴ』ですよ」
半幻獣、森の精霊……アニスにはその通り名があった。まぁ前者は種族名だし後者は自称だから、ハウンドキャットのそれとは違うか
私がそれを付けるとしたら、何が相応しいだろう。ゲーム内の世間的には『アニス殺し』『"半幻獣"殺し』なんかがいいのかも知れないけど、私はその力を受け継いでるからなぁ
あ、そうだ
「私の通り名は、『ヘスティア』にします」
「ねぇ阿修羅、ヘスティアって知ってる?」
「ギリシャ神話の『炉の女神』だったはず。ゲームとかじゃ炎の神様って扱いが多いな」
「ヘスティア、ですか。由来を教えてもらえますか」
「――私はアニスフレア・スタリアムが持つ"操炎"を受け継ぎました。彼女の罪を背負い、この力を使い民を守ることでアニスが果たせなかった贖罪を代行しようと決意したからです」
こう言っとけば納得するでしょ。私がこう口述した手前、罰するに罰せない……と思う
アニスの力を受け継いだことは阿修羅……俊一達には伝えてなかったな、そういや
何故セカンドゲートの姿がアニスに似ているのかってところには納得してもらえたはず。唖然としてるけど。
おっと、私の口上はまだ終わってないぜ。止めの一発だ
「私達カンナ班とアニスは、仲間だったから。私からは以上です」
流石に少しヤな顔された。でもまぁ昇格自体はめでたい事だから水に流して頂戴な
その後認定式が終わったところで自動セーブ。そのタイミングで一度ハウンドキャットを終わるとちょうど18時だった
「ねー俊一、今日そっちで食べていい?」
「あ、それなら奥知も呼んで大鍋カレーにしようぜ」
「いいねいいね。じゃ俊一のママと美麻に電話するね」
「さんきゅ。台所使うぞ」
「ご自由にどーぞー」
ゲームの中の私は順調に凄い人生を歩んでるけど、現実の私は妹が行方不明ってことを除けば至って普通のどこにでもいる女子高校生だ。ハウンドキャットをやってない会長たちと連携して椎那を探さなきゃね
To be continued...
エデンは前回だけのゲストキャラと言ったばかりなのに…… スマンありゃ嘘だった(CV:ジョルノ・ジョバァーナ)