俺と君を繋ぐ音   作:小鴉丸

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日間ランキングに入り、お気に入り80件と驚いてます。

下手な文章ですが読んでもらいとても感謝の気持ちでいっぱいです!


第六話 草薙家にて

〜奏side〜

 

 

「えー。前にも言ったけど新しくバンドのメンバーになりました草薙奏です、よろしくおねが――」

 

「もう! 挨拶はいいのよ! それより早く食べましょう!」

 

「そうだね! はぐみ、お腹ペコペコだよ~」

 

「(自由かよ)」

 

呆れた表情で俺が焼いたクッキーを食べ始める二人を見て思う。

 

「ちょっと、草薙さんが話してるんだから少しは……」

 

「ふふっ、いつも元気なのはいい事じゃないか」

 

「元気すぎるのもどうかと思うけど……」

 

あの出来事の後、元気になったこころを見て安心したみんな。

俺は迷惑をかけたから罪滅ぼしに休みの日にお菓子をご馳走する事にした。のだが……。

 

「奏は前にみんなに紹介したからいいじゃない、そんな事よりも食べましょ!」

 

「食べよう食べよう! いっただきま〜す!」

 

「ああっ! はぐみずるいわよ!」

 

お構い無しに食べ始める。

俺は諦めてみんなにお菓子を振る舞う。

 

「あぁもう……、口に合うかは分からんが食べてってくれ」

 

その言葉で他の三人が手をつけ始めた。そのタイミングで未来がホットケーキを持ってきた。

 

「ほんと賑やかだね〜」

 

「だな」

 

未来には賑やかなバンドと言っていた、正直これだけで説明は十分すぎるだろう。

 

「あなたは……えっと、未来だったわね? 一緒に食べましょうよ!」

 

「えっ、でも……」

 

チラッと俺を見る。

 

「別にいいぞ。お茶は俺がしとくから」

 

言ってキッチンへ向かう。するとなぜか花音がキッチンに来た。

 

「手伝うよ、奏くんは注いだのを持っていってくれる?」

 

「おう助かる」

 

自然とこんな感じになる、幼馴染みだからだろうか。

言われたように花音が注いだお茶を机に持っていく。そして注ぎ終わり俺らも席についた。

 

そしてみんなを見る。

 

「美味しいわね! クッキーも未来が作ったの?」

 

「クッキーはお兄ちゃんだよ。こういうの作るのが得意なんだ」

 

「かなくん先輩凄い! 家にも作ってくれないかな~」

 

「確かにこれは美味しいね」

 

「焼きたてだから尚更ね」

 

全員から高評価のようだ。

俺はホットケーキを一口食べた。

 

「奏くん」

 

「ん?」

 

「はい、あーん」

 

花音がクッキーを一つ俺に差し出してくる。昔に(今もだが)よくしていた事だが……。

その手にあるクッキーを自分の手で取ろうとして一旦止まる。

 

「ここでか?」

 

「? そうだよ?」

 

「まぁお前がいいならいいけどさ」

 

俺は口を開ける、その中にクッキーが入る。

シャリシャリと音をたてて食べる。うん、美味しい。

 

「お前もクッキーだけじゃなくてホットケーキも食べろよ、未来の腕上がってるぞ」

 

「そうなの? じゃあ私も食べようかな」

 

花音がホットケーキを取ろうとして俺がさっきとは逆の事をする。

 

「ほら」

 

フォークで一切れ刺して花音に突き出す。

 

「ありがと奏くん」

 

俺にお礼を言ってフォークを咥えホットケーキを食べる。

 

「うん! 美味しいね!」

 

「だろ?」

 

「えへへ……お兄ちゃん程ではないけどね」

 

そんな俺らのやり取りを見てハロハピのメンバーは呆然とする。

 

「「「「…………」」」」

 

「ん、どうしたのみんな?」

 

「花音さん、意外と大胆ですね……」

 

「珍しい花音を見れたよ。積極的なのも可愛いね」

 

美咲と薫が指摘する。それを聞いた花音は顔を赤くする。

 

「あっ! こ、これは……その、いつもの感じで――」

 

やはり本人は気づいていなかったのだろう。こういう所を少しは意識してくれると助かるのだが……。

 

「へぇ〜! かのちゃん先輩ってかなくん先輩といる時ってこんな感じなんだ〜」

 

「むぅ〜〜」

 

それを見ていたこころはなぜか頬を膨らませていた。

 

「奏!」

 

こころを見ると花音の様にクッキーを差し出していた。

 

「自分で食べれるぞ?」

 

「いいから口を開けなさい!」

 

「(……断る理由も無いからいいけどさ)」

 

言われた通りに口を開ける。

 

「(うん、美味い)ほら、こころも食べろよ」

 

俺のフォークで一切れホットケーキをこころに差し出す。

 

「え――? い、いやあたしは別に……」

 

フォークを見ながら戸惑っている。

俺はその理由が分からずに続ける。

 

「ほら、口を開けろ。お前も食え」

 

「あ、あたしはいいわ……、自分で――」

 

「何でだ? 俺もやったんだからお前もやれよ」

 

グイと突き出す。

なぜ俺が食べてこいつが食べないのかが分からん。

 

「うう……分かったわ」

 

諦めたように口を開ける。そこにフォークを入れる。

 

「どうだ、美味いだろ?」

 

「……うん、美味しいわ」

 

そう言うこころは顔が少し赤かった。

熱か? と心配する。俺の向かい側に座っているから、俺は椅子から立ち手を伸ばす。

 

「どうした熱か?」

 

心配になり額に手を置く。

 

「〜〜〜〜っ!」

 

「ふむ。熱じゃないみたいだな」

 

「なっ何でもないわよ!」

 

体を押し戻される。

椅子に座った俺に、未来がこんな事を言ってきた。

 

「お兄ちゃんわざと?」

 

「は? 何がだよ」

 

「うーん、分からないならいいんだけど……」

 

その言葉の後に隣の花音からの視線が気になったが、きっと気のせいだろう。

 

 

 

「そういえばどんな活動をしているんだ?」

 

食べ終えた後にこのバンドの活動について質問する。そこを把握しておかないと手伝いなんて出来ないからだ。

 

「こころの気が向いたら色んな場所でライブをする、といった感じです」

 

答えてくれたのは美咲だ。

 

「え? じゃあ予定みたいなものは……」

 

「ありませんね」

 

苦笑いをする。

 

「なんか……予想はしてたけどさ」

 

「ごめんね、奏くん」

 

花音が謝る。

 

「お前は悪くねぇだろ。でもなぁ、となると俺に何が出来るか……」

 

あらかじめみんなには俺は裏のサポートと言っている。ライブの準備や楽器の調節とそんな事をしようと思っていたのだが……。

裏方の仕事は謎の黒服の人達がほぼやってくれてるんだよなぁ。

 

「あたしは同じ夢を掲げる仲間がいる。それだけでも十分よ?」

 

こころがそんな事を言う。

 

「そうだね」

 

その言葉に薫が納得をしている。

 

「ここにいる人間はみんな同じ目標を持っているさ、何も無いよりもそれはいい事だと思うよ」

 

「うん?」

 

あれ? なんか、あれ?

 

「はぐみもね! 同じチームでみんな同じ目標を持ってるだけで、みんなのためになってると思うの!」

 

「あ〜草薙さん?」

 

美咲が冷静に話しかけてくる。

 

「色々あったと思いますけど、あまりこの三バカとまともな話をしない方がいいですよ。話が分からなくなりますので」

 

……なんだろう、とても説得力があるように感じるのは。

 

「じゃあ俺は居るだけでもいいのか?」

 

「まぁ多分そういう事だと」

 

いや何かはするけどさ。

微妙な顔をしているであろう俺の服を花音が少し引っ張る。

 

「どうした花音?」

 

横を見ると花音は笑顔だった。

 

「えへへっ、これからもよろしくね。奏くん」

 

俺はそんな彼女を見ると自然と笑みがこぼれた。

 

「あぁ、これからもよろしくな花音」




感想にて分かりやすいアドバイスをくれた方、ありがとうございます。
自分でも反省している点がありますので、こんな自分の作品ですがこれからもよろしくお願いします!

……感想にてやはりこころがヒロイン感がするw と言われました。(おそらく今回も思われるかと)
大丈夫です、花音がヒロインなので。

それでは今回も読んでもらいありがとです!

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