もしも鉄血世界のヒットマンがサトラレだったら 作:マッキンリー颪
ジャスレイ・ドノミコルスの行動は単純であった。
彼はテイワズの古参であり組織の実質的なナンバー2……なのだが、近年に短期間で組織で昇格し自分に近い地位にまで上り詰めた名瀬のタービンズ、さらにその名瀬の弟分であるオルガ率いる鉄華団という取るに足らない存在までもが信じられない速度でテイワズ直参の組織にまで昇格した事に対し不快感、そして本人は認めないだろうが焦りを感じていたのだ。
だから、他人の足を引っ張り、蹴落とす。
そういう行動に出ることに躊躇いはなかった。
しかし足を引っ張る、蹴落とすなどという言葉は組織が大きくなれば行動も大きくなる。
名瀬のタービンズに対しては、違法武器所持という名目をイオク・クジャンに与え「合法的」に排除することに成功した。
あとは多少鉄華団を煽ればそっちも釣れ、再びイオク・クジャンへ助っ人の依頼を出しすり潰すことに成功するだろう。
そう思っていたのだが、名瀬の排除、そして葬式での侮辱行為と繰り返したというのに思いのほか自制心が強いのか……いや、単純に臆病なのだろう、鉄華団は挑発に乗ってこなかった。
ジャスレイはそう思い、ならばとさらなる一手を打つ。
名瀬は死にタービンズは実質解散となったが、その団員の身元はテイワズ代表であるマクマードが引き受け、タービンズの担っていた輸送業を引き続きそのメンバーで行えるように保護している。
その中でも鉄華団と交流の深い人間を殺す。
一人でダメなら二人でも三人でも。
それでも動かないというのなら次々にタービンズの生き残りを殺していきその死体を晒していく。
いくら鉄華団の連中が臆病であろうともそこまでされれば流石に動くであろう、というのがジャスレイの読みである。
と、いうわけで早速最初の生贄として、タービンズ所属のパイロットであり、鉄華団との付き合いも深いラフタ・フランクランドへ向けてヒットマンを放った。
が、しかし。
そのヒットマンはサトラレだったのだ!
(へへへ、ジャスレイのオジキもひどい人だぜ。自分で内通してイオク・クジャンを動かして名瀬を殺しただけじゃなく、その部下まで殺していこうってんだからな……ま、もっともこの程度は前座も前座。本番はこいつを殺したあとに怒ってやってくる鉄華団どもでもねぇ……現テイワズ代表、マクマード・バリストンなんだからなぁ! マクマードの老いぼれも排除すりゃオジキがテイワズのナンバー1、その傘下の俺も美味しい思いができるってわけだ。たかが女ひとりを殺すだけだから楽な仕事だぜ)
そんな思念波ダダ漏れで彼が歩いているのは、テイワズ所有の土地である。
「おい、あのサトラレ野郎とんでもないことを考えてやがるぞ」
「ジャスレイのやつのぼせ上がりやがって……自分の器を読み違えたみたいだな」
「流石に放っておくことはできねーよな」
「そりゃそうだ、名目場とは言えオヤジが保護してる女をみすみす殺させたら俺ら全員処刑もあり得るぜ」
すぐさま周りの人達にヒットマンは取り押さえられた。
先手を打たれたジャスレイは当然のようにケジメを取らされた。