僕なら死ぬと思いますよ、あはは。
あ、今回の話とは全く関係ないですよ?
〜花音side~
四時間目が終わりチャイムが鳴る。
生徒達はそれを合図に教室を出たり机をくっつけて弁当箱を広げ始めた。
「それじゃあ屋上、行きましょうか」
「うん千聖ちゃん」
私はというと親友の千聖ちゃんと屋上へ向かう。
「あ……そういえば千聖ちゃん」
「どうしたの?」
廊下を二人で歩きながら話す。
「今日はもう一人呼んでるんだけど、いいかな?」
「あら奇遇ね。私ももう一人呼んでるのよ」
手で口を隠しながら少し笑って千聖ちゃんは言う。
誰を呼んだんだろう、と思いながら私達は屋上に向かった。
屋上に着いた私達。
そこには既に一人お弁当を持って私を待っている子が居た。
「こんにちは美咲ちゃん」
近くによって挨拶をすると美咲ちゃんも返してくれる。
「こんにちは花音さん。……もう一人って千聖さんだったんだね」
後ろから歩いてくる千聖ちゃんを見て言う。
その千聖ちゃんは周りを見て美咲ちゃんに話し掛けた。
「もう一人は来てないのね?」
「もう一人?」
何のことだろうかという表情をしている。私も誰が来るのかは知らないのだが……。
と、考えていると屋上のドアが開いてピンク髪の子が屋上に入ってくる。その子は真っ先に千聖ちゃんちゃんへと駆け寄った。
「ご、ごめんね~! 千聖ちゃん待った?」
「いいえ私も今来たばかりよ」
「そっか~!」
えへへ、と笑う。
あの人は確か、Pastel*Paletteの……。
「じゃあご飯――の前に花音は彩ちゃんと話した事は無かったわよね?」
「う、うん。丸山さんとは顔を合わせたくらいで……」
「それなら二人に軽く紹介してあげて」
そう言い話を丸山さんに振る。
「うん、分かったよ。知ってのとおりPastel*Paletteのボーカルをしてる丸山彩です。……ってこんな感じかな?」
「ええ。たまに変な事をするかもしれないけどそこはスルーしてあげてね」
「ええ~! 千聖ちゃん、酷いよ〜!」
いつもの千聖ちゃん。他の人と喋るのをあまり見た事がないから新鮮に感じる。
「大丈夫ですよ千聖さん、ウチのバンドには変な人が多いですから……」
「あはは……美咲ちゃん……」
とてもしんどそうに美咲ちゃんは言う。
でもハロハピのメンバーはあれでもまとまりがあるから凄い。
……
「私変な人じゃないからね!?」
「でも日菜ちゃんにたまに言われ――」
「ちさとちゃぁん……」
少し涙目になっている。
「ち、千聖ちゃんそれくらいに……。丸山さんも変じゃないって知ってるからさ、ね?」
「ごめんなさいね彩ちゃん」
「うう……ありがと花音ちゃん。それと彩でいいよ……」
お礼を言われた。
何故かどことなく似てる気がするのは気のせいなのだろう。
「い、いえいえ。それよりご飯にしよ」
それぞれが弁当箱を広げ始める。
なんというか今回は珍しいメンバーだ。私と千聖ちゃん、美咲ちゃんで食べる事はたまにあるけど、そこにもう一人加わるのは初めてだろう。
普段話さない事を四人で話しながらもご飯を食べていた。
「へぇ~、ハロハピのメンバーってやっぱり個性的な人が多いよね」
「そうかな?」
「ほら、こころちゃんとか」
「あの子はいつも笑顔よね。見てて飽きないわ」
「あたしはまとめるのに苦労してますよ……」
「でも楽しいよね」
「まぁ、楽しくないなんて言ったら嘘になりますけど」
何だかんだ言っても美咲ちゃんはいつもバンドメンバーの事を考えてくれる。それはミッシェルとしている時が一番現れている。
そうだ! と彩ちゃんが話を切り出す。
「二人は彼氏とかいるの?」
彼氏。その単語を聞いた瞬間幼馴染みの顔が浮かぶ。
そんな中、先に美咲ちゃんが答えた。
「あたしはいないですね。そもそも男性とは関わる機会がありませんし」
「花音ちゃんは? 可愛いからいそうだけど……」
「ふぇぇっ!? わ、私はいないよ!」
つい慌ててしまう。
けどそこに彩ちゃんは追い討ちをかける。
「うーん、じゃあ気になってる人は?」
「気になって――、……い、いるよ」
一度は飲み込もうとした言葉を出す。
「ほんと!? 誰!?」
年相応の女の子らしく恋の話には食いついてくる彩ちゃん。
私はたまに千聖ちゃんと話すくらいだからそこまでは慣れていない。
「幼馴染みの人だよ。私の片思いだけど……」
「う~ん! ムズムズするね〜! そうだ! 千聖ちゃんは――」
「いないわ」
「千聖さん早いですね……」
即答。その二文字が相応しいやり取りだ。
「知ってるのに聞く理由がないじゃない。それはそうと花音、あなたに話があったんだったわ」
「話?」
~千聖side~
彩ちゃんが恋愛について話してくれていたおかげで昨日の事を思い出した。
私はまだ日曜日の事を花音に言ってなかったのだ。
「今度の日曜日なのだけれど……」
「うん、楽しみにしてるね♪」
「ああ……えっと、その……」
よほど楽しみなのだろう。目を輝かせているのが分かる。
そこに彩ちゃんが花音に聞こえないように私の耳元で喋る。
「千聖ちゃん日曜日って……」
「仕事がある事を言ってなかったのよ。今から言うわ」
一旦咳をして落ち着きながら花音に仕事の事を言う。
「えっとね花音、そのとても言いづらいのだけれど日曜日に急に仕事が入って水族館に行けなくなったの」
「え……」
一気に光が消え少し涙目になる。
そんな親友の顔が見たくなく私は奏の事を慌てて伝える。
「で、でも安心して! 私は行けないけど代わりに奏が来てくれるらしいわよ」
自分でも驚くくらいに私は花音の涙目に弱い。文字通り心が痛むのだ。
「ふぇ? ほんと……?」
「ええ」
「えへへ……♪」
奏の名前を聞いたら顔を緩ませて微笑む。
「あぁ、だから日曜日が楽しみって言ってたんだね」
「うん。千聖ちゃんと行けないのは残念だけどね。行くなら三人がよかったなぁ〜」
美咲ちゃんと二人で話している。
「でもチャンスよ花音」
「チャンス? 何の?」
言葉の意味を分かってないようだ。花音は首を傾げる。
花音が奏を意識してるのは知っている。けど花音は自分からは行かずに待っている。
奥手なのは知ってるがそれだとどっちも進歩が無いままになってしまう。
「何のって、それは告白しかないじゃない」
「こっ――!?」
驚きとともに顔を赤くする。
その話の中に彩ちゃんと美咲ちゃんが入ってきた。
「告白するの!? 応援してるね!」
「もう二人共付き合ってもおかしくないですよ」
彩ちゃんは興奮していて、美咲ちゃんは私と同じ事を思っていたようだ。
「ま、まだ無理だよ……」
「何言ってるのよ花音。奏はあなたの事を意識してるわよ。先に動いたらもう片方も変わるわ」
どちらも幼馴染みというのが強くてあまり踏み出せないのだろう。
でも二人は両思いと言っても嘘にはならないと思う。
「そ、そうかな?」
その瞳には期待があった。
もしも変われるならという、一歩踏み出せるならという。
「じ、じゃあ頑張ってみるね……!」
グッと両手をする花音を見ていると「ああ、やっぱり」なんて思う。
「応援してるわ花音」
「頑張ってね花音ちゃん!」
「応援はしますけど、無理だけはしないでくださいね」
それぞれが声を掛ける。
「うん、ありがとうねみんな」
花音は笑顔でそれを返す。
たまにはこんな時間もいいわね。
らしくない事を思いながら昼を過ごした。
さぁ、あやかのんを流行らせようか――。
はい小鴉です。
待ち望んだ人が多いだろうパスパレイベですね。僕は千聖かイヴちゃんがくれば満足ですよ。
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それでは読んでもらいありがとです!