IS 一つの夏と結ばれた華   作:見知らぬ誰か

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すみません!しばらく放置してしまいました!短いですが少し勘弁して下さい!
遅れてしまった理由についてはあとがきにてお伝えします!
短くはありますが楽しんでいただけると幸いです!


第32話 一時の安らぎ

「静かね……」

「そうだな」

 

 結華は流されないようにロープでブイから離れないようにした浮き輪マットの上に仰向きに寝ていた。

 一夏は浮き輪を背にして浮いている。

 

「学園は喧しいからな」

「あんたはどこまで私色に染まるのよ」

 

 一夏は唸る。これまで、結華に合わせてきたような気もするし、その結華のやっていたことは自分でも落ち着けるものだったような気がするとも思った。

 確かに結華に好かれるために合わせていた節もあるが、結果的には一夏もそれが心地良くなっていた。

 

「年取ればそうもなるって」

「そう、一夏は私が小さな頃から年寄りだって言いたいのね?」

 

 結華にギロリと音が聞こえるほど睨まれた一夏は瞬時に理解する。

 これは落とされるな……と……

 気づいた瞬間には一夏の口が結華の口で塞がれ、一夏はそのまま押されて海に落ちた。

 一夏はすぐに海から浮き上がる。

 

「何するんだよ?」

「こういうのも良いでしょ?」

 

 結華はニヤリと笑った。

 

「いつまでも同じだとマンネリ化してお互いに冷めるし」

「そう言うことかよ」

 

 一夏は結華の寝ているマットに上がろうとして……海水で濡れていた手が滑った結果……

 

「うぉっ!」

「キャッ!?」

 

 結華の胸に顔をうずめることになった。

 結華はジト目で一夏を見ながら言った。

 

「何してるのよ」

「あー……いやー、そのー……」

 

 タジタジになりながら何とか言い訳を考える一夏。その姿を見た結華は一つ息を吐くと言った。

 

「マンネリ化なんて、私達の間では関係ないわね」

「ん?どういう意味だ?」

「何でもないわ」

 

 結華は一夏の頭を抱くと自分の胸に押し付けた。

 一夏にその感触を覚えて貰うように強くも優しく、そして全てを抱き込むかのように……

 

「……結華?」

「なに?」

「いや、何でもない」

「何よ……」

「いや、何でも無いって」

 

 その後、結華はどうにか聞き出そうとしても答えなかった一夏の頭をそのまま胸に抱いたまま2人は暫く海に浮かんでいた。

 

※─※─※

 

 鈴音は体力作りのために浜から遠泳を行っていた。

 軍に所属し、体力もしっかりある鈴音が体力作りをしているのには理由がある……それはひとえに代表候補生として、IS操縦者としての意地だ。

 鈴音はIS学園在校の候補生の中ではかなり実力があるが鈴音が気にしているのは代表候補生との戦績などではなく一夏と結華との戦績だ。

 鈴音の本国はIS学園での成績は気にしていないと鈴音にスッパリて言っている。だが、鈴音としては操縦者になりたてのあの2人に負けるのは候補生として操縦者先輩として恥ずかしかった。

 一夏も結華もそんなことを気にすることなく、代表候補生の技術や高等技術を次々と習得して強くなっている……鈴音としてもそれは嬉しいが、何というか先輩として立つ瀬が無かった。

 

「……別にアイツらを負かしたい訳じゃ無いけどさ……弱者に留まり続けるのは趣味じゃないし」

 

 極論言えばこれだった。

 負けること自体は別に鈴音にとって些末な問題でしかない。問題なのはその負けることに何もせずに居ることだ。

 鈴音は努力家だ。中学2年で本国に戻って高校に入る前までに代表候補生に選ばれるレベルぐらいの努力はするし出来る人間だ。

 だから自己鍛錬を怠り負け続けるのは嫌だった。

 

「ふぅ……」

 

 鈴音は一度泳ぐのを止めて周りを見回した。

 来た方向には浜がある、目印にしたものが真後ろにあると言う事は潮の流れに流されることなくまっすぐに泳げたと言う事だ。

 鈴音は自分の体力と感覚が衰えていないことに満足して周りを見回した。

 空に雲はなくサンサンと太陽が光を放ち、海は荒れることなく静かだ。

 

「あ…………」

 

 鈴音が声を出した。何故なら見つけてはいけなかったものを見つけてしまったから。

 視線の先には一夏の顔を胸に抱いた結華の姿。結華の顔は憤怒ではなく微笑……鈴音にはこの微笑みに覚えがあった。

 

(本当の意味で嬉しそうね、結華)

 

 結華が声を出して笑うことや普通に笑うこともあるが、そのどれもが結華の心からの笑みじゃないのを鈴音は知っている。

 結華の微笑みは一夏にのみ向けられた顔なのを鈴音は中学2年の本国に戻る直前時に知った。

 

(しっかりやんなさいよ一夏、結華……)

 

 鈴音は砂浜の方を向くと一夏たちから離れるように泳いでいった。

 

・―・―・―・―・―・―・―・

 

 時は流れて夜。臨海学校に来た1年生全員は大広間で夕食を食べていた。

 夕食のメニューは刺し身と小鍋、山菜の和物2種類、赤出汁味噌汁、お新香と聞いただけでは普通に聞こえるが刺し身は赤真鯛、ヒラマサ、カワハギ、伊勢海老、マダコ、アワビ……マグロがないのはおそらく旅館の人たちがありきたりすぎると思い外したのだろう。だがどれもマグロよりも美味しい……一夏は本わさとともに刺し身を食べながらそう思った。

 

「この風味が良いわよね……わさびって育てられるんだっけ?」

 

 結華が一夏に聞いてくる。

 

「わさびを栽培するのか?」

「だって刺し身は本わさの方が美味しいじゃない」

 

 そうにこやかに右隣で笑う結華。左隣にはものすごい仏頂面をした箒が座っている。

 

(なぜ、私ではなく結華なのだ……まぁ、良い。明日になれば結華は絶望を見るのだからな……ククッ)

 

 箒は内心そんなことを考えながら夕食を食べていた……それが在らぬ狸の皮算用だとも知らずに。

 

「いや、それはそうだけどわさびって自生してるものだろ?」

「栽培してるところもあるみたいよ」

「専用の設備とかどうするんだよ?俺達に金は無いぞ?」

「そこが問題よね……」

 

 一夏と結華はそんな他愛もない話をしながら夕食に舌鼓を打っていたところに大広間の襖が開く。

 

「あー……少し静かにしろ」

 

 大広間の入り口に立ってマイクを手にした千冬が一言そう言っただけで大広間の1年生は全員黙り、千冬の方を向いた。

 

「専用機持ち全員は8時半に私の部屋に来い、少し話がある。夕食を中断させて悪かったな」

 

 千冬はそう言うと広間の襖を閉めて居なくなってしまった。

 

「何かしら?」

「さぁ?」

 

 一夏にも結華にも、ましてや他の専用機持ちにも呼び出されることは覚えがなかった。

 




……さて、大した長さになっておらず申し訳ございません。他のことにうつつを抜かしておりこちらの執筆が疎かになっていました……
そのうつつというのもオールドタイプ様との合作を行っており、遅れてしまいました……申し訳ございません。
ですが、その合作もいい感じに進んでおり現在執筆及び週末投稿を行っている状況にあります。興味のある方などは読んでいただけると幸いです!

小説紹介のコーナー
オールドタイプ様との合作作品『彼女(メカニック)は空を舞う』
URL→http://novel.syosetu.org/39068/
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