「あ、織斑君こんなところに居たんですね……探しましたよ」
「山田先生?どうしたんですか?」
1年食堂の一夏達の居るプライベート席に理由は分からないが真耶が来ていた。
「はい、織斑君に朗報です!!」
「朗報?」
一夏としては特に現状不便な事は無く、朗報と呼ばれるものは無いのでは?と思ったがとにかく聞く事にした。
「で、その朗報とは?」
「はい、漸くスケジューリングが合ったので男子……いえ、織斑君のための大浴場が解禁されます!!」
「え?そうなんですか?大浴場については何も触れられなかったのでてっきり入れないんだと思ってたんですが……」
そこで真耶が『あれ?』といった表情をする。
「山田先生、どうしたんですか?」
「いえ…………大浴場の件は鉄装さんに説明しておいたのですが……聞いて無いですか?」
真耶が首を傾げつつ一夏に聞く。それを聞いた一夏は所謂『マンガ肉』をすごい勢いで肉を喰らい骨のみにしている結華に視線を向けるが……結華は顔を逸らし窓から見える夜空を見ながらもマンガ肉を食べていた。
「結華……?」
「…………忘れてたわ」
「俺にとっては重要事項なんだけど!?」
「……良いじゃない。入らなくても死ぬわけじゃあるまいし……」
「いや。心のケアとか癒しとかさ……」
「じゃあ、一夏は私じゃ癒されないって言うの?」
「結華の『癒し』と風呂の『癒し』は別ジャンルだ!!」
「それくらい分かってるわよ……まったく、一夏の少し驚いたような顔が見たかっただけなのに何で怒られているのかしら……」
「……業とかよ」
そこに靴音を立てて千冬も来る。
「一夏、それぐらいにしておけ。結華だって悪気があったわけじゃなかろう」
「あ、ああ……」
「ほれ、2(・)人(・)と(・)も(・)一緒に風呂に入って休んで来い」
「おう……ん?」「分かったわ」
一夏は返事をした後に違和感を覚えたが……結華に引き摺られそのまま大浴場の脱衣場にイン。着替えなどの物は結華が蒼華の拡張領域内に格納していたため部屋に戻る必要は無く、一夏は流されるがままに大浴場へと足を踏み入れた。
「おお……」
大浴場はとても和風で、とても心落ち着く場所だった。
サウナに大風呂、水風呂、露天風呂、炭酸泉、硫黄泉、放射能泉、岩盤浴に砂湯……果てには天然温泉が沸いているという無駄な設備……湯船には木桶だったり五右衛門風呂だったりと多種多様……どこもかしこも無駄な設備のオンパレードだった。
「天然泉とか掘るのにどんだけ掛かるんだよ……」
一応言って置くが『IS学園』の設備を作ったのは日本1国で、他の国は何の出費もしていない。つまり、日本を挙げてこの施設群(IS学園)は作られているのだ。
「……税金の無駄遣いよね」
「ああ、そうだな……」
一夏は入った直後に一夏式入浴法でさっさと体を流していたため結華と共に大風呂に入る。
「ふぅぅぅぅぅ…………極楽極楽……」
「随分久方ね……足の伸ばせる大きな風呂は」
「弾たちと行った時はゆっくり浸かってる暇は無かったからな……」
あの日のことを遠い目で話す一夏。それもそのはず、一夏にとっての風呂とは『体と心を休める場』であり、あの日の風呂はそれとは程遠く逆に疲れるレベルだったのだから。
「弾たちと別れた後、一夏1人で入ってた物ね……」
一夏が1人で男風呂で浸かっている間、結華も女風呂から移動した混浴風呂に浸かっては居たが、一夏は当然来るはずも無く結華は1人寂しく風呂に浸かっていた。鈴音、弾、数馬はその間ゲームコーナーで遊んで居たり、卓球をしたりしていたようだが一夏と結華には関係の無い話だ。
「んー…………癒されるなぁ……」
「……確かにね」
2人は一時静かな時間を過ごした。
その間聞こえてきたのは湯気が天井に当たって水滴となり床に落ちた音のみが響いていた。この浴場には音楽を流す設備があるが、一夏はそれをオフにして静かな時間を過ごした……この時、音楽と言うよりも音響に『自然音』などがあるとは知らずに……
「一夏、良かったの?」
結華が唐突に一夏に聞いた。一夏はその質問の意味が分からずに『何が?』と聞き返した。
「……シャルとの養子縁組……と言うよりも私との結婚」
「何だよいきなり」
話の趣旨がうまく見えずに少し困惑する一夏。
……正しくは、結華のシュンとした様子にであったが……
「……一夏、実は私に押されて結婚を認めたんじゃないのかなって……」
「なんだっていきなり……」
「だって、一夏って『常識』に結構厳しいじゃない」
「……一般常識だけだろ」
完全には否定しきれない一夏。姉が千冬だからか常識には煩い性格ゆえに結華の言葉を完全に否定は出来なかった。
「でも……」
「俺は結華が好きだよ。結華に押されたからとか、そんな理由で結婚なんかしない……これは絶対だ」
「そう……良かったわ」
結華は微笑む、一夏はその顔が見れたのは何時振りだろうかと思った。
IS学園に入学して以来、結華の笑っている姿を見た事はある。大笑いしていたりといった結華らしくない笑い。無論、一夏にはその『結華らしくない』というのは一夏の認識であって結華自信の認識で無い事は分かっている。だが、一夏には大笑いしているときの結華ではなく微笑んでいるときの結華の方が好きだった。
「どうしたの?私の顔をじっと見つめて」
「あ……いや……」
たじろぐ一夏に結華は再び微笑んだ。
「ふふ……一夏は私が微笑む顔が好きよね」
「ッ!?」
心を見抜かされたような……そんな結華の一言に一夏は驚く。
「何驚いたような顔してるのよ……てか、一夏の顔に出てたわよ?」
「何が?」
「『俺は結華の微笑んだ顔が好き』って」
「噓を吐け」
「噓なんかじゃないわ。ほんとよ」
結華はそう言って一夏の唇に部屋が別になってからしていなかったキスをした。それも、一夏の舌と結華の舌を絡ませるような大人のディープキス。
数十秒それが続いた頃にようやく結華は一夏の唇から自分の唇を離した。2人の唇の間には糸が引いていた。
「……久しぶりの一夏の唇貰ったわ」
「ははは…………」
と、ここで結華はある事に気づいた。とある一夏の変化に……
「一夏……」
「なんだ?」
「えーと……何て言うか……その……」
「何だよ、はっきり言ってくれよ」
結華はこの事に一夏が気づいてまた見れなくなるのではないかと思ったが、それでも意を決して言った。
「私の裸……漸く直視出来るようになったのね」
「え……あ……確かに」
「一夏の中で何かが変わったのかしら?」
「んー……どうなんだろうな……俺には分からない」
「そ、まぁ良いわ」
「ちょっ……!!」
結華はそのまま一夏に抱きついた。
……意図せずしててっそーさん視点……悪くは無いけど最近地の文が減っているような気がする……ケータイで執筆してた頃はそこまで多く無かったような気がするんだけどなぁ……
つか、文字数少ない……これは非常事態だ……