赤鬼転生記~クロスオーバーオンライン~   作:コントラス

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Prolog

「えー、2057年に実施されたチップ移植を皮切りに犯罪は減り、2148年には病人患者も少なくなって――」

 

 

 社会科担当の男性教諭の声が静かな教室に響く。

 教諭が口にする言葉の一句一句、板書されていく説明文を眼前にある空中モニタにタイピングして書き込む。

 紙が使われなくなって久しい昨今。記録は全てデータ化される。紙の臭いが懐かしい。

 

 

「あー、では須崎原(すざきはら)君、次のところを読みなさい」

 

「はい。2152年に設置されたマザーコンピューターが日本政治に介入してから――」

 

 

 無気力に返事をした俺は、ガタッと椅子を鳴らして立ち上がる。手に教科書はない。電子化された教科書が、机と一体化したパソコンのモニタに映し出されている。

 教諭に言われた通りの箇所を目で追って読み上げていく。ページを捲る音やノートに書き込む音はない。カタカタとタイピングする音だけが教室に響いている。

 

 居眠りする生徒すらいないというのは少し寂しい気もするな。

 まぁ、睡眠欲もマイクロチップでコントロールできてしまうのだ、誰も好き好んで怒られたくはないだろうし、眠気ぐらいは払って当然か。

 

 マイクロチップ……俺達の脳には赤ん坊のときに埋められるものだ。所謂GPS機能に脳波に作用して感情や欲求の抑制、他者との交信までできてしまう優れ物だ。

 普及した当時はプライバシーや人間としての権利等と騒ぐ者も多く、反発される要素が多いものであったが、普及してみれば犯罪の減退に繋がり、病死者さえ減らせてしまったのだから何も言えない。

 

 現在は2237年5月26日。技術の進歩が著しく、マイクロチップに特別なソフトを内蔵して、癌やバクテリア、ウイルスを体内で駆除できてしまうらしい。病院は専ら怪我でいくことが多い。

 栄養管理もコンピューター。自動車や飛行機に船、モノレールも文字通り完全な自動操縦。ジャンクフードは衰退というか、この時代にはポ○チとじゃが○こ、カ○ルなんて存在しない。栄養価の低い食べ物や飲み物は時代の波に浚われて消え失せた。

 逆に、音楽や絵画、スポーツはいまだに健在だ。ただ、格闘技はなくなり、近代科学が取り入れられ少し形を変えてしまっているが……。

 

 娯楽が減ったこの世界だが、VR技術は凄い。

 今俺の机の上にある空中モニタもそうだが、ちゃんとした通信機きを使えば、交信相手の立体的な姿が浮かび上がる。

 どんな仕組みかは知らないが、蟀谷を二度人差し指で叩けば、会話のログを眼前に映し出すことができる。

 

 と、まぁ科学力スゲェって話だ。

 

 俺、須崎原 宏壱はそんな行き過ぎた科学のある世界で生きている。

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