転生するなら普通はこっち(神狩人)側じゃないの?   作:こんたそば

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3.【穴を掘るウロヴォロス】

原作であれば第七部隊としてリンドウがたった1人で討伐することになるウロヴォロスなのだが、今回やってきたのはイレギュラーであるため、支部長権限で俺が駆り出された。

 

リンドウ自身は不思議そうにしていたが、討伐が楽になるなら良いかと簡単に考えていやがるのが手に取るようにわかってむかつく。

 

嘆きの平原を戦場にするということなので、とりあえずリンドウには援護射撃に徹するからと適当なことを言って廃屋の上に登る。地面から直で狙われるよりも振動や音で分かりやすいだろうという浅はかな考えである。

 

『アルクが俺とは別の特務に就いているのは知っていたが、支部長が態々協力態勢で討伐するように提案してくるなんてな』

 

地面に神機を突き刺して体の柔軟をしているリンドウが通信を入れてきた。

 

確かに原作では知りすぎたリンドウを支部長が無理難題の任務を与えて殺そうとしているのが分かるくらいだったが、イレギュラーアラガミが出現するようになってから支部長は日々やつれていってリンドウに構っている暇は無い様に見える。むしろアーク計画に支障が出ていそうなほどだ。

 

「リンドウ、今回のウロヴォロスは普通じゃないから気をつけろ」

 

『うん?……普通じゃないって何がだ?』

 

「まず本体が地中を掘り進んでいてどこにいるか分からない」

 

『お、おう……マジか』

 

リンドウは神機を突き刺している地面に視線を向けている。

 

「次に攻撃方法だが、触手で地面から突いて来るようだ。……尻目掛けて」

 

『ちょっ、おまっ!ふざけんな、それでそこに陣取ったのか、この野郎!』

 

「最後に……倒し方が分からん」

 

俺はそう言って廃屋の上から飛び降りた。直後、廃屋のもろくなっているとはいえコンクリートの壁を貫きながら伸びてくる白い触手。一応高い金を払ってバレットエディットでGODを作ってきたけど、触手しか攻撃する場所が無いとなると厄介極まりない。俺は落下しながら体勢を整え、何発か触手の根元辺りに狙撃弾をぶつけるもあまり効果は無い様子だ。

 

「とりあえず、リンドウはそっちで引きつけてくれ。俺はこっちで対処する。触手を全部斬られればこいつも大人しく引き下がるだろうが、それまで楽しいデートと洒落込もうぜ。油断すると男としての尊厳を失うしなっ!」

 

俺とリンドウはバックステップやサイドステップなどの移動方法を駆使してイレギュラーアラガミのウロヴォロスの攻撃を避ける。

 

リンドウの神機はロングブレードであるため、触手の攻撃を避けた後で斬りつける反撃を行える。俺は回避行動を取りながら何もしないよりもいいかと、バレットを徹甲散弾に切り替える。突き出てくる触手を避けた直後、零距離で撃ち放った。

 

 

 

 

「いててて……」

 

「無事か、アルク?」

 

手を差し伸べてくるリンドウの力を借りて立ち上がる。

 

零距離での徹甲散弾の威力は想像を絶するものでウロヴォロスの触手を引きちぎったものの、自身の神機の銃身も吹き飛び、その上で白くねばり気のある体液を撒き散らす太い触手で押し潰されるという痛々しいコンボを喰らって、俺はしばらくの間気を失っていた。

 

まさか、触手一本ちぎれたくらいで本体が地面から出てくるとは思いもしなかったし、大きさがアニメ基準だったのも想定外。おかげであわやアナグラの戦力全体での総攻撃になりかけたが、リンドウの話ではすぐに地中に潜ってしまって音沙汰が無くなったということだ。

 

「悪い、逃がしたのは俺の所為だな」

 

「気にすんな。普通のウロヴォロスがひょっこり出てきたから、丁度いいと思って狩ってコアの剥離をしておいたぜ」

 

サムズアップしながらアルカイックスマイルを向けてくるリンドウが太陽のように眩しく見える。俺は苦笑いしながら呟く。

 

「お前、マジですげぇな」

 

ロングブレード一本でウロヴォロスを討伐できるって、やっぱりリンドウは化け物だ。こんなことなら、変に協力せずにあのイレギュラーにリンドウが大人しく掘られるのを待っていればよかったのだろうかと詮無きことを考えながら回収ヘリが来るのを待つのだった。

 

で、アナグラに戻った俺は自室で休もうと思ったのだが、リンドウの演出に付き合う羽目になった。

 

エントランスのソファにふんぞり返って配給ビールを飲みながら第一部隊の連中が帰ってくるのを待つ。そして新型の主人公ちゃんが戻り次第、タイミングを見計らって第七部隊の活躍を放送で流すというヤラセだ。

 

俺はリンドウの横でジャイアントコーンを熱して弾けさせた巨大ポップコーンに塩を振って千切りながら食べている。

 

神機の壊れ具合を見た整備班からは叱咤が待っているし、思わぬ反撃を受けた身体の節々は痛いし、今日は厄日だと思っていたらエントランスが非常に騒がしくなってきた。

 

「なんだぁ?」

 

「嫌な予感がする……」

 

俺はそっと下にある受付を覗き見る。するとオペレーターの竹田ヒバリが通信を受けて右往左往するという非常に珍しい光景がなされていた。

 

「すぐに回収ヘリを向かわせます!」

 

「えぇっ!?ブレンダンさんがいきなり戦闘不能になった!?」

 

「服を持って来いって、またですか!着替えを持っていってくださいって言いましたよね!」

 

イレギュラーアラガミの襲撃が至る所でなされているらしい。これは拙い展開だわぁと現実逃避していると、俺の恐ろしい予感は的中してしまった。

 

地上とエントランスを繋ぐ扉が開かれ、第一部隊のメンバーが帰ってきた。

 

しかし、スタイル抜群で黒髪美人な橘サクヤは顔立ちがキリッとしたイケメンになっていて、服が女性物なだけに痛々しい。リンドウの目も点になっている。

 

以前擦れ違った褐色肌の巨乳持ちはソーマだったみたいで、非常にむすっとした表情だ。

 

フェンリルの制服を身につけているのは主人公ちゃんみたいだが、主人公君になっていてかつ女装に見えてしまうので目を逸らすしかない。

 

そして、ゴッドイーターにおけるムードメイカーな藤木コウタはあどけない表情を見せる不本意ながらときめいてしまうほどの純朴な美少女になっていた。

 

一応、第七部隊の活躍も放送されたけれど、第一部隊の変身の方がインパクト強過ぎてぐだぐだになってしまったのは言わないでも分かってくれることだろう。

 

 

 

「お疲れさまです、支部長。最近疲れていたのは、ソーマが男になったり女になったり日によって変化しているからだったんですね」

 

「ソーマはオラクル因子を生まれながらにして持っているからね。その因子に何らかの影響を与えてしまったのだろう。件のサイゴートはすでに極東からユーラシア方面に飛んでいったと報告を受けていたから大丈夫だと考えていたのだがな……」

 

残念なことに今日は第一部隊全員が被害を蒙ってしまった。こうなってしまっては第三部隊を隔離しておく必要もないので戦力的には大丈夫だと思うけれど、本当にあいつらは原作を悉く壊してくれる。

 

「近く2人目の新型神機使いを受け入れることになるのだが、どう思うかね?」

 

「いい経験になるんじゃないっすかねぇー」

 

「こっちを見て言いたまえ」

 

支部長は大きなため息をついた。

 

この調子だと特異点であるアラガミの少女にも悪影響が出ていているかもしれないし、まだまだ俺たちの予想も付かない能力を持った転生アラガミがやってくるかもしれない。

 

俺はふとエロい考えじゃない転生アラガミもいるといいなぁと思いながら、支部長の愚痴を右耳から左耳に聞き流すのであった。

 

 




【ウホヴォルス】

穴であれば男でも女でも構わないようだ。

地中から鋭く突き出される攻撃を受けるとどんな強靭な肉体を持つゴッドイーターいえども一撃で昇天してしまう威力を持つ。

とあるゴッドイーターの話によれば触手の先端からは白濁色かつ粘性の高い体液を分泌することができるらしく、裂くことはないだろうが、人間としての尊厳を根こそぎ奪われそうな攻撃をしてくるかもしれないとのこと。

詳しいことを聞こうと思ったが、ドクターストップを掛けてしまわれたのでは仕方がない。次の機会にしよう。
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