「また来たよ」
炎天下で立ち尽くし、僕は呟いた。日陰の一切ないこの場所を、太陽がジリジリと地面を焦がしていく。
人々が祭や海などで夏を満喫する夏休み。その休みを削って、僕は人気のないこの場所を訪れた。
すっかり暖かくなった段差に腰を下ろして地面に手をつける。
「最近、調子はどう?」
『うん……まあまあ、かな?』
僕はうっすらと笑みを浮かべる。あの時と何一つ変わらない。
「なんか変わったこととかある?」
『特にないよ』
僕の問いも。
「元気にしてる?」
『元気だよ。本当に君は心配性だね!』
彼女の反応も。
ミーンミーンと鬱陶しいせみの声が聞こえる。不思議なことに風はない。感じるのは夏の暑さだけだった。
「……初めて会ったのは5年前になるのか」
『中学生の時でしょ! あのときは楽しかったね!』
僕と彼女が初めて会ったのは中学校の入学式の日。よくある恋愛ものの小説のようなロマンチックな出会いではないが、同じクラスメイトになって、異性なのにも関わらずすぐに打ち解けたのを今でも覚えている。
「ほんっと、お前はそのときから元気だったよな」
『むぅ……それ、バカにしてるでしょ?』
時には男友達と駆け回ったりして、擦り傷なんて当たり前で、保健委員の僕は何度も保健室に連れて行った。思い出してみれば、もう呆れるくらい彼女は元気だった。活発で、誰にでも暖かな太陽のような笑顔を振りまいていた。
「それでいて優しくて、僕が悩んでいたらすぐ気づかれるんだよな」
『それは、君のことだもの。それくらい、気づくに決まってる……』
僕が何か悩んでいると決まって彼女は後ろから抱きついてくるのだ。短い髪を揺らしながら、僕の横からひょっこりと頭だけ出して。
「どーしたの!」
そう笑顔で聞くのだ。その度に僕は軽く笑いながら引き剥がし、何でもないと言った。
「本当に、懐かしいな」
『そうだね……』
懐かしい、過去の記憶。目をつむり、またそっと思い出に浸る。出会いから今までを、ゆっくりと、ゆっくりと。
「この声は、君に届いているのかな?」
わかるわけがないのに、返事が来るわけがないのに。
その問いは夏の熱気と共に流れていく。
「一目惚れ、だったんだよ……」
中学校の入学式の日。初めて会ったときから、僕は彼女に惚れていたのだ。
後ろに手を組みながら、短い髪を揺らして、笑顔を振りまいている彼女に。
僕は一目見た瞬間に、好きになっていたんだ。
「それから一緒のクラスになって、友達になれて、ものすごくうれしかった」
最初は戸惑ってしまって、声も裏返ってしまったけど、彼女はそれでも変わらず笑い返してくれた。
「クラス替えでは離れちゃったけど、メールもしたし、電話もした。すごく楽しかった」
くだらないことや、たわいのない話を僕たちは毎日話し合った。涙が出るほど笑ったり、変なことで言い争うこともあった。
「卒業して、同じ高校に行って。これから楽しいことがいっぱいあったんだよ」
修学旅行に、学校祭。活発で運動神経のよかった彼女ならきっと体育大会では大活躍するだろう。
「ねぇ……!」
沈黙。当然、返答はない。
だって、彼女はもう――
僕は手の力を使って起きあがる。ついた土を放って、僕は言った。
「ずっと好きでした。ずっと、今も、そしてこれからも」
ずっと前から言いたくて、でも言えなかった言葉。
今更伝えたところでもう遅い。でもこの想いは、この言葉はいつまでも変わらないで残っている。
僕は帽子を深くかぶり直し、彼女が眠っている場所に背を向ける。
「また今度来るよ……じゃあね」
ゆっくりと歩き出す。僕が歩いた道には炎天下にも関わらず、水で塗れたような黒い点が残っていた。
いかがでしょう……。これは3年前に学校であった企画で書いた小説を少し改良して作ったものです。
そのときはタイトルがあったはずなんですが昔の話なので忘れました……。なのでその場の雰囲気でつけたので本当に意味はないです。ご了承を。
大元のストーリーはそのままで、書き方や文章構成を大幅に変更しました。
この作品でも、他のでもいいのですが、ものすごく感想がほしいです。ズバッと批判しても構いません。端的に面白い、面白くないもそうですがここが変、とかここを変えたらいいと思う、とか。実際ここら辺が違和感あります、くらいのふわっとした感じでも勉強になるのでどうが、感想をください。
シナリオの勉強を本格的に始めたので勉強としてよければご協力お願いします!