読んでいる際に不快に思うかもしれませんがご容赦ください。
俺がいつも通り目を覚ますと、ここ最近日課になっている咲の頭をなで、リビングに向かう。
そして、テレビをつけ番組表を見るが、みたい番組がなかったので、いつものようにゲームをしようとアプリを起動すると咲が部屋から降りてきた。
「おはよー。お兄ちゃん」
「うい、おはよ」
朝の挨拶を済ませると、咲はそのまま俺に抱きついてくる。
これも最近の日課で、咲曰く、お兄ちゃんの匂いを嗅ぐと安心できるんだよー。だそうだ。
まぁ、唯一の家族なのだ、それぐらいは許容するのが、兄と言うものだ。
咲の頭をもう一度なで、ソファーに座る。
そして、そのまま咲の手料理ができるのを待つ。
因みに何度も言っているが咲の家事スキルは、聖杯戦争に出てくる、正義の味方クラスである。(誇張)
そんなことを考えながらゲームをしていると、朝飯が完成したらしく、俺の定位置に着いた。
「いつも悪いな」
「それは言わない約束だよ?」
「その返しもお約束だな」
「そうだね。そうだ。お兄ちゃん、咲の事愛してる?」
「おう、愛してるぞー妹として」
そう返すと咲は見るからに肩を落とす。
その理由は分かってはいるが、妹に恋する兄はいない。
そんな兄がいるとしたら、創作物のなかだけだろう。現実では、ありえない。
まぁ、かといって俺に好きな女子がいるわけでもないので、咲を甘やかせるだけ甘やかしているのだが、それが裏目に出ているようだ。
それのせいで咲の依存性が、両親がなくなる前以上になっていることも、理解しているが、まぁ、俺にとっても唯一の家族なのだ。できる限り愛でたいと思って当然だろう。
そんな事を考えていると、咲が話しかけてくる。
「お兄ちゃん。お兄ちゃんは咲のもので、咲はお兄ちゃんのものなんだよ?」
「俺は咲の兄で、咲は俺の妹な。それ以上でもそれ以下でもない」
俺がそう返すと、咲はむすっとした顔で睨んでくる。ただし、目のハイライトはなくなっている。
「まあ、お前は俺のかわいい妹なんだ。そう気難しくかんがえることじゃぁない。だから、そう、お兄ちゃんを殺して咲も死ぬみたいな顔をするな」
「ち、違うよお兄ちゃん。咲はお兄ちゃんの四肢を切り落として、咲の部屋で面倒を見ようかなぁって思っただけだよ」
それは、またバイオレンスなことで。
まあ、これもまた、依存率が増した、ヤンデレ妹なのだろう。
まだ、実行しないだけよしとしよう。
決して、ヤンデレの咲がかわいいとか、思っているわけではないからな?
「まあ、お兄ちゃんが、咲とこれから先も生きてくれるなら、咲はそれでもいいんだよ?」
「そうか、咲がそれでいいんなら俺も咲に彼氏ができるまでは、一緒にいてやるよ」
「そっか。安心した」
「何が安心かは知らんが、咲は年頃の女の子なんだ。ちゃんと恋愛して、幸せな家庭を築けよ」
そう言うと、うん。と、咲は笑顔で答えた。
「と、言うわけで、わんにゃんショーに行こう?」
「どういうわけかは知らんがいかん」
「な、なんでー!?せっかくの兄妹デートしよ?っていってるのに」
「お前な、そもそも、俺は、動物が嫌いなの。見たら殺したくなるぐらい嫌いなの。知ってるだろ?」
そう言うと、そうだった、そうだった。と言ってそのまま、俺の膝に頭を下ろす。
俺は、その頭をなでていると、咲が顔を俺の腹に額をあて、
「お兄ちゃんと血が繋がってないこと、咲は知ってるんだよ?」
そう言った。
「そうか。いつ、知ったんだ?」
俺は、至って冷静に返すよう試みた。
「中学を卒業した日。お兄ちゃんが寝た後でお母さんから、『よかったわね咲。来年お兄ちゃんと結婚できる年齢になるわよ? 』って言われた時に、冗談半分で『兄妹は結婚できないよー』って答えたら『あら、いってなかったかしら?貴女たちは、血が繋がってないのよ?』って」
かっる。お袋軽いなおい。てか、咲もなんで冗談半分なんだよ。半分は本気だったのかよ。
俺が親父から聞いたときは、もっと重苦しい空気で言われたぞ。
「まあ、それ以来本気で落としにいってるんだよ?」
「あ、それは知ってた」
そう答えると咲は頭をすごい勢いで上げ、ものすごい形相で、問い詰めてくる。
「じゃぁ、なんで咲の気持ちに答えてくれないのー!?」
「いや、ちゃんと答えてるだろ?妹だから恋愛対象に含まれてないって」
「咲たちは血が繋がってないんだから恋愛対象にいれてよ!!」
「それでも兄妹なのには変わりねぇよ。俺は、お前の幸せが一番大事なんだから」
「なら、結婚してよ!!」
「何がどうなってそうなった。てか、逆プロポーズかよ」
「だって、お兄ちゃんの事小学1年生のころからずっと好きだったんだよ?」
目に涙を浮かべている咲をシスコンである俺が見逃せるはずもなく、咲を抱き締めながら、頭を撫でる。
俺は、無言で続きを促して、咲の告白を聞く。
「そしたら、血が繋がってないってお母さんから聞いてさ。咲がどれ程舞い上がったか、お兄ちゃんに分かる?」
正直に言うと全く分からん。
「だから、絶対にお兄ちゃん以外の男の人になびくなんてありえないんだよ?それにさ、お兄ちゃんは咲にだけ優しいんだもん。でも、咲が三年生になると、お兄ちゃんは比企谷って人と仲良くなった。あの時はとても嫉妬したよ。比企谷って人を殺すか、お兄ちゃんの四肢を切り落とすか迷ったもん」
そこ、迷うところ違いますよ。てか、この頃から既に病んでたのか。
「でも、それから半年が経ったある日にお兄ちゃんが比企谷って人と関わらなくなった時は嬉しかったなぁ。これでまた、咲の為に一緒にいてくれるって思ったから。だから、咲の身も心もお兄ちゃんのなんだよ?」
―だから、比企谷って人と咲どっちが大事?
咲はそう訊いてきた。
「そんなの決まってる」
俺がそう言うと、咲は満開の花が咲き乱れる様な表情に変わった。が、
「比企谷からの制裁のが大事だ」
俺が続きを言うと咲の目からハイライトが消え失せゆらゆらとした足取りで、キッチンにいこうとする。
それを俺は、手首をつかみ引き寄せてそのまま、抱き締めた。
「だけど、俺の家族はもうお前しかいないんだ。だから、死にたいとか、殺したいなんて考えないでくれ。これ以上家族を失うのは嫌なんだ」
「じゃあ、お兄ちゃん。比企谷って人からの制裁を求めるのもやめてよ。咲にもお兄ちゃんしかいないんだよ?」
そう言われて、改めて認識した。
俺が、咲を唯一の家族だと思っているのと同時に、咲も俺の事を唯一の家族だと思っているということに。まぁ、それに思い人というのがついてくるのだが。
それなら俺は、どうしたらいいのだろうか?
俺は、俺の人生を捨てることで、はじめて比企谷に償えると思っている。
だが、咲には人生を投げ捨てるなと言われた。
そんな事を考えていると、咲から思いもよらない発言が飛び出した。
「そんな難しく考えないで、直接本人に訊いてみようよ」
「いや、それは無理だ。職場見学の時に思いっきり蹴った」
「でも、これ以上は、咲にも思い付かないよ?」
「だよなー。どうしよ」
と、これ以上はどう考えても、迷宮入り間違いないので、そのまま、咲を愛でることに神経を注ぐことにした。