真剣で私を護りなさい! 暁の従者   作:乱月

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004 憐桜学園 昼食

 昼休み。

 

 普通なら紋白と二人で食事をするのだが、四人掛けのテーブルに座っていた。

 左隣には紋白が座り、向かいには侑祈、そして侑祈の隣にはあの生意気ツインテールの二階堂麗華が座っている。

 席に座り食事の注文をしてから沈黙が続く。

 

「…………」

「…………」

「…………」

「…………ぐうzzz」

「「「寝るな」」」

 

 ふむ、見事な三人ツッコミだ。しかし、麗華と紋白は直ぐに真顔に戻って、互いに見つめ合う。なんか間で火花が飛び散っているように見える。

 すると侑祈が身を乗り出して小声で話しかけてくる。

 

『誰の所為でこんな気まずい雰囲気になってると思ってんだよっ』

『……(キョロキョロ)あ、オレか』

『海斗意外に誰がいるんだよ?! つーか自覚無かったの?!』

『つーか麗華は、何でオレを欲しがるんだ?』

『それが分かったら俺だって苦労しないよ。俺はもっと楽しい食事を期待してたのに、なんだよこの殺伐とした空気っ!』

 

 んなこと言われても、オレにはどうすることも出来ない。

 なんか少し離れた席で尊が発育の良いお嬢様と一緒にこっちに注目してるし。まあそれ以外の訓練生やお嬢様も、だが。

 

「率直に言うわ。海斗を私のボディガードに欲しい」

「それは断る。海斗は我にとって必要な存在だ」

 

 ざわ…… ざわざわ……

 

 食堂が騒がしくなる。確かに世界の九鬼と呼ばれる日本トップに君臨する大財閥のお嬢様と、聞けば日本トップクラスの資産家である二階堂家のお嬢様が、成績不振のボディガードを取り合っている姿を見ればそうなるわな。

 しかし、こうして目立つことはあまりしたくない。他人の好奇な視線など、ウザったいたらありゃしない。

 

「どうして海斗じゃなきゃ駄目なの? 九鬼さんなら他にも優秀な人材がいるでしょ?」

「確かに、麗華の言うとおり海斗以外にもいるだろうが、我は海斗が気に入ったのだ。

 逆に聞くが、麗華はどうして海斗をボディガードにしたいのだ?」

「楽だと思ったからよ」

 

 楽? と紋白は首を傾げる。

 

「普通のボディガードは無口だし喋っても敬語で堅苦しいじゃない。それに比べて海斗なら楽だと思ったのよ」

「なるほど。海斗のその部分が気に入ったのか」

「良いでしょ? 海斗を譲ってくれたって。成績も悪いし、どうせ九鬼家のお荷物なんでしょ?」

 

 素直に感心するな。ここまでキッパリと本人の前で成績が悪いだのお荷物だの言えんな。普通の奴なら自殺ものだろ。

 

「フハハ! 海斗が九鬼家のお荷物だと? 笑わせるなっ。我はここにいるボディガードの中で一番優秀だと評価している!!

 海斗に勝るボディガードは、何処にもいないっ」

 

 おいおい、いきなり変なことを断言すんじゃねえよ。他のボディガードがオレに殺気を向けてきたぞ?

 幾ら九鬼家が俺の禁止区域出身を隠しても、どこでボロ出るかわかんねえんだから、目立たせるなよ。

 

「ふうん。それが本当なら、ますます欲しくなったわ」

「紋白の冗談を真に受けるな。オレの実力は成績通りだ」

 

 麗華は不敵な笑みを浮かべながらオレを見る。

 

「ま、俺も紋さまの意見に賛同するね」

「侑祈も滅多なこと言うんじゃねえよ。あまりオレを買い被るな」

 

 侑祈には前々からオレを怪しまれる、というより実力を見透かされていたからな。

 

「ま、今回はこのくらいで引いて上げる。丁度料理も来たわけだし」

 

 麗華の言葉通り、注文した料理が運ばれてきた。

 淡々と食事をして、その後はあっさりと昼食は終了して、紋白を一年の学年に送り届け、午後の授業の準備に取りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ小ネタ

    李静初の暗殺日記

 

 

 4月中旬、晴れ。本日で4度目となる朝霧さんへの暗殺です。

 本日は クローゼットの中で朝霧さんの隙を伺っていますが、何やら変な声が部屋で響いております。

 

「ぐへへへ、スケスケで中が見え見えだぜ。オラオラァ! これでラップがビリビリで中身が丸見えだぜぇ?」

「や、止めて! 私の中を見ないでっ!」

「んなこと言っても、お前の中にある袋の中はドロドロだぜ?」

「だめぇ、袋を開けないでぇ……」

「ひゃっはー! すんげえ美味しそうだぜえ!!」

「だめぇ、見ないで……」

「ほうら、熱々のお湯だ。これをお前の中に注いでやる」

「あ、ああっ、熱い! 麺が、麺がふやけちゃう!!」

「どうだ、自分の麺が伸びる感覚は?」

「……っとぉ……」

「はあ? なんだって? 聞こえねえぞ?」

「……もっと、もっと注いでぇ!!」

「ぁあんっ? 人にものを頼む言い方がそれかあ?」

「お、おおお願いしますっ、もっと、もっと注いでくださああいぃっ!!」

「ふっ、残念だが、俺は線下1センチ派なんだよ」

「そ、そんなあぁ……」

 

 ガタッ!

 私は思わず、不用意にクローゼットを開けてしまい、朝霧さんと目があってしまった。

 

「……み、見たか?」

「いえ、何も……」

 

 朝霧さんの右手には電気ポットが握られており、目の前には湯気を漂わせるカップラーメンがありました。

 

 どうやら朝霧さんは、カップラーメンと話していたようです。

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