クラス代表決定戦が終了した3日後。
「お引越しです!」
「「はい?」」
それは唐突に訪れた・・・山田先生が俺の部屋に?・・・てか違うな、主語が抜けてるから違うく聞こえるんだな。
「「山田先生、主語を言ってください。文章になってないです」」
おお、見事なユニゾンだな・・・息がピッタリだ・・・やっぱり結華と俺は相性良いんだな。
「あっ・・・はい、すみません。えーと、急遽転入してくる子が居てその片方が男子でですね・・・それで織斑くんと鉄装さんは恋人同士なので良いんですがどこをどう詰めても1人部屋が作れなくて・・・不本意なんですが鉄装さん引越しです」
・・・説明の後に主語の入った文章が来た。不思議な事もあるんだな。
「えーと、引越しは良いんですがどこにですか?」
「はい、隣の1027号室です。織斑先生に予備で1人部屋を用意しておけと言われたので・・・」
千冬姉用意周到だな・・・やる事成す事全てが万全だな。
「じゃあ、荷物が・・・と言っても服に本、後刀ぐらいしか無いんですけどね」
「か、刀!?それって真剣ですよね?・・・こ、このクラスには何人真剣を持っている人が居るんでしょうか?何本刀があるんでしょう?」
「たぶん3人だと思いますよ?・・・あ、4人かも・・・千冬姉が多分一本持ってるから、俺の『雪華』に結華の『鉄華』後箒の『緋宵(あけよい)』千冬姉のが・・・なんだっけ?」
「私の愛機と同じ名前の『暮桜』だ馬鹿者」
ズビシッ!っていう効果音が似合いそうなチョップが首に入った・・・千冬姉って言ったのが悪かったのか?それとも愛刀と愛機の名前を忘れられたのが駄目だったのか?文章的には後者だとは思うが・・・。
「どちらもだ馬鹿者」
なぜばれたし?以心伝心?使い方違うけど。てか何で両方?
「織斑先生?なんでここに?」
「何かあるのでは無いかと思ってな・・・来てみれば刀の話をしているではないか」
「はは・・・」
「織斑先生、1027号室の相部屋の人って誰ですか?」
「ああ、それはな氷乃夜 凛華だ」
「どーも」
いつの間にか氷乃夜さんが出て来ていたようだ。
「よろしくね?鉄装さん」
「ええ、よろしく」
「じゃ、織斑くんよろしくね?」
「よろしく氷乃夜さん」
「ああ、凛華で良いよ?私も一夏君って呼ぶから」
「分かった」
ううむ・・・初対面だと凄い楽だな。箒とか鈴とかは苦労したな・・・一番大変だったのは結華だったけど。中々心開いてくれなくてな、無視された時は泣くかと思ったぜ。
「・・・」
結華の刺さるような目線が凄い痛いし実際にも足踏まれて痛い。ばれたんだろうか・・・最近あるんだよな考える事が読まれる事・・・。
「結華?」
「なんでもない」
結華はそう言って足をどけてくれた・・・。
「じゃ、山田先生荷物まとめてきますので待っててください」
「はい」
そして5分ほどして結華は大きめのスポーツバックと右手の真剣を持って部屋から出て来た。持つなら左手に持てよ・・・結華右利きなんだからそれじゃすぐに抜刀出来ないじゃん。後、袋に入れろよ・・・山田先生怖がってんじゃん。
「そ、それだけですか?」
「ええ、そうですよ」
「少なすぎですよ!女の子なんだからもっとオシャレをしないと・・・」
言っても意味無いんだよな、それ。そもそも、服のセンス良いし顔も可愛いからオシャレする必要ないんだよな結華って。
「それでも――」
「山田先生、言っても無駄です」
「織斑先生・・・」
「元から着飾るなんてしないからな鉄装は。そのままなんだ」
「そうですか。あ、その荷物の量なら手伝わなくても良いですか?」
見ただけで手伝う必要性があるかどうかって話なんだよな。はっきり言って俺の荷物(服とかでは無く、調理器具)の方が多いからな。
「ええ、大丈夫です」
「そうですか。では、失礼しますね」
「問題を起こすなよ」
千冬姉と山田先生はいなくなった。千冬姉、問題って何?俺とか結華何かした?それとも凛華さんの方?
気付くともう既に周りには誰も居なかった。とても悲しい。
* * * *
そのの日の夕食後一夏と結華は箒に呼び出されたため寮舎の裏に来ていた。ついでに今日の分の手合いもしてしまおうと考え、お互い袴姿で一夏は『雪華』結華は『鉄華』を持って来ていた。もちろん、箒も既に来ていた、袴姿で『緋宵』も持って。
「で、何の用だ?箒」
「早めにね」
「ああ、分かっている」
箒は今まで少し下を向いていた顔を上げ、言った。
「今月末の学年別トーナメントだが私が優勝したら・・・」
「「優勝したら?」」
「ふ、2人は別れて、・・・い、一夏、私と恋仲になってもらう!」
学年別トーナメントは学年という制限以外特にない、参加型のIS戦のため専用機持ちが圧倒的有利だ。そこに箒が優勝できないと結華も一夏も思った。結華曰く「いきなりのルール変更でタッグ戦になって箒が専用機持ちと組めれば別」だそうだが。
「どうする?」
「一夏の好きにしていいわ」
「了解」
一夏は箒の方を向いて言った。
「いいぜ」
「ありがとう。もしダメでも諦めないが」
「そうか」
「うむ、それと今回から手合いに入れてもらっても良いだろうか?」
一夏と結華は少し黙って、そして同時に頷き、
「「いいぜ(わよ)」」
「すまないな、2人でやっていた事なのにいきなり入ってきて」
「いいさ、何人かいた方が楽しいかもしれないし・・・そのうち千冬姉も来るかもな」
「・・・そうなったらやめるわ」
全員笑ってから真剣な顔で向き直る。
「さて、今から使うのは実剣だ。遊び感覚でやってもらったら困るからな」
「分かっている。そもそも剣道自体遊びでやっているわけでは無い」
「最近はISにかまけて部活に行ってないけどね」
「そ、それは・・・」
「いいわ。順番は・・・もっぴーと一夏、私ともっぴー、最後に私と一夏で良いかしら」
一夏も箒も頷いて少し離れてお互いの得物を抜く。
「私が始めと言ったら開始ね」
再び無言で頷く2人・・・そして、
「・・・始め!」
「はぁぁぁ!」
「せぁぁぁ!」
一夏と箒が同時に走り出し、お互いの得物同士がぶつかりキィィィンと言う音が響く。そしてそのまま鍔迫り合いになる。
「ぐうっ・・・一撃が重い!」
「当たり前だ!」
「けど!」
一夏は雪華を片手持ちにして刀身を斜めにして相手の刀身を滑らせ箒にたたらを踏ませる――が箒は即座に向き直り再び一夏に斬りかかる。また鍔迫り合いになる。
「対応が早いなぁ箒」
「実剣を持ってるんだ緊張を抜けるわけ無いだろう」
「そう」
一夏は雪華を前に押し、自分を上に持ってくると思いっきり弾くようにして足も使って跳んだ。箒はその勢いで後ろに倒れてしまうがすぐに立とうとするが、もう首筋に雪華の刃の部分を突きつけられていた。
「・・・降参だ」
「当たり前だ・・・この状態は実戦なら無いしな」
「くっ・・・」
一夏は雪華を鞘に戻すと箒に手を差し出した。
「立てるか?」
「あ、ああ」
箒は若干頬を赤らめつつ一夏の手を取り、立ち上がった。
「さ、箒?次は私よ」
「ああ」
結華は鉄華を鞘から抜く。
「じゃ、俺が始めって・・・もう始めてるし」
言う前に始める、女子には始めも待ても無いのだ、あるはずも無いのだ。恋にも買い物にも全力でフルスピード。それが女子の基本だ。
箒が斬りかかり結華が受け流す。結華はしばらく攻勢に回ろうとはせず、防御に徹する。余裕が無いのではなく、余裕があるから避けて、受け流している。
そしてついに結華が攻勢に回る。鍔迫り合いになったところで思いっきり箒を突き飛ばし距離を取り、そして走って箒の横に滑り込んだ。直後、即座に立ち上がり後ろを取ると首筋に鉄華の刃の部分を突きつけた。
「チェックメイト」
「・・・」
箒は潔く負けを認めた。
最後は一夏と結華だ。結華は鉄華を鞘に戻すと一夏に放ってきたので一夏はそれを受け取る。結華はいつの間にか持って来ていた軍用の大きなナイフ2本を両手に持ち、構えを取っていた。
「(今日も二刀流ですか?)」
一夏は鉄華と雪華を抜き、自然体で構えた。
「な、何をするんだ!?」
「見ての通りだ」
「俺は二刀流、結華は二刀流短刀でやるんだよ。一刀対一刀よりもこっちの方が手数とフェイント、柔軟性、対応性が要求されるからな。最近はこっちの方が多いんだよ」
「もっぴー、カウント」
「あ、ああ・・・5,4,3,2,1,0!」
0のタイミングと同時に一夏と結華は走り出し一夏が右手の雪華で斬りかかるが結華は両手のナイフを交差させてそれを受けた――これで一夏の攻撃チャンスが来たが2人はそのまま鍔迫り合いになったままになる。
「どうしたのよ?」
「これじゃ、いつもと同じになっちまうからな」
一夏はそう言って結華の前に出ていた右足を払った。力をかけていた足がいきなり払われてバランスを崩し倒れかけるが左のナイフを鍔迫り合いから離し右手だけで雪華を支え左手を地面につけバランスを取りつつ一夏の軸足を払った。
「くっ!」
一夏は鉄華を地面に刺してバランスを取った。
「お互い、足払いは意味無いわね・・・」
「結華と二刀流で戦うとどうしても膠着しちまうな・・・」
一夏も結華も距離を取って仕切りなおしにした。
「んー・・・やっぱり一刀の方が手合いの時は楽だな」
「それでも、また襲われたらどうすんのよ?その場凌ぎで二刀流にする訳?」
「だよなぁ・・・」
直後、一夏が走り出し結華に斬りかかるが結華はそれを受け流し鋭い反撃を繰り出す。それが何度も続き徐々に互いの動きが緩慢になってくる。
「どうしたのよ一夏?動きが遅いわよ?」
「そっちも反撃が遅くなってるぞ?」
そしてその後に結華が受け流し損ね一夏が雪華を結華の首筋に突きつけた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「ふぅ・・・」
一夏は右手の雪華と左手の鉄華を鞘にしまって結華に返した。
「じゃ、これで終わりね・・・私は寝るわ・・・」
「俺も戻る」
「私もな」
3人はその後一言も喋らずに寮に入って行った。
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