真剣で私を護りなさい! 暁の従者   作:乱月

8 / 11
皆さんこんばんわ、週末限定投稿者《乱月》です。
現在私はとある会社の職業学校に入校中で、週末以外はスマホを没収されて、更新ができません。
しかし、なんと今月末に学校を卒業するので、平日も定期的に更新する予定になります。


006 小笠原諸島 厨二病

「今日は、風が騒がしいな」

 

 シャワーを浴び、体を綺麗にしたところでスーツを着てそこら辺をブラブラしていると、某サスペンス劇場のラストシーンでお馴染みの海岸際の崖の上で、一人黄昏ている少年がいた。その瞳はどこか悲愴感漂うものだった(決して悲壮感ではないのがミソだ)。

 

 少年が口にした言葉は、何か昔聞いたことがある。……このどこか痛々しく、目に当てられないセリフだ。どこだ、どこでこの言葉を聞いた?

 

 そうだ、想い出した。去年雷太と言う同じボディガードの訓練生から借りた、オレが人生で二度目に読んだライトノベル《疾風迅雷のナイトハルト》の主人公の台詞だ。

 懐かしい。これを読んだことが切っ掛けで、オレは一生ライトノベルと名の付くものを読まないと誓った作品だ。確か舞台が学園都市だか何だかで、風の能力者である主人公が学園都市の暗部と呼ばれる組織との戦いと、何故か沢山の美少女にモテモテな意味不明なものだった。

 確かこの台詞の後、主人公の背後からとある男性が現れて……

 

「『どうやら風に紛れて、この場所に良くないモノが来たようだ』」

 

 と言う台詞が続くはず。あ、やべ、思わず声が出ちまった。

 うわ、目の前にいる少年が一瞬オレの方を振り向いて、すんげえキラキラした目で見つめたぞ。んでスガシカオ、もとい澄まし顔になる。

 なあんか嫌な予感だ。

 

「どうやらアンタも、この風に導かれた存在のようだな」

「『さあな。取り敢えず、俺は俺の役目を果たすだけだ』」

 

 やっちった、繋げるつもり無かったのに、なんかあの本の台詞がすんげえ思い出しちまった。

 こうなったらヤケクソだ。どこまでも行ってやるっ。

 

「ふ、互いに厄介な役目を負った身、って訳か」

「『どうやらそのようだな。しかし、それが俺達の運命……』」

「サダメ、か。上手いことを言うな……と言うことは、俺達の日常の終わりが、否、本当の日常の始まりか」

「『偽りの日常が終わりを告げ、新たなる神話の幕開けだ』」

「急ぐぞ、風が止む前に……」

 

 と、何故か良い雰囲気でオレと少年は海に背を向けてジャングルへと足を運ぶ。あれ? オレ本当にどこまで行っちゃうの?

 オレの意思とは無関係に足が少年とともに進む。

 

 誰か、誰かオレとこいつを止めてくれえええええええ!!

 

 と、ジャングルから人の気配がした。この気配は、さっき出会った女版義経?!

 ヤバイヤバイヤバイ。何がヤバイのか分からないが、取り敢えずヤバイ。この状況を見られたら、いくらオレでも恥ずかしくて死ぬぞ?

 

「よ、与一いいぃ、こんなところにいたの--」

 

 そしてバッタリと、ついさっき出会ったポニーテールの女がいた。

 

「あ、ああ、あっ、」

「……………………」

 

 口をワナワナと振るわせてオレと対面する義経。当たり前か。ついさっき素っ裸の男と出くわして、そしてまた出会えば驚くよな。

 またそれとは対照的に、意外と冷静な態度の少年。

 

「何をしている、相棒。女子供に構っている暇など無いぞ。俺達には果たすべき使命がある。その事を忘れるな」

 

 そして空気を読まない隣の少年。お前もう帰れ。いやオレが帰りてえよ。

 しかもいつの間にお前の相棒になったんだよ、訂正しろ。

 

「さ、ささささっきの、へ、へへ、んたいっ」

 

 案の定、テンプレートな反応を示す義経。

 

「まあ待て義経。落ち着いてオレの話を聞け」

「な、なな何故義経の名前を?!」

「んなことはどうでも良い。まず、オレのことを変態と言ったが、厳密にどこが変態なんだ?」

「さ、さっき浜辺で裸になっていたではないか?!」

 

 と顔を赤らめて言う義経。なあんか初々しい奴だな。微笑ましいというか。

 もしかしてもしなくても、こいつ男性経験ないな。

 

「確かに、オレはさっき裸だった。しかし、それがどうした?」

「ど、どうしたって、はだ、」

「裸のどこがいけない? 海外にはヌーディストビーチと言って、全裸で入る海だってあるんだぞ?」

「ぜ、ぜぜぜぜッ、ゼェ?!?!」

 

 只でさえ赤い顔が、さらに真っ赤に染まる。まるで茹で蛸のようだ。

 本当にこんな純情な女の子がいるのか。まるで雷太が愛している二次元の女の子のようだ。

 

「それに人間は産まれるときは全裸だ。誰も服を着て産まれる奴はいない」

「そ、それとこれとは話がちが、」

「兎も角! 人間が裸でビーチにいることは不思議ではない!! それともお前は、あそこの砂浜をヌーディストビーチではないと言い切れるのか?」

「そ、それは………………………………言い切れない」

 

 聞き取れないくらい小さな声で恥ずかしそうに囁く義経。

 

「それとお前、オレに攻撃をしたよな? そのことについても謝ってもらおうか」

「う、うぅぅぅぅぅ……」

 

 義経はどこか腑に落ちない表情でオレを見る。

 ふははは! これでこの勝負(?)はオレの勝ちだな。

 

「まあ良いだろう。オレは変態ではない以上だ」

 

 何か言い返そうと考える義経だが、否定する材料も言葉も思いつかないのか、うぅ、っと涙目で訴える事しかできない。

 

「話は終わったか。さあ、行くぞ相棒、風が止む前に……」

 

 だからオレは相棒じゃねえっつうの。さっさと風止んじまえ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。