IS 一つの夏と結ばれた華   作:見知らぬ誰か

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読んでる人・・・本当に居るんですかね?心配になってきました


第3章 疾風と黒き雨
第14話 転校生は金髪と銀髪


「やっぱりハズキ社製のがいいなぁ」

「そう?デザインだけって感じがするけど」

「そのデザインが良いんじゃない!!」

「私はミューレイのスムーズモデルかな」

「物はいいけど高いよね・・・」

 

 クラスではまもなく始まるIS実習のISスーツのカタログを持った女子がわいのわいのと少し騒がしかった。

 

「そう言えば織斑くんのと鉄装さんのってどこの?」

「俺のためにどッかのラボが特注で作ったらしい。元はイングリッド社のストレートアームモデルって聞いた」

「私はグラウス社のウイングモデルだったかしら?少しカスタムしてあるけど」

 

 ISスーツはIS展開時に体に着ている特殊フィットスーツの事。無しでも動かせないわけではないが反応が遅れるのだそうだ。確か肌表面の微弱な電位差でISに動きをダイレクトに送っているのだとか・・・これさえあれば義手義足技術も進むんじゃないだろうかと俺は思う。

 

 何はともあれ朝のSHRが始まる。今日の担当は山田先生のようだ。

 

「今日は転校生を紹介します!しかも2人ですよ!」

 

 教室がざわざわとし始める。俺は結華に小声で話し掛ける。

 

「この時期に転校生?」

「何かあるわね・・・しかもこのクラスばっかりに専用機持ちが集中してる気がするわ」

「しかも、結華の部屋替えで片方は男だな」

「多分だけどフランスじゃないかしら?」

「第3世代型ISのデータ取りにかな・・・アメリカの可能性も捨てられないし、『イグニッション・プラン』でドイツとかイタリアのも」

「それでもフランスの線は濃いんじゃないかしら?」

「・・・」

 

 そして、山田先生が言った。

 

「では、入ってきてください!」

 

 教室のドアが開いて2人の転校生が入ってくる。金髪と銀髪だ、そして金髪の方は男だ。そして、クラスのざわめきは一瞬で収まった。

 

「さて、男はどこからかしら」

 

 結華が小声で言った。

 

「では、自己紹介をお願いします」

「フランスから来ました、シャルル・デュノアです。この国で不慣れな事も多いですがよろしくお願いします」

 

 結華のように言うならば『当たり』だろう。まず、フランスのデュノアの時点で確実だ、かつニコニコとはしているが少し陰りが見える・・・何か隠し事をしているのは確実か。

 周りは黄色い歓声でうるさいが、そこに結華が小声で話し掛けてくる。

 

「どう見える?」

「男にしか見えないけど」

「一夏、多少は警戒して置きなさいよ」

「ああ、分かってる」

 

 そこに千冬姉の叱責が飛び静かになる。

 

「自己紹介をしろラウラ」

「はい、教官」

 

 ・・・ドイツに行っていた時代の教え子だな、これも結華の思ったとおり。恐らくイギリスの下見かな・・・そのうちイタリアからも来るんじゃないだろうか。

 

「ここでは織斑先生だ。わたしはもう教官では無いのでな」

「はい」

 

 もうそろそろ、自分のことについて話してくれよ千冬姉。一番謎なのが家族っておかしいだろ・・・結華もそうなんだけどさ、それは結華は知らないからいいけど。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「えーと、終わりですか?」

「以上だ」

 

 つまらない奴。そんな考えが分かったのか俺と目が合う。

 

「!貴様が・・・」

 

 なにやらツカツカとこちらにやってくる。目の前に来ると右腕を横に持ってきてビンタしようとしていたため振り抜かれる所を相手の力を利用して一回転させて倒す。

 

「いきなりビンタなんてドイツにはそんな慣習があるのか?」

「くっ・・・」

 

 今度は右腕にISを部分展開して手刀のようなエネルギーブレードで斬りかかって来る。それを右腕と雪乱を展開してエネルギーブレード発振部のみを斬りおとしすぐに収納する。

 

「ドイツの人間って沸点が低いの?」

「認めない、お前があの人の弟であることなど」

 

 他人が決める事じゃないだろ。そんなの。

 

「そこまで、これでHRを終了する。各人ISスーツに着替え第2グラウンドに集合。今日は2組と合同でIS模擬戦を行う。解散!」

 

 俺は足ち上がり、デュノアの方に行く。

 

「よろし・・・」

「それは後、このままだと女子が着替え始めるから」

 

 俺はデュノアの手を取り、教室から出る。確か今日は第2アリーナの更衣室が空いている筈。俺は全速力(そうでなければ質問攻めに遭い、授業に遅れる)で1階に降りる――がもう既に壁が出来ていたから仕方なく新聞部の部長の黛先輩を探す――その人はすぐに見つかりそこにダッシュ。即話し掛ける。

 

「先輩、俺とデュノアのインタビューで」

「見返りは?」

「この壁無くして」

 

 黛先輩はすぐに生徒を教室に戻し、最後に俺とデュノアにウインクして帰っていった。

 

「ふう・・・」

「まるで珍獣扱いだね」

「ま、仕方ない。とにかく宜しく。一夏って呼んでくれ」

「うん、僕もシャルルって呼んで」

 

 そして、余裕を持たせるために急いで第2アリーナに移動する。その道中様々な事を説明してようやく到着した。

 

「少し急いだ方が良いかな」

 

 俺は一気に上着を脱いでしまう。

 

「うわぁ!」

 

 シャルルが驚いている・・・なぜそこまで驚くのだろうか?

 

「こ、こっち見ないでね?」

「ん?ああ」

 

 俺はさっさと着替えてしまおうと思い少し急ぎ足で着替えた。時間にしておよそ3~4分程度だろう。

 

「よし、終了・・・ってシャルル早いな」

 

 中に予め着ていたんだろうな・・・俺もそうしようかな。

 

「そ、そう?」

「ま、いいや行こうぜ」

 

 更衣室を出て俺とシャルルはグラウンドに向かった。

 

「それにしても心強いな」

「なんでかな?」

「いや、同性が居ると落ち着くというか・・・」

「ふうん」

 

 何はともあれ俺たちはグラウンドに到着した。

 

「少し遅かったわね」

 

 一夏の隣には結華が居た。

 

「道が混んでたんだよ」

「嘘っぽいわね」

「事実だよ!」

「元から疑って無かったわ」

「なら言うなよ」

 

 そして授業が始まった。

 

「では、本日から格闘および射撃を含む実戦訓練を開始する」

『はい!』

 

 これまでは1クラスずつの実戦訓練だったために人数が2倍になると声が大きく感じる。

 

「今日は実演をしてもらう。織斑、鉄装前に出ろ」

「「はい!」」

 

 俺と結華は前に出た。すると千冬姉から小声でこんなことを言われた。

 

「手加減をしろよ」

「「はい」」

 

 まったく無理を言ってくれるなと思う。

 

「それで、相手は誰ですか?」

「ああ、それはな――」

 

きぃぃぃぃん・・・

 1人しか当て嵌まらないな。1組の副担任の山田先生だ。

 

「ど、どいてくださーい!」

 

 しかも上から降ってきた。

 

「織斑、避けんか」

「え、あ・・・はい」

 

 俺は山田先生が降って来る所から2メートルほど避けた。直後、俺の居た場所に山田先生が落ちてきた――というのは間違いで難なく姿勢制御をしていてしっかりと地面に足を着いていた。

 

「山田先生だ。これでも元代表候補生だからな」

 

 ・・・勝てるはずが無い。どこを考えて手加減をしろと・・・一撃くらいは・・・その一撃か?零落白夜と絢爛礼奏を使わなければ良いんだよな。

 

「では、はじめ!」

 

 俺と結華は一気に上空に飛翔し山田先生もそれに着いて来る。

 

「結華、後方支援頼むぞ」

「もちろんよ」

 

 俺は雪片弐型を右手に呼び出すと山田先生が撃って来た銃弾を全て叩き斬った。その間に結華がサブマシンガンで援護射撃を行い山田先生の動きを制限させる。

 その間に俺は山田先生の懐に入り込むが山田先生の姿が一瞬で消えた。

 

「後方への瞬時加速!」

「まだまだですよ!」

 

 山田先生は両手にサブマシンガンを装備し武装担架にも2丁サブマシンガンを展開する。

 

「行きなさい!」

 

 4つの砲口から大量の銃弾が放たれるが俺は全てを叩き斬った。結華はサブマシンガンからガトリングに替えて支援射撃していた。

 俺も一気に距離を詰めるべく瞬時加速を使う。

 

「うぅおおぉぉぉ!」

 

 結華の射撃で動きが制限されていた分山田先生は回避行動が出来ず、もろに俺の攻撃を喰らう。

 

「すばらしい連携密度ですね。訓練などをしているんですか?」

「実はしていません。全てアドリブです」

「それは驚きです。でも、奥の手が私にはまだありますよ?」

 

 山田先生は両腰のハードポイントにあるレール状の物を展開した。・・・まさか・・・。

 

「そのまさか、『レールガン』です」

 

 俺は制御スラスターを使って瞬間瞬時加速を行い山田先生の背後に回ると両腰のレールガンを基部から切り離した。

 

「その高等技術の飲み込みの良さ。驚きますね」

「ありがとうございます」

「そこまで!」

 

 千冬姉のその合図でこの模擬戦は終了となった。地上に降りた俺と結華はこつんと出席簿で叩かれた。

 

「手加減しろと言っただろうが」

「・・・すみません。しすぎたら負けるような気がしたので・・・」

「あのまま続けていてもお前らの勝ちだったろうが・・・」

 

 千冬姉は生徒たちのほうを向くと、

 

「さて、少し微妙だがこれで諸君にもIS学園職員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接するように」

 

 千冬姉がぱんぱんと手を叩いて皆の意識を切り替える。

 

「専用機持ちは織斑、鉄装、凰、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒだな。では10人グループになって実習を行う。各グループのリーダーは専用機持ちが行う事。いいな?では分かれろ」

 

 当たり前と言うかなんと言うかやはり俺とシャルルの所に1、2組の女子が集まってきた。少しは結華のところに行っていたりする様だがどの道俺とシャルルのところが多すぎる。

 

「この馬鹿者どもが・・・。出席番号順に1人ずつ各グループに入れ!順番はさっき言った通り。次にもたつくようなら今日はISを背負わせてグラウンドを100周させるぞ」

 

 千冬姉の鶴の一声で2分間であっという間に6グループが出来上がる。

 

「最初からそうしろ」

 

 個々の場所で千冬姉に聞こえない程度の声の大きさでおしゃべりが開始された。

 

「・・・やった!織斑くんとだ」

「・・・鉄装さんあとで織斑くんのこと教えてね」

「・・・凰さんって織斑くんの幼馴染みなんだっけ?」

「・・・オルコットさん、専用機の乗り心地ってどんな感じなの?」

「・・・よろしくねデュノアくん」

「・・・・・・・・・」

 

 一番というか誰も喋らないのはラウラ班だ。何かかわいそうに見えてきた。

 とにかく俺はこのまま何もしなければ千冬姉の出席簿で叩かれるので、実習のために『打鉄』を持って来て、前に立っている10人に言った。

 

「えーと、一番最初は誰?」

「出席番号1番!相川清香!ハンドボール部!趣味はスポーツ観戦とジョギングだよ!」

「そうやって時間掛けるのも良いけど織斑先生来て特別講習・・・なんて事になり兼ねないし」

 

 俺はそう言ってシャルル班を見たそこにはシャルルの前に右手を出してお辞儀をしている10人の姿があった。シャルルはどうすればいいの?という視線をこちらに向けるが何とも言えない状況だ。

 スパーン!

 

『いったああっっ!』

 

 俺が織斑班の女子を見ると顔は青褪めていた。俺はシャルル班の女子に合掌してから打鉄があるほうを向く。そこでは既に相川さんが打鉄の外部コンソールを開きステータスをしていた。

 

「さて、まあそんなこんなで始めようか相川さん。何回かはISに乗ったよな?」

「うん、授業でだけど」

「なら問題は無し。とりあえず装着して起動までやろう。次官はみだしたら放課後居残りだし」

「そ、それは拙いわね!」

 

 そして1人目の装着、起動、歩行は問題なく進んでいく。特に問題なく進むと思い結華の方を向いたのが間違いだった――2人目の装着時にちょっとした問題が発生したのだ。

 

「いや、あのさ、コックピットに届かないんだけど」

「あ!あ~・・・」

 

 やってしまった。自分が専用機持ちだからすっかり忘れていた訳では無く、結華の方を見ていて注意を忘れてしまった。訓練機を使う場合は装着解除時に絶対にしゃがまなければいけないのだ。立ったままISの装着解除すると当然立ったままの状態になってしまう。

 

「どうかしましたか?」

 

 ここで山田先生の登場のようだ。ISはもう既に解除していて服装は胸のラインを大きく開いたISスーツのままだ。目のやり場に困るが結華はまともに嫉妬なんてしないしもはやこれ以上の状況が同室の時は完成していたので普通に先生の正面を向いて話す。

 

「いや、ISをしゃがませるのを忘れてしまいまして」

「あーコックピットが高い位置で固定されてしまったんですね。それじゃあ、仕方が無いので織斑くんが乗せてあげてください」

「え・・・?」

「な、なに?」

「えええ~っ、超ラッキー!」

 

 順番的に言えば俺、箒、2番目の人(名前は忘れた)。

 

「それが一番楽ですので」

 

 ここで俺が名案(?)を思いつく。

 

「山田先生、俺が乗ってしゃがませるっていうのじゃダメですか?」

「時間を掛けてもいいと言うのであればですが」

「分かりました」

 

 はっきり言って、結華があまり嫉妬しないにせよ女子とのボディータッチは出来るだけなら避けたいところだ。

 俺はよじ登る様にして打鉄のコックピット部に上ると装着し起動させしゃがませて装着解除した。

 

「初めからこうすればよかった」

「ちぇー」

 

 そうしてその後は特に何事も無く進み、午前授業終了時。

 

「これで午前の実習を終了する。午後は今日使った訓練機の整備を行うので各人格納庫で班別に集合すること。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散!」

 

 何とか時間ギリギリに終わらせた俺たちの班は全力疾走でISを格納庫に運びまた全力でグラウンドに戻ってきた。時間ギリギリだったので遅れたら鬼教師に何を言われるか分かったものではない。

 そんなこんなで連絡事項を言い終えると千冬姉と山田先生は一緒にさっさと下がってしまった。

 

「シャルル、一緒に戻ろうぜ」

「ごめん先に行っててくれる?機体の微調整したいから」

「待つけど?」

「いいから先に行ってて?ね?」

「お、おう」

 

 シャルルに強く言われ俺は1人で更衣室に戻っていった。




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