「えーっ!? コー
くすんだ金髪のイケメンが空に響けと言わんばかりに叫ぶ。
小夜と一緒に塔の攻略を進めた翌日、俺は昨日の話を腐れ縁の雄介に語った。
現在は昼休み中で、解放されている屋上のベンチに並んで座り、昼飯を食べている最中だ。
俺は自作の弁当、雄介は購買の栄養パンだ。一日に接種すべき栄養素の詰まったコッペパン2つ。
俺には味気ないが、慣れてしまった雄介にはちょうど良いらしい。
一応の水分補給で、牛乳パックが脇に置いてある。ソイツにストローをブッ刺してちゅーちゅーと飲んだ。
「って、おいそれ俺のだからっ!」
⋯⋯取られた。
仕方がないので、自分の水筒に口を付ける。流れ込んでくる緑茶の風味がまた良い。量販店の安い茶葉だけど。
「ったく、なぁんで自分のがあるのに俺のを取るんだよ」
「牛乳の気分だったからな」
「じゃあ買えよ! 自分で!」
騒がしい男である。
考えが読まれたのか、横目でじとっとした視線を送ってくる。
「はぁ⋯⋯で? どうだった」
追及する気も起きないと言わんばかりに、雄介は息を吐くと、話題を×オンに戻した。
「うーん、まぁ楽しかった。正直、一日程度のプレイで、良し悪しを決めれるゲームじゃないな」
「そっか。あ、そうだ! 今日さ、待ち合わせしねぇ? 俺が案内してやるよ!」
「MAPがあるだろ」
「良いじゃんかよー。リアルのダチとゲームで盛り上がりたいんだよー」
暑苦しく駄々をこねる雄介に溜め息が出る。俺の腕を引っ張るな、キモいぞ。
「分かった分かった。8時頃に塔で集合、これでどうだ?」
「8時だなっ? 絶対だぞ!」
仕方がない。このままだとウザいし、付き合ってやることにするか。
◇
そんなこんなで7時45分だ。
7時頃に飯を食って風呂に入り、歯を磨いてトイレも済ませた。
あとは寝るだけってスタイルを作っておく。これで ログアウト後に直ぐ寝れる。
VRギアを装着してベッドに横になる。
起動と同時に俺の視界がホワイトアウトして直ぐに、鮮明な景色が戻ってきた。
木目調の天井が見える。ゲーム内の住居、武偵寮の部屋だ。
服装は武偵校の防弾坊刃制服。ブレザーの下にガンホルスターも確認した。
「そういえばナイフ忘れてたな」
思い出す。武偵校の規則に帯銃帯刀が課せられていた。
昨日はナイフを買うことも視野に入れていたが、銃を試したいばかりに、早々に塔へ向かってしまった。
武偵生をロールプレイするなら、そこも徹底しないとな。
何て考えていると、〈フレンド小夜からメッセージを受信しました〉とログが視界に現れた。
昨日の別れ際、小夜がゲーム内で寝泊まりする寮の前でID を交換してフレンドになった。フレンドであれば、ログインしてるかとか、位置情報を得られたりだとかができる。待ち合わせをするには便利って機能だ。
これはゲーム内で携帯電話を買って機能を移すことが可能で、ステータスなんかも携帯電話で確認することができるようになるらしい。
ただ安くても50万ガルはするらしく、今は手が出せない。
閑話休題。
『コーイチさん、宜しければ今日も一緒にプレイしませんか?』
メッセージを開くと、お誘いの言葉が添えられていた。
『連れが一人いるんだが、大丈夫か?』
そう返すと直ぐに、『大丈夫です』と返信がきた。
小夜の方もさっきログインしたばかりだそうで、まだ寮にいるらしい。
なので、待ち合わせは塔に近い小夜の寮の前に決まった。
仕度はすでに済ませてある。俺は財布も確認して待ち合わせ場所に向かった。