IS 一つの夏と結ばれた華   作:見知らぬ誰か

38 / 42
第35話 緊急事態

 倉持霞と篠ノ之束の邂逅があったあとも何の問題もなく試験装備の試験運用は進んだ。

 一夏は見ているだけだったがセシリアのブルーティアーズ強襲用高機動パッケージ『ストライクガンナー』、鈴音の甲龍機能増幅パッケージ『崩山』、シャルロットのラファール・リヴァイヴ カスタムⅡ世代向上パッケージ『シルフィード』、ラウラのズィルヴァシュヴァルツェス・レーゲン機能大幅拡張パッケージ『ダンクェルリリィ(闇の百合)』、簪の打鉄弐式機能拡張パッケージ『憑黄泉(つくよみ)』……そして随分と前にインストールした結華の蒼華高機動パッケージ『晴雷(じょうらい)』。

 結局パッケージの試験が必要なかったのは一夏だけで、他の専用機持ちが装備の試験運用をしている間一夏は延々と訳の分からないことを言い立てる箒の話を聞かされることになった。まるで先の束の言っていたことも聞いていなかったかのように……

 全員の装備の試験運用が半ば辺りまで来た時、箒の纏っていた紅椿のフィッティングとパーソナライズが終了した。束がある程度の箒のデータを入力していたためそこまで時間は掛からなかったようだ。それでも、1時間近く掛かっていたのは機能制限されていたからか。

 

「姉さん」

「お、終わった?じゃあ、性能の確認に行こうか。まずは飛んでみて」

「分かりました」

 

 箒は紅椿をPICで一度浮かばせるとスラスターを吹かして飛んだ。速度はラファール・リヴァイヴよりも少し速いというレベルで性能が1/10に落とされているにしてもそれなりに速い速度だった。

 

「どう?イメージ通りに動くでしょ?」

「遅い気がします」

「レスポンスに関してはリミッター掛けてないからそこは箒ちゃんの感覚の問題じゃないかな」

 

 箒は少し自由に飛んでみるが……イマイチ納得できなかった。

 

(遅い……これでは結華の蒼華に追い付けないでは無いか!姉さんも無粋なことを……)

 

 束は箒の内心も考えずに次の説明に移った。

 

「じゃ、武装の説明をするよ~。箒ちゃんが右に持っているのが雨月、左手に持っているのが空裂だよ~」

 

 紅椿を纏う箒が両手に持っているのは日本刀型の武装『雨月』『空裂』。束はそこに説明を入れる。

 

「雨月は対単一用の武装で打突に合わせてエネルギー波を放出して攻撃できるよ。射程はまぁ、アサルトライフルぐらいかな?狙撃できるだろうけど威力はお察しだね」

 

 箒が右手の雨月で打突を繰り出すとエネルギー波が幾つもの球体となり刃から放たれ雲を穴だらけにする。

 

「でー、左手の空裂は対集団用の武装で空裂を振るった範囲に自動的にエネルギー波を帯状に放出するんだー」

 

 箒が空裂を振るうと束の言葉の通り帯状にエネルギーが放出され雲を引き裂いた。

 

「この2つは出力は多少抑えてるけど機能自体は封じてないから良いかな~……あ、ゆーちゃん!」

 

 束が突然何かを思い出したように結華に話しかける。

 

「何ですか?束さん」

「すっかりゆーちゃんへのプレゼント忘れてたよ~!」

「あれ、本当の話だったんですか」

「え~!?信じてなかったの~!?」

 

 ハイパーセンサーでその話を聞いた箒は額にシワを寄せる。

 

(何故結華にまで……姉さんはなんであそこまで結華に肩入れするのだ……)

 

 束は頬をパンパンに膨らませて結華に言い立てる。

 

「もー!なんで信じてなかったのさ!?」

「信じる必要もないかと……」

「ゆーちゃんひどーい!」

「まぁ、あるんですよね?そのプレゼントやら」

 

 束はその言葉を待っていたとでも言わんばかりにニカッと笑って腰のところから謎のプラグとコードを取り出して言った。

 

「じゃ、蒼華展開して?」

「分かりました」

 

 結華が蒼華を展開すると束がプラグをぶっ挿す……白式にやったのと同じように。

 

「ゆーちゃんへのプレゼントは~……」

 

 束はキャハッと笑って一度話を切ってから言った。

 

「面白可笑しい武器セットだよ」

 

ライフル『Au-B-A17』

ハンドガン『AU13 Kobold』

スナイパーライフル『KURETAKE mdl2』

ガトリングガン『AM/GGA-206』

バトルライフル『AM/BRA-125』

ヒートマシンガン『Au-V-G37』

パルスマシンガン『AM/PMA-139』

レーザーライフル『X000 KARASAWA』

ブレード『MURAKUMO』

ヒートパイル『Au-R-F19』

レーザーブレード『X100 MOONLIGHT』

レールキャノン『ARATAE mdl2』

3連スナイパーキャノン『AM/SCA-219』

単発スナイパーキャノン『YAKUMO mdl2』

単発スナイパーキャノン『AU22 Krait』

 

グレネードキャノン『OIGAMI』

 

 束が蒼華の拡張領域(バススロット)を拡張すると同時に量子変換(インストール)したのは束の家にあった古きゲーム筐体PS3(正しくは束がそれそのものを再現し作りなおしたもの)のゲームソフト『アーマード・コア ヴァーディクトデイ(ACVD)』の武器群(結華が主に使っていたもの)と『アーマードコア フォーアンサー(ACfA)』の最高のロマン武器だった。

 OIGAMIは肩に担架するような形で展開され、束のオリジナルギミックで3つ折り状態で終わらせ両肩にOIGAMIを装備するなんていう馬鹿なことまでしていた。

 

「……束さん」

「何かな?」

「やり過ぎです」

「良いじゃん!面白ければいいでしょ!?」

 

 結華は唖然としながらもまぁ、いいかと思った。

 

「武器の性能はほぼリアルに仕上げてるからゲームとほぼ同じ感覚で使えるはずだよ」

 

 結華は右腕に単発スナイパーキャノン『YAKUMO mdl2』左腕にスナイパーキャノン『AU22 Krait』を展開した。普段は二つ折り状態で展開され使用時に砲身を展開する仕組みだ。

 

「IS用に一部仕様は変更してるよ。構え必要なし……だけど、ISのハイパーセンサーによるリンクは出来ないようにしてるから完全マニュアルで頑張ってね~」

「他の武器は?」

「センサーリンクあり……だけど狙わなきゃ当たらないのはゲームと変わらないね」

 

 結華は右腕のYAKUMO mdl2を展開して水平線の彼方を照準した。

 

(風は微小……その他弾の逸れる要素は特に無し……発射)

 

 弾は直進し海の向こう側に消えた。今回結華が撃ったのは曳光弾と呼ばれる弾がどこに飛んでいっているのかを確認する弾で光を放つ弾だ。それが水平線ぎりぎり上を通ってそのまま消えた……それはつまり射程が5キロ以上もあるということだった。

 

「随分飛んだね~」

「5キロ以上も直進するとか巫山戯てるんですか?」

「だったらもう1つの方はどうなるの?」

 

 束は結華の左腕のAU22 Kraitを見る。ゲーム中では最高の射程距離を誇るスナイパーキャノン……YAKUMO mdl2の時点でこれならばこちらはどうなるか……お察しである。

 

「……学園のアリーナじゃ使い道無いですよ」

「使い道がないんじゃなくて威力過多って言いたいんでしょ」

「いえ、取り回しで」

「い、威力は問題ないの?」

「一撃で沈められるこれには期待してます」

 

 スナイパーキャノンのそのエネルギー量はシャルロットのラファール・リヴァイヴ カスタムⅡの灰の甲殻(グレースケール)以上のエネルギー量であり、そのエネルギーは実に5倍以上、完全に威力過多ではあるが第3世代相手では少し威力過多という程度で済んでいる。結華はそこを考慮して言っていた。

 

「お、織斑先生!」

 

 そこに慌てた様子の真耶が走ってくる。

 

「どうしました?」

「こ、これを!」

 

 息を切らしながら真耶が渡した情報端末を見て千冬の目が鋭くなる。

 

「特務任務レベルA……直ちに対策をはじめられたし……」

「は、ハワイで運用試験――」

「機密事項だ、うかつに喋るな」

 

 そう言って千冬と真耶の2人は手話で会話を始めた。

 

・―・―・―・―・―・―・―・

 

(緊急?特務任務レベルA……)

 

 その光景を離れた場所から見ていた者が1人。

 倉持技研ご令嬢で15歳にしてIS1機を組み上げ、更には独自の技術まで作り上げるIS業界でも特殊な部類の人間、倉持 霞。歯に衣を着せぬ物言いで敬遠されがちだが言うことは至極真っ当な超現実主義者。

 

(手話……)

 

 特殊な手話を霞は思い出し内容を理解していく。

 

《ハワイ沖にて稼働試験を行っていたアメリカ・イスラエル合同開発の第3世代軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が制御下を離れ暴走。衛生監視空域を離脱》

《その後、衛星による追跡により50分後ここから2キロの場所を通過することが確認》

《学園上層部はこの事態に対し我々が対処することを決定》

 

(おーおー……随分と大事だな)

 

 まだ続きがあるようで霞は話の内容を理解していく。

 

《目標は超音速巡航(約マッハ1.3~5.0)を行い到達地点は恐らく日本首都東京》

《ISによる襲撃と思われるため迅速な行動を取られたし》

 

(日本の首都か……あそこにはIS委員会もあったな……ISを軍事利用できないことを片付けるためにか……?)

 

 そんなことを考えるがナニカが違うと霞には感じた。

 

(篠ノ之束によるものでは無いな……事実束の顔には緊張が見られる……)

 

 霞がそんなことを思案しているといきなり千冬に目を向けられた。

 少し見られているといきなり千冬が霞の方へ歩いてきて話し掛ける。

 

「(今の手話の内容は理解したな?)」

「(何かお咎めでも?)」

「(お前はIS学園の生徒ではないが参加してもらいたい)」

「(拒否する、無論口外はしないと誓おう)」

 

 千冬が1つ息を吐くと霞に言った。

 

「(非合法IS傭兵『月忌』への依頼だ)」

「(知ってたのか……依頼内容と報酬は?)」

「(銀の福音への対応失敗時のバックアップ。依頼報酬は250万)」

「(随分と掛けるな?良いだろう)」

 

 何処にも属しないIS学園の依頼ならば受けるとしよう。こういった巨大IS研究施設とのパイプは欲しいところだしな。




大変お久しぶりです。そして来ればせながらあけましておめでとうございます。
気付けば2月半もこちらでの投稿をしていないという状況でした……こわっ!

現状、リアルの方が非情に忙しく、オールドタイプさんとの合作に時間を取られ、こちらの作品のスランプに陥っているというトリプルパンチを喰らっており見知らぬ誰かアカウントの小説の筆が殆ど進まぬ状況です。

そのため、これからは超不定期更新になるかと思われます。
こんな駄作ですがこれからもよろしくお願いします。

書きかけのものがもう一つあるので近々もう1度投稿すると思いますがその後はしばらく更新しないと思います。
気長にお待ちください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。