いつも通り、オレは紋白と黒いリムジンに乗って憐桜学園に行く。
紋白を1年のクラスに送り、俺もクラスへ行く途中だった。
「よう、海斗。いつもウチのポンコツが世話になってるな」
その道中、この学園で珍しい金髪で、気品の欠片も無いただ纏めただけのポニーテイル、学園の制服に白衣を着た見知らぬ少女がいた。
背は小さく紋白並みであり、その少女の後ろには侑祈がいた。
「よう海斗、これが俺のプリンシパルの倉屋敷和葉。なんか知んないけど、海斗と話したいんだってさ」
「へえ、こんなチンチクリンがお前を作ったのか。小学生にしか見えねえぞ」
鋭い蹴りがオレのスネにヒットする。その蹴りを放ったのは侑祈ではなく、目の前にいる和葉だった。女性にしては中々良い蹴りだ。蹴りを入れた場所も弁慶の泣き所を狙ってたので、それなりに痛い。まあ、その程度の痛みじゃあ反応もしないけど。
「誰が小学生だ? ああん?」
「手癖悪いお嬢様だな、お前を作った開発者は」
「ちょっと待て、さっきっから俺を作ったってなんのことだ?」
そうか、侑祈は自分が人間だと信じているから、自分が作られたって感覚が無いのか。
「いや、私だけではない。正確には私の母がこいつを開発して、身体は私がそれなりに改良した」
「いや、和葉ちん、なんの話してるの?」
「五月蠅い、お前には関係の無い事だ」
「いや絶対関係あるじゃん!? なに? 作られたとか怖いなんか怖い?!」
「つまり、親子合作って訳か」
「そうだ。まあここで立ち話もなんだから、ウチに来るか」
そう言うと、和葉は侑祈に何か指示を出した。
それと共に急に真顔になって侑祈は「悪いな」と言いながらオレに掴みかかって来た。
「侑祈、テメエ」
「俺もこんなことしたくはないんだけどさ、和葉ちんの命令だし、断れないんだわ」
1度、2度と侑祈の手を躱すが、流石はアンドロイド、オレを難無く捕まえる。ご丁寧に右腕の関節を決める鮮やかさ。
「そんじゃ、私の研究室までご同行願おうか、朝霧海斗」
侑祈達に連れ去られて約1時間、オレはとある研究施設と思われる一室に連れ去られていた。
そこには侑祈はおらず、和葉が嫌な笑みを浮かべながら様々な医療器具と思われるものを弄っていた。
「こんなところに連れ去って、オレの九鬼家が黙っていると思うなよ。数分後には3000人の兵がここに雪崩れ込んでくるぞ」
「何時から九鬼家がお前の物になったんだよ。見え透いた嘘を吐くな。心配しなくても、お前をここに連れ去る前に交渉済みだ、お前んとこの執事たちとな」
「交渉済みだと?」
「ああ。なんつった? あのヒュームとかいう執事だ。お前が侑祈で遊んでいた所為で至る所が故障していて、その弁償の代わりに一日私に貸せって言ったらあっさりOKを貰った。これが証拠の映像だ」
そう言いながら和葉はタブレットPCをオレに渡す。PCの画面にはあのヒュームの映像が流れた。
『よう海斗。お前は実に愚かだな。人類最高峰と呼ばれるアンドロイドを壊した代償を、倉屋敷が請求してきたときは驚いたぞ。
しかしお前の身体を検査するだけで数億という請求金をチャラにしてくれえるそうだ。その間は俺とクラウディオで紋様を護衛する。
赤子なら、自分の尻ぐらい自分で拭け』
いや、赤子じゃあ自分の尻拭けねえだろ。つーかツッコミ満載だな。
「心配しなくても、放課後までにはお前を解放するさ」
「そんな心配はしてねえよ。つーか侑祈って数億の価値あんのか?」
「なんだ、お前は何も知らないのか。侑祈は九鬼家のアンドロイドと比べて圧倒的に勝っている。特にハード面はな。
一度九鬼の申し出でウチの侑祈とクッキーとかいうロボットと戦わせたが、侑祈の圧勝だ。自慢ではないが、お前んとこにいる執事に劣らないくらいの戦闘力はあると研究者として自負している」
確かに侑祈に勝つのは容易ではない。憐桜学園でも、あいつに勝てる奴はまずいないだろう。
佐竹でも、多分侑祈には勝てない。
「なあに、ちょっと血液サンプルとDNAサンプルの摂取及び照合、全身スキャンをするだけだ。と、それをする前に、ちょっと質問がある」
「なんだよ、手短に頼むぞ」
「お前、前に一度私に会わなかったか?」
会った事って、一年前まで禁止区域にいたのだからこいつと会うどころか、接触する機会なんざなかったんだから、会ったことないだろ。
「お前とは今日初対面だ。もしかして新手のナンパか?」
「いや、ちょっと気になっただけだ。じゃあ、血液採取から始める」
と言うと、和葉は見たこともないほどぶっとい注射器を取り出した。針の直径5ミリあるんじゃねえってくらい巨大だ。
「じゃ、ちくっとするけど、ちょっとの我慢だ」
「いやいやいや! それ明らかにぶっとすぎだろ!」
「……チッ、冗談だ。こっちでやるよ」
「今舌打ちしたよな。テメエオレが指摘しなかったらそれで血取るつもりだったろ!」
まったく油断ならない奴だ。つーかなんか、こいつオレに似てないか? いや外見の話じゃなくて、中身が。何となくだけど。
その後、2時間に渡りオレの身体が隅々まで調べ上げられた。髪の毛の本数から尻の穴のしわまで数えられた気分だ。もうお嫁にいけない……元々いけないけど。
後は検査の結果を待つのみだが、その間手持ちぶたさなので研究室の本を読もうとしたが、どれも英語だかドイツ語だか分からない言語で書かれ、読むことが出来なかった。日本語の本を見つけても、専門用語が多すぎて読めた物ではなかった。
「――はあ? いや、嘘だろ? 何でこんな結果に……」
検査結果が出たのか、和葉はドデカいモニターの前で首を傾げている。なんだ、何が出たんだ?
「ありえねえ。何かのエラーか? いや、エラーは無い、か。だったらこれは……」
「おい、一体何が出たんだよ。まさかこの年で痛風なのか、オレ」
「んなわけないだろ。病気じゃねえよ、お前の遺伝子に関する事だ」
遺伝子? もしかしてオレが禁止区域の出身だってことがバレたか? あの親父かお袋のDNAがここに登録されていて、それとオレのDNAが一致した、とか。考えられなくもない。
「で、オレの遺伝子の何処が異常だったんだ?」
「――いや、なんでもない。これは絶対になんかの間違いだ。そうじゃなきゃおかしい」
「それは――」
――禁止区域の住人が、ここに居る事か? と言いそうになり、喉の奥にそれを引っ込める。まて、そう判断を強いるにはまだ早い。
そうこうしていると、和葉はトンデモ発言をした。
「おかしいだろ。私とお前が、半分血が通っているだなんて。あとでもう一度プログラム及び遺伝子情報を詳しく調べておく」
「……は、オレたちは従兄妹か何かってことか?」
「機械の判定が間違っていなければそうなる。この機械は壊れているんだろう。赤の他人の筈の私たちが、従兄妹だなんて、何かの間違いに決まっている」
なあんだ。ただの機械の誤作動か。一瞬焦って損した。
「しかしこうして見ると、お前も苦労したみたいだな」
「苦労だと?」
「ああ。他の人の目は誤魔化しても、私の目は誤魔化せない。身体中に虐待を受けた後が多数存在する。しかもその上、身体能力が人を超えている。まるで以前見た武神に似ている」
その武神とは誰のことか分からないが、褒められていることは確かなのだろう。
「ま、良いだろう。今回の検査はこれで終了だ。もしもまたあのポンコツを壊したら、またミッチリ身体じゅうを隈なく見てやる」
登場人物ランク表
Sランク 《世界最強クラス》
真剣で私に恋しなさい!
川神百代 ヒューム・ヘルシング 葉桜清楚(覇王時)
松永燕(平蜘蛛装備) 川神鉄心 武蔵坊弁慶(金剛纏身発動時)
暁の護衛
朝霧海斗 朝霧雅樹 相馬忠夫 神崎佃五郎(全盛期)
Aランク 《壁越え》
真剣で私に恋しなさい!
ゾズマ・ベルフェゴール ルー・イー
釈迦堂刑部 黛由紀江 鉄乙女
板垣辰子 九鬼揚羽 橘天衣
フランク・フリードリヒ(メフィストフェレス発動時)
大村ヨシツグ 鍋島正 源義経
暁の護衛
不動 金剛 佐竹明敏 錦織侑祈
Bランク 《壁の手前》
真剣で私に恋しなさい!
桐山鯉 榊原小雪 黛大成 マルギッテ・エーベルバッハ 石田三郎
忍足あずみ 那須野与一 鉢屋壱助 クラウディオ・ネエロ 林沖
暁の護衛
柊朱美 相馬楓 龍 五十嵐舞 神崎萌 宮川直人 五十嵐亮(アキラ)
Cクラス 《壁の中の強者》
真剣で私に恋しなさい!
李静初 ステイシー・コナー クリスティアーネ・フリードリヒ
川神一子 板垣亜巳 板垣天使 椎名京 長宗我部宗男 島左近 大友焔
クッキー2 毛利元親 宇喜多秀美 椎名京 宇佐美巨人 不死川心
暁の護衛
南条薫 詩音 杏子 須藤
Dクラス 《平均的な格闘家》
真剣で私に恋しなさい!
島津岳人 板垣竜兵 井上準 小島梅子 尼子晴 源忠勝
南条M虎子 九鬼英雄 風間翔一 武蔵小杉 矢場弓子 武田小十郎
暁の護衛
宮川尊徳 奥本 雷太
これは飽く迄、私の主観で決めた暫定的なランクです。
このランクはキャラの肉体面、技術面をもとに判断して付けました。
本編ではこれを元に戦闘の結果などを決めますが、その戦闘状況、心理状態によってはランクが違う相手に勝つことも負けることもあります。
しかしこうして見ると、本当に真剣で私に恋しなさい!の登場人物の人数は多いですね。
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