緋弾のアリアAA\CODE=E   作:メイカー

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よく考えたらナイトって言わないです…


ビギンズナイト/2

 

 

 

 

鳴海武装探偵事務所

 

東京の福生に、こんな看板がある家がある。

 

家自体はそこそこな大きさだが主人のセンスが光り、とてもゆったりとしていながらもビシッと極まった内装となっている。

 

 

そしてその主人…鳴海荘吉郎(なるみ そうきちろう)は今日も今日とて“武装探偵”としての仕事をこなした後の珈琲を一人楽しんでいた。

ちなみにこの珈琲の豆は荘吉郎の友人が自家栽培したもので、それを貰い、挽いたのがこの珈琲だ。

 

 

もう40を過ぎる自分だけの、ゆったりゆっくりとした時間。

こうやって仕事後の時間を費やすのはもう荘吉郎自身の趣味であり楽しみであり、なにより次の仕事への思考に切り替えるという作業でもある

 

この後の仕事は最近追っているとある“(ブツ)”の回収。

 

ブツ、と聞くとマイナス方面の物…例えば遺体など、その辺りの物を思い浮かべてしまうだろうが違う。

 

荘吉郎が探しているのはある危険物だ、遺体でも麻薬でもない。

 

だが、実際麻薬以上の危険がある物。

 

 

 

ーー昔あったミュージアムは今や壊滅、だとすると…財団Xか?アレを個人で作成するには無理がある。新しく組織が出来たにしても作成には莫大な費用と敷地が必要だ、そんな金と敷地何処から出てくる?

…ふむ……、やはり財団Xか。

彼奴ら以外に考えられないな。

となると戦闘は避けられん。相手がマスカレイドである事を祈ろう。

 

 

思考にふけりながら珈琲を一口、二口とゆっくり飲んでいく。

 

 

 

「…よし。」

 

 

やがて珈琲を飲み終えた荘吉郎はカップを流しに置き、出かける準備をする。

 

春と言ってもまだ肌寒い、何時ものスーツにマフラーを羽織り、愛用の帽子を被る。

この帽子は鳴海荘吉郎が武装探偵の職に就いた時に妻が『私の代わりに』とくれた今や荘吉郎の半身とも言える帽子だ。

今では使い込みすぎて唾に弾痕や切り傷等があってボロボロだが修理は万全、今までも、そしてこれからもこの帽子は荘吉郎が武偵を辞めない限り壊れないだろう。荘吉郎の“相棒”であり続けるだろう。

 

 

机にあったバイクのキーを取り、資料などが入ったバッグを肩に掛ける。

 

 

「さて…行くか。」

 

 

この街を守る為、邪悪を砕く為。弱き者を助ける為。

荘吉郎は出かけていった。

 

 

 

 

 

 

 

武装探偵……

 

犯罪が増加してきた近代世界に新しくつくられた役職。

 

通称、武偵。

 

その仕事は人探しから犯罪組織への潜入操作まで行う所謂“なんでも屋”だ。

 

武偵は“武装を許可された探偵”、“武力による介入、解決を許可された探偵”という意味である。

 

 

そして、鳴海荘吉郎もまた武偵の一人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は変われど、探偵の職に就く者の行動はあまり変わらない。

 

聞き込みである。

 

武偵…主に探偵方面の武偵は、まず聞き込みから始める。

 

 

人に聞いていくわけなので当然ガセネタや間違いなども稀にあるが、荘吉郎はそれらを聞き分け、まとめるのが上手い。

何年もこの職に就いているのだから。長年の勘と言うやつだろう。

 

 

 

「すまない、この辺りで15㎝くらいのアルファベットが描いてあったりするUSBメモリを見なかったか?」

 

 

ブツの写真を見せながら、荘吉郎は街の人々に聞き込みをしていく。

 

だが、収穫は無かった。

人々は皆『見ていないなぁ』『うーん…ごめんなさい』等と返し、去って行く。

 

 

 

そんな事を何時間か続けている内に陽が暮れてしまった。

 

 

 

「…む、もうこんな時間か。結局何も手掛かりはないままか…。」

 

 

 

ーー今日はやめにしよう。明日には情報屋にでも行くか。

 

 

 

良い時があれば悪い時だってある、悪い時が続く時はスッパリとやめてしまう方がいい。

無理に追うのは無駄だ、それどころかマイナスに向いてしまうこともある。

 

 

荘吉郎は停めておいたバイクに跨り、アクセルを吹かすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽が完全に落ちた夜、よろよろと弱々しい足取りで壁伝いに歩く影が人気のない路地裏にあった。

 

 

月の光が僅かにその姿を照らす。

 

背中まで伸びた白狼の毛の様な銀髪…だが今は埃やらで汚れてしまっている。

 

簡素な黒い服。

 

身体付きは細く…翠の瞳。

 

 

例の少年だ。

 

その腕にはしっかりと、黒いケースが抱かれている。

 

しかしいかんせん、少年は2日もろくな物を食べていない。

今にも崩れ落ちそうだ。

 

 

「………」

 

 

 

少年はとある“ブツ”を使用してワープし、逃走に成功した。

しかし追手は振り切れたものの、それからが問題だった。

 

 

飛んできた所が“目的の場所”まで遠過ぎる。“ドクター”が教えてくれた場所まで行くのには“ブツ”は使えない。

“一回も行った事がない”為、“ブツ”はまともに機能してくれない。

 

次に食料。

あるのは今抱きかかえている黒いケースのみ、金などない。

 

そして人。

“人”に黒いケースの中身を見せる訳にはいかない。自分自身が見られる訳にはいかない。

極力人が少ない道のみを通らなければならない

 

 

 

「……ハァ…ハァ……」

 

 

身体を引きずるかのように、最早根性のみで目的地へ少年を目指す。

 

 

ドクターに教えられた目的地…

 

 

 

東京武装探偵高校へと。

 

 

 

 

 

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