Angel Beats!~ちょ、俺まだ死んでないんだけどオオオオオオオオ!!~   作:日暮れ

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 ちなみに銀さんの標準装備は坂田銀八スタイルに洞爺湖木刀をつけたものです。




第四訓

★―ギルド連絡通路 B9―

 

 ったくよ……今度は一体何が仕掛けられてやがるんだ? もう何回死にかけたと思ってんだよ。

 

ゆり「――!?」

 

日向「!? どうした?」

 

 おいおいまさか……!?

 

ゆり「何か……っ!!」

 

一同「うワァァァァァァァァ!!」

 

 遂にっ……床が落ちやがった!!

 

大山「あぁしまった忘れてたよぉ! ここはぁぁぁぁぁぁ……」

 

「おいお前はボケのために命かけるのか! それでいいのかお前の人生大山ァァァァァァ!!」

 

 ちなみに状況を整理すると上から、あさはかなり→新八→銀さん→日向→仲村の順でぶらさがっている状態。重ってーなチクショ!

 

「っ! おいあさはかなりぃ!! 手ェはなすんじゃねぇぞ!」

 

日向「この人数無理があるだろ! 俺とゆりっぺも落ちるか!?」

 

ゆり「ちょっと! 勝手に決めないでよ!」

 

椎名「ここで一気に戦力を失うのは得策ではない!」

 

「ちっ! 仲村! 早く登れ!」

 

日向「いけるかゆりっぺ……っ!?」

 

ゆり「それしかないでしょ……んっ!!」

 

「つっ……おい上は気にすんな全力で登れ!!」

 

ゆり「…………」

 

「早くしろこちとらキツイんだよ!!」

 

ゆり「あなたの服白衣だから掴みにくいのよ!」

 

「どこでもいいだろうがさっさと掴め!」

 

ゆり「わかってる――フンっ!! ……」

 

 仲村が俺の腰のところでまた止まった。

 

「おいいい加減にしろよ今度は何だ!?」

 

ゆり「あの……私男の人に抱きつくのとか初めてで」

 

「んなんどーでもいいわ!! さっさと登れや落とすぞテメェ!!」

 

ゆり「う、うん……!」

 

 仲村の顔が俺の顔の前に止まる。息がかかる。

 

ゆり「何であなたこっち向いてんのよ……!」

 

「知るか! もういいからさっさと登って下さいお願いしますゥ!」

 

ゆり「え、えぇ……。うわっ――!!」

 

 ――仲村の腰が俺の頭のところに来たところで異変は起こった。 

 

 え? 何突然あたりが暗くなった……って何だこのやわらかいの。

 

ゆり「あ……っ! ちょっ……動かないで……んっ」

 

 仲村がなんてゆうか……えっちな声で叫ぶ。

 

 は? え? 何じゃコレって……

 

 その空間はすぐに開けて仲村の無駄にたくましい雄叫びが聞こえてきた。

 

ゆり「よしゃ登りきったァァァァァァァァァァァ!! おかーさーん!! 私もうお嫁にいけないよォォォォォォ……」

 

 あー……何かごめん、仲村。

 

日向「……先生ぇ、もう、無理だ」

 

「!? おい!? 大丈夫か日向……って何で前のめりなの?」

 

日向「へっへへ……目の前であんなことされちゃぁな……もう、耐えられない……っ!」

 

 ……日向。

 

日向「なぁ先生……最後に一つ頼みだ。アンタのこと……『銀さん』って……呼んでいいか?」

 

「……あぁ」

 

日向「ふっ……ありがとう……銀さん……!!」

 

 そのまま日向は自分で手を放していった――

 

 日向――

 

 

 

ゆり「えっ、えと!! ひ、日向くん……は?」

 

 なんで急によそよそしくなる。

 

「あぁ……日向はな――――(放送禁止用語)――――(禁則事項です)して――――(あなたは十八歳以上ですか?)なったからって自分から落ちていった」

 

ゆり「~~~~~~~っっ!」

 

 ん? 何本気で顔赤くしてんのただの上品な下ネタだよ!?

 

ゆり「あっ……あなたは、平気なのね……?」

 

「あん? 俺をあんなチェリーと一緒にするな」

 

ゆり「…………」

 

 おい無言で蹴るな俺が何したってんだ。

 

ゆり「……遂に四人になっちゃったわね」

 

 うわ見てわかるくらい膨れてらっしゃるよ。

 

藤巻「へっ! よくもまぁ、新入りのてめぇが生き残ってるもんだな……!」

 

「あ、何だいたんだ新八」

 

藤巻「いたわ! そんで新八って誰だ!」

 

 ゴホン、と一つ咳払いをして、

 

藤巻「次はてめぇの番だぜ……」

 

 おいおい学習しようぜお前そういうこと言うと……

 

★―ギルド連絡通路 B13―

 

「……ほーら言わんこっちゃない」

 

藤巻「」

 

ゆり「水攻めね……あら藤巻くんカナヅチだったの」

 

 そんな軽くていいんだいつものことだけど。

 

椎名「――プハッ……出口はこっちだ、来い!」

 

「お前何でもできんのな流石忍者」

 

椎名「やめろ、照れる」

 

ゆり「…………」

 

 水の中を進み隠し通路らしき道を進む。……

 

★―ギルド連絡通路 B15―

 

 こりゃぁ……鍾乳洞、か?

 

 学校の地下にこんなもんまでってこいつらのこの無駄な行動力何なの?

 

ゆり「……プハっ!」

 

 お、仲村あがってきたか。

 

「ほらよ」

 

 仲村に手を伸ばす。

 

ゆり「ありがと……うわぁ! 見ないでよ!!」

 

「見るか!!」

 

 水からあがってきた仲村の服はもう別の物語じゃね? ってくらいに透けていた。

 

ゆり「だって! だってぇ……!!」

 

「おい落ち着けキャラ見失ってる」

 

 これまでにないほどに取り乱してみせる。やっぱこいつも女子高生なのな。いろんな意味で。

 

「ほれ、コレ使え。濡れてるけど隠すくらいはできんだろ」

 

 俺は着てた白衣を仲村に渡す。うわさっみ!

 

ゆり「あ……ありがと、う」

 

 なんでそんなに歯切れ悪いんだなんでそんなに顔赤いんだよ。

 

椎名「ゆり、こっちだ!」

 

ゆり「椎名さん?」 

 

 少し離れたところで椎名が俺たちを呼ぶ。もう出口見つけたのか、アイツマジ弱点ねぇ最強だな。

 

ゆり「じ、じゃあ、行きましょう」

 

 どんだけテンパってんだよもう落ち着けよ流石に。

 

椎名「――!!」

 

 !! 椎名が何かを感じ取った!? まさか、またトラップか!?

 

 一体何が――

 

ヌイグルミ「ドンブラコッコードンブラコ」

 

 ……は? 何アレ?

 

ゆり「あれは……!!」

 

 何だよただのヌイグルミじゃ

 

椎名「アァァァァアァァァァァァァァァァァ!!!! 子犬が流されているるるるるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 ぇ!? 椎名さん!?

  

ゆり「椎名さんダメぇ!」

 

椎名「とう!」

 

 とうっておま椎名そこ滝ィィィィィィィィィィ!!

 

椎名「ぁぁぁぁぁぁ!! ……!?」

 

 どうした! 今度は何なんだ!?

 

ヌイグルミ「ツカマッター」

 

椎名「不覚! ヌイグルミだったァァァァァァァ…………」

 

「今更そこかよ見抜け一目で!」

 

 折角少し見直してまともな名前呼んでたのにしまいにゃコレかよ!? ホントどうなってんのこの戦線!

 

ゆり「くっ! 椎名さんまでもトラップの犠牲に……!」

 

「あれ天使用トラップだったの!? あんなんすぐ見抜けよバカか!」

 

ゆり「カワイイものに対する誤認が、彼女の弱点よ……」

 

 あ、もう俺は理解した。この世界にまともなヤツはいないんだ。

 

ゆり「…………っ」

 

 突然脚を動かし始める仲村。……?

 

★―ギルド連絡通路 B17― 

 

「残ったのは俺らだけか……」

 

ゆり「ふぇっ!? あ、あなたまさか私にいかがわしいことするってんじゃないわよね!?」

 

「するかバカ、落ち着け」

 

ゆり「ぁ…………そうね、ごめんなさい。冷静じゃなかったわ」

 

 そう言うと仲村は壁に拳を叩きつける。

 

ゆり「本当の軍隊なら、みんな死んで全滅じゃない。酷いリーダーね……」

 

「……いやいや俺らは『死なない』って最高のステータスを持った兵士だ。これを有効活用して何が悪い?」

 

ゆり「……………………」

 

「……はぁ」

 

 俺はその場で座り、腕を枕にして眠り始める。

 

ゆり「……? 何してるの?」

 

「少し休むぞ。トラップにかかって天使の足止めも出来てるだろうし別に時間がないわけじゃないんだ。てゆうかいい加減眠たい」

 

 仲村はそんな俺を見て少し微笑む。

 

ゆり「ふふっ……そうね、服も乾かしたいし」

 

 

「……よぉ」

 

ゆり「何?」

 

「なんでお前があんな奴らのリーダーやってんの? あんな奴ら、俺だったらまとめきれずにみんな八つ裂きだぞ」

 

ゆり「あなたならそうでもないとおもうけど。そうね……初めに歯向かったから、それだけの理由よ」

 

「天使に?」

 

ゆり「えぇ」

 

 ……………………

 

ゆり「兄弟がいたのよ」

 

「……?」

 

ゆり「私がまだ生きてた頃の話よ」

 

「この世界に来る前の……か」

 

ゆり「そう」

 

 

「私を含めて四人兄妹よ。私が長女で、下に妹が二人、弟が一人いたわ」

 

「両親の仕事がうまくいってたこともあって、すごく裕福な家庭だった。自然にかこまれた、まるで別荘のような家で暮らしてた」

 

「夏休みだったわ。両親が留守の午後、見知らぬ男たちが家にいたの。真夏なのに暑そうな目だし棒をかぶってね。……一目で悪いことをしに来たんだ、って分かったわ」

 

「私は長女として、絶対にこの子達を守らなくちゃ、って思った」

 

「……でも、敵いっこないじゃない。ね?」

 

「連中は、もちろん金目の物狙いよ。でも、奴らは見つけ出せなかったの。むやみに窓ガラスやテレビを壊したりして、苛立ちを見せ始めた」

 

「……そして、連中は私たち兄妹にとって、最悪のアイデアを思いついたのよ」

 

《オネエチャン? アンタハ長女ダ。家ノ大事ナモノノ在リ処グライ教エラレテイルダロウ?》

 

《地震ガ来タラソレヲモッテ逃ゲナサイダトガ、強盗サンガヤッテキタラソレヲ差シ出シテオ帰リネガイナサイトカサァ、聞カサレタ覚エアルダロウ?》

 

『し、知らない……そんなもの、知らない』

 

《サァ、ソレヲ探シテオイデ。僕ラガ気ニ入ラナカッタラコノ子タチトハ悲シイコトダケド一人ヅツオ別レニナッテシマウヨ?》

 

《一人ニツキ十分。十分ゴトニ一つ持ッテオイデ》

 

「私は必死に、家の中を探し始めた。頭がひどく痛かった。吐き気がした。倒れそうだった」

 

「あの子達の命がかかってるんだ。探し出さなきゃならないんだ! けど、あいつらが気に入る価値のあるものなんてわからない。」

 

『はっ!? 時間が!?』

 

『急がないと、急がないと! この一番大っきな壷を持っていこう』

 

『――う、重い……! これだけ重いなら、きっとすごい価値があるに違いない……!』

 

『きっ……く、う、あぁ!!』

 

 ――ガシャァァァァァァァァンン――

 

『……!? えっ、あっ! 直さないと! 早く……痛っ!』

 

 

 

『は……あ、あぁ――』

 

 

ゆり「――警察が来たのは三十分後。生きていたのは、私、一人だった……」

 

「…………」

 

ゆり「別にミジンコになったって構いはしないわ」

 

ゆり「私は、本当に神がいるのなら、立ち向かいたいだけよ。だって、理不尽すぎるじゃない」

 

ゆり「悪いことなんて何もしていないのに。……あの日までは、立派なおねえちゃんでいられた自信もあったのに……」

 

ゆり「守りたい全てを三十分で奪われた。そんな理不尽ってないじゃない……そんな人生なんて、許せないじゃない……っ!」

 

「……お前は、悔しいのか?」

 

ゆり「……? 悔しいに、決まってるじゃない……!! あんなことさえなければ、私は」

 

「――バカ言ってんじゃねーよ」

 

ゆり「!?」

 

「お前は、こんな事件が起きた事に悔しがってるんじゃねぇ……兄妹を助けられなかった自分を悔やんでるんだろう?」

 

「そのくせそれを認めようとしないで、『神』なんているかもわからねぇヤツのせいにして、こんなカラッポの戦線まで作ってよ……」

 

ゆり「……っでも、あの状況から救われる未来なんて」

 

「もし、お前が金目の物の場所を知っていたのなら。もし、お前が自分たちを人質に身代金を取ることを野郎どもに提案していたなら。もし、初めて野郎どもを見たときにすぐに逃げようとしていたなら。」

 

ゆり「そんなの……助からないかも!」

 

「そうだな。……でも助かったかもしれない」

 

ゆり「――!!」

 

「また家族そろって、笑って泣いて、いろんなことをして生きていけたかもしれない」

 

「本当は気付いてるんだろう?」

 

「『もし今の自分があの場にいたら』。一度は考えたことあるだろう? これでも人間観察は得意なほうだ」

 

「お前はそんな後悔に潰されそうになってる。そんな自分が――許せねぇんだ」

 

ゆり「――っ、何よ。あなたに、何がわかるのよ」

 

「何もわからねぇよ」

 

ゆり「じゃあ! 私のことを知った風な口で喋らないでよ!」

 

「……お前は、全部一人で背負いすぎだ」

 

「自分の過去、後悔。あいつらのこと。その他などなど……お前はそれに潰されそうになってる」

 

「あいつらの前では気丈に振舞っても……まだ男に抱きついて顔赤くするくらいのただのガキだ」

 

「あいつらは……お前が自分たちのせいで潰れるトコなんざ見たくねぇだろうよ」

 

ゆり「じゃあ、他にどうしろって」

 

「背負ってもらえよ、あいつらに」

 

ゆり「…………」

 

「あいつらはお前にいろんなもの背負ってもらってるんだ。あいつらだってお前のいろんなもの背負いたいだろうよ」

 

ゆり「でも、でも! 私はリーダーだし、」

 

「ちっ……じゃあ」

 

 

「――俺が背負ってやるよ」

 

 

ゆり「え……?」

 

「実はだな? 一応俺は『死んだ世界戦線』ってゆう部活の顧問ってことになってる。先生にくらい悩み打ち明けろ」

 

ゆり「……っ」

 

「お前があいつらに背負われる勇気が出るまで……俺がお前を背負ってやる」

 

「お前がハラ抱えて笑ってる時は、それ以上バカでかい声で笑ってやる。」

 

「お前が醜いツラで泣き喚いてる時は、それ以上きたねぇツラで泣いてやる。」

 

「あいつらに背負われる勇気が出るまで――俺が傍でお前を護ってやる」

 

ゆり「……な、に? それ。プロ、ポーズ?」

 

 目の前のかよわい少女は――仲村は、目に涙を溜めてそう言った。

 

「バカ言え。お前にプロポーズなんかするかよ」

 

ゆり「…………」

 

「だけど、」

 

ゆり「……?」

 

「泣く場所くらいは作ってやらぁ、そう言ってんだ」

 

ゆり「――うぇ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! うェェェェェェェェん!!」

 

 仲村は、今まで抱えてたものを全て降ろしたかのように、ただただ、泣き続けた。

 

 

ゆり「……あなた、さっきのアレかなり恥ずかしかったわよ?」

 

「それ聞いてワンワン泣いてたやつが何を言うか」

 

ゆり「あ、あれは! ……ってあ、着いたわ。アレがギルドの入り口よ」

 

「……おいおい、上で見たのと同じだな。好きだねぇーこういうの」

 

 床につけられた地下への入り口を開けて、そこから降りようとする。

 

ゆり「ちょ、ちょっと待ちなさい! 今度は私から降りる!」

 

「なんでだよめんどくさい」

 

ゆり「あなたならスカートの中見かねないもの」

 

「……もうそれでいいよ。さっさと先行け」

 

 俺らはバカ長いはしごを降りる……

 

 ……! これが……ギルド……!!

 

★―ギルド最深部―

 

「おいおいすげーな。こんなのが地下にあったのかよ」

 

 

「!? ゆりっぺだ!」

 

「来た! 無事だったんだ!」

 

 こいつらがココで武器を……って多すぎじゃね!? 

 

「あのワナの中たどり着きやがったかゆりっぺ! 流石だな!」

 

ゆり「そのことなんだけど……トラップ解除しないほうがいいって提案したの誰?」

 

「え? あぁ俺だけど?」

 

ゆり「フンッッッッ!!」

 

「グボェアアア!!」

 

ゆり「アンタのせいでなぁ……! 私はなぁ……!!」

 

 何やってんだあいつは。

 

「おい、そんなことより天使は?」

 

「お、アンタが噂の新人かい?」

 

「さっきまで進行は止まってたが、また動き出したようだ……。……!」

 

 !? これは……?

 

「天使がトラップにかかった音……」

 

「おいおい近いな随分と……」

 

「ゆりっぺ……」

 

ゆり「――ここは破棄するわ」

 

「!? そんな! 正気かゆりっぺ!」

 

「そうだぜ! 武器が作れなくなってもいいのかよ!?」

 

ゆり「大切なのは場所や道具じゃない……記憶よ。あなたたちそれを忘れたの?」

 

「いや……」

 

「おいおいまた中二設定か仲村? 聞かせてくれよ」

 

ゆり「この世界では命あるものは生まれない……けど、形だけのものなら生み出せる。それを合成する仕組みと、方法さえ知ってれば本来何も必要ないのよ。土くれからだって作り出せるわ」

 

「だが、いつからか効率優先となり、こんな工場でレプリカばかり作る仕事に慣れきってしまった。」

 

「チャ、チャーさん……」

 

 え何コイツも高校生!? 俺より老けてない!?

 

ゆり「本来私たちは、形だけのものに記憶で命を吹き込んできたハズなのにね」

 

チャー「なら、オールドギルドへ向かおう。長く捨て置いた場所だ。あそこには何もないが……ただ、土くれだけなら山ほどある。あそこからなら地上へも戻れる」

 

「ここは……?」

 

チャー「爆破だ。天使はオールドギルドへは渡らせん。あそこは俺たちが帰れる、唯一の場所だ」

 

「し、しかし……。!?」

 

 また……天使がトラップにかかった音……

 

「すぐ上だぞ……!?」

 

チャー「持っていくものは記憶と、職人としてのプライド。それだけだ。違うか? おまえら!?」

 

一同「……はい!!」

 

チャー「よし、爆薬を仕掛けるぞ。チームワークをみせろ!!」

 

一同「はい!」

 

 えー何コイツ俺よか先生やってない?

 

 ………………俺も先生しないとな。

 

ゆり「……? どこいくの?」

 

「あ? トイレだトイレ。大のほうな」

 

ゆり「なっ……早くしなさいよね!」

 

「へいへい……」

 

 

「……よぉ、また会ったな」

 

立華「……ここは何?」

 

「てめーみてーなちっこいガキにゃちっとばかし早いところさ」

 

ゆり「よい……しょっと。ふぅ……」

 

「んあ? お前男のトイレについてくるなんて厚かましいねぇ」

 

ゆり「うるさいわね。あなたこそ一体どこに行こうってのよ。ここにトイレなんかないわよ」

 

「うるせぇ、トイレの標識が見当たらなかっただけだよ」

 

立華「…………よくわからないけど、トイレなら向こうよ。さっき借りさせてもらったわ」

 

 ……………………

 

「……おい、ホントに天使って極悪なの? むっちゃ親切なんですけど。親切すぎて逆に痛いんですけど!!」 

 

ゆり「わ、私に聞かれても知らないわよ!」

 

立華「?」

 

「……ごほん。あのだな立華。またアレだ、ここは通さねぇぜ! みたいな感じだ」

 

ゆり「っそうそう、そんな感じよ! とりあえず私たちと戦いなさい!」

 

 なんだコレ……こんなん立華も相手にしてくれ

 

立華「……わかったわ」

 

 ですよねーこの世界にいるんだもんねこの子もね普通なわけないよね畜生!!

 

立華「――Guard skill:Hand sonic」

 

「はぁ……おい仲村俺が攻める。援護に回れ」

 

ゆり「了解。お手並み拝見ね。適当やったらあなたから打ち抜くからね」

 

「おっけ――……いくぜぃ!!」

 

 

 ……すごい、話しに聞いていた以上……!

 

天使「……っ」

 

銀時「らぁ!」

 

 天使のあんな苦しい顔、始めて見た……

 

 っと! 援護射撃!

 

「……ふっ!」

 

 私は天使に向けて三発発砲する。

 

天使「っ! ……!!」

 

 当たった! 二発は弾かれたけど本格的な戦闘モードの天使に銃弾が当たるなんて……

 

 見るとあの先生……銀時は、私が当てやすいように常に天使が私に背を向けるような形で攻めている。ここまで計算してるっての……?

 

天使「――Guard skill:Delay]

 

 ……!? スピードが上がった!?

 

銀時「うわっと! ちょこまか動くな!!」

 

 ヤバ……少し押されてる!? 何か……

 

「二人ともどけェ!!」

 

 後ろを見ると、でっかい大砲を構えたギルドの連中が立っていた。

 

「あんたたち、やればできるじゃない! そんなの簡単には作れないわよ!? ホラアンタもこっち!」

 

 私は被害が及ばない安全地帯に避難する。

 

銀時「あぁ!? ちょっと待てすばしっこくて振り切れねぇ!!」

 

「行くぜぇぇ!! 総員退避!!」

 

銀時「え、ちょっま」

 

「てっ!!」

 

銀時「てめぇらぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ……!? 何!? この爆風!?

 

ゆり「やったの!?」

 

「大大破……」

 

「ちっ……やっぱ記憶にないものは適当には作れねグバア!!」

 

「適当に作るな!!」

 

銀時「おまえら……コレ終わったら血祭りな」

 

「ホラ先生だってあんな醜いパーマになっちゃってる! まるで実験失敗後の博士よ!?」

 

銀時「いやコレ元からァァァァァァァァ!!」

 

チャー「おいてめーらコレを使え!!」

 

「何コレ……手榴弾!?」

 

「っしゃいくぞ!!」

 

「オラオラオラァァァァァァァ!!」

 

 みんなが一斉に大量の手榴弾を天使に投げる。

 

天使「――Guard skill:Distortion」

 

 今更ディストーションで弾いても無駄よ!! おっ死ね!!

 

天使「……!!!!」

 

 手榴弾が爆発した。ダメージはなくてもそろそろ……

 

「全員退避完了!!」

 

チャー「よし! ギルドを爆破する! いいな?」

 

「やって」

 

チャー「爆破!!」

 

 私の目の前でギルドが破壊されていく。これで天使も少しは

 

銀時「わりぃ、忘れもんしちまった。ちょっと取ってくるわ」

 

「はぁ!? あなた何言ってるの!? ここは今まさに火の海で……ちょっと! ちょ――」

 

★―オールドギルド―

 

チャー「何年ぶりだろうな。本当に何もありゃしない。ははっ! 笑えらぁ……ひでぇねぐらだよ全く」

 

 ……………………

 

チャー「うし! うじうじしてても仕方ねぇとっとと始めるぞお前らぁ!」

 

一同「うぉぉぉおぉぉぉぉ!!」

 

「…………」

 

チャー「……あの兄ちゃんのことか?」

 

「!? 何で!」

 

チャー「見てりゃわかるさ。ありゃいい男だ……男にモテる男、って言った方がいいか。……惚れたか?」

 

「だ、誰があんな万年死んだ魚な目のヤツなんか!!」

 

 そんなことない。そんなことない!!

 

 私は通信機を片手にメンバーに呼びかける。

 

『バカども、お目覚め? ギルドは破棄、天使ごと爆破したわ。総員に告ぐ。至急、オールドギルドへ! 武器の補充はそこで急ピッチで行われている。天使が復活する前に総員、オールドギルドへ! 繰り返す。急げ、バカども!』

 

 そうだ、私は戦わなくちゃいけないんだ。

 

 もう、あいつらを背負ってしまったから……

 

 だけど、もし少しだけ疲れたり、くじけそうなときがあったなら、その時は――

 

 

 ――私の荷物、ちゃんと背負ってよね、先生。

 

 




色々ごめんなさい。

これって大丈夫ですかね?

通報とかされませんかね?
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