もしも鉄血世界のヒットマンがサトラレだったら 作:マッキンリー颪
アーブラウ代表、蒔苗東護ノ介への暗殺。
これの成功、失敗に関わらずこれを火種としてアーブラウとSAUの武力衝突へと発展させ、その戦いを長引かせることで「事件の早期解決の失敗」という汚名を着せマクギリスへの嫌がらせと成す。
それがガラン・モッサの狙いである。
作戦成功への一歩とし、アーブラウ代表、蒔苗東護ノ介の爆殺を依頼されたヒットマン。
とはいえ、その作戦内容は単純にして明快。
彼は現在アーブラウ防衛軍の作戦参謀に就任し、さらにアーブラウ軍事顧問を任されている鉄華団地球支部に勤めているラディーチェ・リロトとも内通し、いくらでも警備の隙を付けることを利用し、自分の手の者を使い花瓶の中に爆弾を仕掛け、ターゲットを暗殺してしまえばいいじゃない、というものなのだから。
はっきり言って、この作戦は失敗のしようがない。
なにしろ警備体制、その他の全てを暗殺者側が把握、支配しているのだから。
だが失敗した。
なぜか?
それはその計画を請け負ったヒットマンが……サトラレだったからである!
サトラレとは自分の思考が思念波として周囲にダダ漏れになり、考えていることが周りの人達にまるわかりになってしまう存在である。
そんなサトラレヒットマン、彼は上司であるガラン・モッサからの命令を受け意気揚々と爆弾入りの花瓶を控え室に置きに行ったのだが。
(ふっ、さすがは俺らの大将、ガラン・モッサだ。大将にかかれば相手が誰でも暗殺なんて容易いものよ……この爆殺をSAUからの攻撃と断定して揉め事を起こして大将の絶妙な指揮で勝ちも負けもせずにダラダラと他人に血を流させて戦争を長引かせる。それによってマクギリス・ファリドへの信頼を失墜させる……か。こんな仕事をするってことは大将の雇い主は……おっと、俺みたいなしがないヒットマンが大将の雇い主が誰かだとかの邪推をするもんじゃないな。しかし鉄華団のガキどもも哀れなもんだぜ。あのラディーチェとかいう奴が裏切ってるとか思いもしてねえんだろうな。これからはあいつらを徹底的に使い潰して全滅させるくらいこき使うってんだから大将も人が悪い。ま、宇宙ネズミどもの命なんて俺ら人間様から見たらゴミ以下の価値しかないし、時間稼ぎの娯楽に使ってもらえるだけでも感謝しろってもんだがな!)
と、こういう思考がダダ漏れなのだ。
爆弾入り花瓶を持ちながら、アーブラウの職員や防衛軍の人間がいる廊下を歩いていたらどうなるか?
拘束された。
爆弾入りの花瓶も取り押さえられた。
「ラディーチェさんが裏切っていたなんて……」
「さらにガラン・モッサ、か……優秀な傭兵という事で雇い入れたんだったか。とんだ疫病神であったのう」
ヒットマンの拘束後、簡単な尋問(サトラレなので質問するだけで情報が手に入る)の結果、鉄華団地球支部の代表チャド・チャダーンやアーブラウ代表蒔苗は味方の裏切りに表情を曇らせるが、犠牲者を出さずに犯人の取り押さえに成功し、さらに今のタイミングならラディーチェやガランをも先んじて拘束できるというチャンスを逃すわけにも行かない。
すぐさま行動し、見事に捕まえてみせるのであった。
「くそっ、ヒットマンとして起用した部下がサトラレだったとはな……一生の不覚」
しかし最後の瞬間、ガラン・モッサは自爆スイッチを使い自分のMSのコクピットを爆破させ「自分の雇い主」へとつながる証拠の隠滅に成功するのであった。
ついでに自分の身も。
「奥歯に自爆スイッチを入れてる奴なんてはじめて見たのう」
これには流石の蒔苗東護ノ介もビックリである。