もしも鉄血世界のヒットマンがサトラレだったら 作:マッキンリー颪
マクギリス・ファリド事件と呼ばれる戦いから数年後。
鉄華団の名前、存在すら人々から忘れ去られるのに十分な時間が過ぎた。
しかし当事者たちは忘れはしない。
かつての戦いのことを。
そして敵だった者たちへの恨みを!
鉄華団団長、オルガ・イツカは死んだ。
あの展開から一体何があってそうなったのかは誰にも分からないがとにかくそうなった。
元団員たちは皆、恨みや憎しみを抱えながらも前を向いて歩いていくためにそういった負の感情を飲み込み大人になって生きていく。
しかし、中には感情を割り切れない人間も現れる。
ライド・マッスもその一人であった。
彼はマクギリス・ファリド事件の際、オルガ・イツカへとヒットマンを差し向けた仇がノブリス・ゴルドンであることを突き詰め、そのノブリスが火星へ戻ったとの情報を得た事で仲間たちの前から姿をくらまし、ノブリス暗殺へ向けて数人の同士とともに動き出す。
(ノブリス・ゴルドンを殺したからって団長は帰ってこない……ていうかどうやって死んだんだっけ? いや今はそれはいいとして。とにかく団長はそんなことは望んでないってのは分かってる……だからって賢くなんてなりきれねぇ! 俺が前に進むために……この復讐だけは果たさなきゃならないんだ!)
ライドのその思い……それは……思念波となって外部にダダ漏れとなる。
そう彼もこの作品のヒットマンだからサトラレだったのだ!
姿をくらませる前に引き止める奴は居なかったのか、などという事は考えてはならない。
今考えなければならないのは、サトラレヒットマンはターゲットにたどり着く前に周りからバレバレになってしまうという点である。
なのでライドやその仲間たちの思考もバレバレなのだ。
だが……普通なら邪魔が入りそうなものなのだが、ノブリス・ゴルドンは普段から悪さが過ぎた。
直属の部下ならまだしも、関係の薄い人たちからすれば「あいつは死んでいいやつだから」と、思われるタイプ!
ゆえに……不自然なほどに人払いが済んでいて、障害は少なかった。
護衛が数人いたのだがノブリス自身が車の準備をしておけと人払いをしてから一人でトイレに行く始末である。
ちなみにその護衛たちはライドの仲間がすぐに始末した。
近づいた時にサトラレなので思念波でバレたのだが先に銃を撃ったのでアッサリ殺せた。
そしてついに。
ライドはターゲットであるノブリスの使用中のトイレの前に立った。
「オルガ・イツカを覚えているか?」
ライドは思う。
もしもこいつが今まで自分が踏みつけた人間のことをなんとも思わず、覚えてもいないような外道であったのなら蜂の巣にして殺してやる、と。
しかしノブリスの回答は。
「て、鉄華団の団長、だな。彼の暗殺については……部下の暴走ではあるのだが! しかし私も心を痛めている! そして犠牲者一人一人の死を無駄にしないためにも、これからの世の中を良くしていきたいと思っているのだ!」
どうよこれ。
100点だろ。
ノブリスはそう自賛する。
自分が悪いんじゃないと自己弁護しつつ心を痛めてるアピール、さらに殺した人間の思いを背負ってますアピールだ。
これだけのバリアを貼ればきっとヒットマンも心を改めて帰っていってくれるはず……そう信じた。
「じゃあ良い世界になるためにもてめえが死ね!」
パンパンパンパンパン。
残念、その程度の言葉でヒットマン・ライドは止まらなかった!
「団長、三日月さん、昭弘さんシノさん……チャドさん、終わったよ」
しかし復讐を果たしたライドの表情は晴れない。
分かっていた事ではあるが、復讐を果たしたところで死んだものは帰ってこないどころか、死者は何も語らないのだ。
「ライド! はやく逃げるぞ!」
「……ああ、わかった」
だがこんな所で立ち止まるわけにも行かないライドたちは、すぐさま現場から撤収するのであった。
その後、サトラレなので犯行バレバレのライドたちは周りからの勧めで自首して刑務所勤めになった。
自首であった事と、相手があまり周りから好まれてない人間だったこともあり、死刑は免れたよ様である。
終わりです