Angel Beats!~ちょ、俺まだ死んでないんだけどオオオオオオオオ!!~   作:日暮れ

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EPISODE.6が終わって一か月ちょい……

待たせてしまって申し訳ありません。

第十六訓です。


EPISODE.7 Alive
第十六訓


 

★―対天使用作戦本部―

 

「……毎度毎度いい加減にしろよ……テメェ今度は一体何をしでかしやがった?」

 

 俺はいつも出入りしている対天使用作戦本部……まぁ要するに校長室なんだけど。そこの惨状を見返し、唯一すまし顔で本を読んでいた直井文人に青筋を立てながら尋ねる。

 

「日向は輪ゴムに向かって膝をついて号泣しているしピンク頭(ユイ)はそんな日向に見たこともない技をかけようとしているしTKと松下は永遠ムーンウォークに興じちまってるし高松は百円ショップで売ってるような☆メガネを取り出しては拭いているし椎名は『あさはかなり』という字をノートに書き取っているし大山はよだれを垂らしながら犬のおもちゃと戯れているし野田に至っては何かニヤけてハァハァ言いながらハルバートをいじくっているし今何が起こってるんだこの部屋でてか文字数多いわ読者の方が読みにくいだろ少しは自重しろテメェ!!!」

 

直井「あ! 銀時さんおはようございます!! コイツらが僕の読書を邪魔したんです!! これは正当防衛です! 僕は無実ですよ!!」

 

「例え無実でも正当防衛でここまでやらかしたらもはや無実とは言えねぇよ!! ……テメー毎回毎回催眠術を腹いせに使いやがっ……? 何読んでんだお前」

 

 ふと、俺は直井が読んでいる本にカバーがついてる事に気付く。

 

 こいつが他人に見られたらまずいような物を読むとは思えねぇが……

 

直井「! ……いいですよ。銀時さんも、興味を持ってくれるんですね?」

 

 何か意味深な物言いだが……

 

 俺は直井からその本を受け取り、ブックカバーを外す。そこに書かれていたのは……

 

『絶対に傷つかない男と男の愛

 

「オイぃぃいいィィィィいぃいぃいぃぃいぃ!!!! てっめ何てもんをここに持ち込んでんだ!!!!! んでコレ読むの邪魔されたから催眠術ってお前どんだけ興味津々!? 部屋で読め一人で読め誰の迷惑も掛からないところでひっそりと読めェェェエェエェェェェエェェ!!!!!!」

 

直井「……銀時さんがこれに興味を持ってくれるなんて……いいですよ、こうなったらこの僕を、煮るなり焼くなりモニョモニョするなり好きに滅茶苦茶にしてください!!!」

 

「ねぇ何勘違いしてんの!? モニョモニョって何俺にそんな趣味無いですから!!! 一人で勝手に滅茶苦茶になってろ!!!」

 

 俺が直井も肩を掴んで揺らし、若干直井がきもちいいような表情をし始めたところで仲村が入口から顔をのぞかせ声をかけてきた。

 

仲村「直井くん、銀さん。お取り込み中のトコ悪いんだけど、ちょっといいかしら?」

 

★―教員棟3階 空き部屋―

 

 仲村が俺たちを連れてきたのは、狭く、わずかに埃が舞う、しばらく使われていない空き教室だった。真ん中に机がある以外は他の部屋に比べて何の変化もない殺風景な。

 

「今度は何だよ、こんな狭い部屋に呼び出しやがって。言っとくが校長室のアレのことなら俺ぁ何もしてねーぞ。全部コイツだ」

 

仲村「そんなことじゃないわよ。直井くん、銀さんの失われた記憶を取り戻して見せて」

 

 仲村は窓に向かい、こっちを見ないままでそう言った。

 

 ……俺の、記憶?

 

直井「僕に命令だと……さっきから貴様何様のつもりだと言いたいところだがこれは合法的に銀時さんに催眠術がかけられる!! よくやった愚民これで僕と銀時さんのムフフふぎゃっ!? 何するんですか銀時さん! 突然頭を叩くなんて!!」

 

「オイ……仲村ホントに大丈夫かこいつ」

 

仲村「そうね、ちょっと心配だけど……それでも、」

 

 そこまで言い、仲村はこっちを振り向く。

 

仲村「直井くんの催眠術は本物よ。それはかかった本人である私がよく知ってる……あなたの失われた記憶も取り戻せるはず!」

 

直井「ふぅむなるほど。確かに、それは僕の手で何とかしてみたい。銀時さんのためになるならば、今回は久しぶりに真面目に行くとしましょう」

 

「お前自覚あったのか……ってか待て。何回も言ったろ、俺は記憶喪失なんて起こしてねぇよ」

 

 俺は仲村に訴える。

 

 俺は記憶喪失なんて起こしてない。

 

 あいつら……新八、神楽、定春。その他もろもろ……

 

 やかましかったが退屈しなかった、俺の日常は――まだここに

 

仲村「……あなた、まだ自分が死んでないなんて思ってるの?」

 

 ………………

 

仲村「ここはまぎれもない死後の世界よ? ここに来る方法はただ一つ――死ぬこと。」

 

仲村「それとも何? 私たちがあなたが見てる夢の中の登場人物だとでも言いたいの? あなたの適当な記憶から作られた架空の人物だとでも?」

 

仲村「だとしたらお生憎様(おあいにくさま)ね。私は実在しているわ。そこにいる直井くんだって天使だって、戦線のメンバーだってNPCですら実在しているの」

 

仲村「それらすべてを認めないつもり? 私たちを今まで助けてくれたあなたが、私たちを否定してしまうつもりなの?」

 

「……んなわけあるかよ」

 

仲村「だったら認めなさい。あなたは死んだの。死んで、私たちと同じようにこの世界に来た。あなたのやっていることは私たちに対する明らかな冒涜(ぼうとく)よ?」

 

 ………………

 

「悪かった」

 

 仲村の言うとおり、なのかもしれない。

 

 俺は、突然この世界に来た。だからまた、何かギャグ漫画の補正的なのが働いてすぐに帰れるのではないのかと思っていた。

 

 けど違った。俺は死んじまったんだ。

 

 もう会えねぇんだ。新八にも。神楽にも定春にも。

 

 ババァにも長谷川さんにもキャサリンにもたまにもヅラにもお妙にも、その他の連中にも……

 

「…………」

 

直井「……銀時さん」

 

仲村「………………」

 

「……オイお前ら、もう昼だろ? ハラへらねぇか、奢ってやるから何か食ってこいよ」

 

仲村「……そうね、そうさせてもらうわ」

 

直井「じ、じゃあ銀時さんも一緒に」

 

仲村「あんたは私と来るの! こんな美少女と食事なんて嬉しいでしょ?」

 

直井「なっ! 放せ! 貴様、僕は神だぞ!? 何て無礼な! オイ!!」

 

 

 仲村は暴れる直井を外に放り出してから、俺にこう言った。

 

仲村「……前に言ったわよね? あなたが私を背負ってくれるって」

 

仲村「でもね、私借りを作るのが一番嫌いなの! ……だから」

 

仲村「あなたが笑ってる時は、私も一緒に笑ってあげるわよ」

 

仲村「あなたが泣きたい時は、私も一緒に泣いてあげるわよ」

 

仲村「こんな私だけど、重くて倒れそうになるかもしれないけど」

 

仲村「その時は、猫の手でも戦線のみんなの手でも何でも借りて、」

 

仲村「あなたを背負って……あげるわよ」

 

 それじゃあね。そう言って、仲村は足早に出て行った。

 

 顔を見られないように後ろを向いて、声を震わせないように力強くそう言って――出て行った。

 

「……泣き顔で言われても説得力ねぇっつの。馬鹿女が」

 

 

 俺はもう元の世界には戻れない。

 

 俺がずっと糸を張った江戸の、かぶき町の、よろず屋には。

 

 ……そりゃあ、少しテンションは下がるわな。

 

 だけど……こんな世界だが、こんな……どんな糸さえ届かない世界だが、

 

 支えてくれる奴らがいる。

 

 頼んでもねぇのに人の荷物奪い取って勝手に持って行ってくれる奴らがいる。

 

「……新八、神楽、定春」

 

 ――俺ァあいつら見捨ててこの世界出ていけなくなるほどこの世界に馴染んでたみたいだぜ?

 

 俺は、お前らとあいつらを気付かないうちに重ねてたのかもしれねぇな……

 

「……上等だよ」

 

「一体俺が何で死んだのか――俺が何でこんな世界に来ちまったのか、知りに行こうじゃねぇか」

 

 次回に続く――




はい、第十六訓でした。
どうでしたでしょうか?

ここあたりからオリジナルなエピソードを入れていこうと思っています。

次回は早めに更新できると思うので楽しみにしててください。
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